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2006年06月13日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
さて、今日は「英国留学回想録」。


「エッセイのタイトルを初めて決める」
(2000年11月中旬)

である。

私のコース、「政治学研究科修士課程」では、
5000WORDSのエッセイ6本と、
15000WORDSの修士論文が
評価の対象となる課題だった。


そのエッセイのタイトルを秋学期の6週目(11月中旬)までに
決定して、学部事務所に提出しなければならなかった。

エッセイは必修・選択各科目に学期に1本ずつある。
タイトルの決定に際しては、
その科目の先生のサインが必要だった。

私は、
へーゼル・ハリー教授(「社会科学の諸理論」)
アンディ・ルーニー教授(「福祉国家の理論」)
ソフィア・デラ=ロッサ博士(「比較政治学」)
にそれぞれアポを取って会いに行った。

しかし正直、会いに行くのが憂鬱であった。


授業への貢献は一点の曇りもなくゼロだったからだ。

エッセイのタイトル決めるったって
何もわかってないんじゃないの?
とか、あしらわれたらどうしようかとか
不安に思っていた。


先生の部屋にいきなり行っても、
自分の考えをちゃんと伝えられるか
不安だった。

とりあえず、先生方に自分の考えを伝えるために
メールを入れてみた。

しかし、ここで私はまた恥をかくことになった。

ハリー先生の授業のエッセイタイトルを決めるために、
コースガイドを読んでみた。
なんせ「社会科学の諸理論」である。

コースガイドをめくっても、
そんな理論のことなんか何のことやらわからない。

唯一書けそうだったのが、

「個人主義」

だと思った。
だから、ハリー先生に

「日本社会は一般的に集団主義と言われているが、
近年変化している。そのあたりを書いてみたい。」

みたいなことをメールした。
これがとんちんかんだったのだ。

この「個人主義」とは、
よく日本で言われている「個人主義」ではなくて、

「方法論的個人主義」。

つまり、物事を分析する時に、
まず「個人」を単位にその行動を分析するという
学問の方法論のことだったのだ。

「かみぽこ。
その理解は全く違うわ。
でも、私のオフィスにいらっしゃい。」

とハリー先生から返事が来てしまった。
ああ、恥ずかしい。。。

ハリー先生のオフィスに行った。

「ミームについて書いてみない?」

み、み~むってなに?

さっぱりわからなかったが、
先生がわざわざ言ってくれるんだから、
いいだろうと思った。
他にアイディアがあるわけでもないし。

「あ、はい、じゃあそれでお願いします。」

それで私はミームについて書くことになった。(苦笑)
ああ、なんといい加減なタイトルの決定。
タイトルは、

「ミームという概念は、社会科学の発展に貢献するか?」

だった。

ミーム(MEME)というのは、
遺伝子(GENE)をもじって作られた言葉で、
1人の人間の頭から他の人間の頭へ、
模倣という行為を通じて遺伝していくという、
社会的な遺伝子とでもいうべき概念であった。

そして、このミームを持ったことが、
人間を他の動物と区別したという。

このミームは、
他者が模倣しやすいものが、
より広がっていくという
特性を持つ。

例えば、
英語のミームは、日本語のミームより
より単純な言語で覚えやすいという点で、
より広がっていくということになる。

これはある意味「適者生存」という
ダーウィニズムを応用した概念ということ。

このエッセイタイトルを決めたときは、
どうなることかと思ったのだが、
このエッセイは後から考えると非常に役に立った。

このエッセイを書くために、
ダーウィン以来のいろんな理論を
網羅して勉強することになったからだ。

まあ、それはまた後の話。

さて、次はソフィア・デラ=ロッサ博士の「比較政治学」。

めげずに、これもメールを送ってみた。

「日本の民主党と、英国労働党と、独社会民主党の
候補者選出方法の比較」。

これは正直そんなに当たりが悪くなかった。

「見たこともない比較ね。
おもしろい。やってみなさい。」

ソフィアはいつものキツイ調子ながら、
その場でさらさらと紙にエッセイのタイトルを書いた。
私のアイディアをタイトルらしい文章にしたのだ。

「これでいいわね。」

ソフィアはサインをして、
私の用事はここで終わりとばかりに、
まだ私がオフィスにいるのに、
次の仕事に取り掛かろうとした。

「あの。。。」

私は彼女に話しかけた。

「何?まだあるの??」

私は続けた。

「いや、授業で貢献ができなくて、すみません。」

彼女は表情1つ変えずにこう言った。

「気にすることはない。あなたの英語は上達している。」

私は挨拶をして部屋を出たが、
厳しい一本やりのソフィアから、
励ましの言葉を初めて聞いた。

その前のハーレー先生も、
私がとんちんかんメールを送ったにもかかわらず、
部屋に行くと丁寧に指導してくれた。

これまで、
自分のことを恥ずかしい恥ずかしいと思いながら、
教室に通っていた。

そんなことは思わなくていいのかなと、
ちょっとだけ気持ちが救われた気がした。

これも「もがき苦しむ。。。」
中で少しだけ見えてきた
光明の1つだったかもしれない。






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最終更新日  2006年07月21日 00時40分25秒


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