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☆K★B★L☆~蛇蠍~☆
神様はあてに成らない!!
神様はあてに成らない!! From ◆ 冴南
■□□■ 熱血少年、亜珠実くんの頑張るライバル宣言奮闘記!
美貌の猛者、希紗良くんはいったい誰のものに?
さわやかな?オリジナルBOYS LOVE系小説です。(中学生編)■□□■
キャラ紹介イラスト付きへ
雪の舞い散る季節を終えて、桜の花びらが舞い散る季節が近づきつつあるこの時期。
今年、中学生活最後の年を迎える本庄亜珠実(ほんじょう あずみ)にとって、運命の別れ道ともいえるクラス代えに、願いは集中していた。
いつものジョギングコース途中の神社での神頼みは今年で3年目になる。
いつもならば、対戦で勝つことを望みの一番に掲げているのに、毎年この時期に頭の中を占領するのは・・・。
『今年こそは、宮内希紗良(みやうち きさら)と同じクラスに成れますように!!そして、今年こそ恭と希紗良が別々のクラスに成ってますように!』
果たして願いは聞き届けられるのか?
運命の女神は意外に意地悪で、亜珠実は常々苦労させられているのだった。
それでも、気にする事もなく前に向かって驀進する姿に憧れ、共感する者もいるのだが、本人は全く気付かずにいる。
熱血単細胞の亜珠実くんはただひたすら希紗良くん一筋で他の事にはあまり興味がないようである。
シーンと静まり返った道場。
早朝ゆえに道場中の気温も低く肌寒い。
静かに禅をくみ、瞑想する宮内希紗良の姿はそこだけ別世界のように寒さを感じさせない。
「何だ、また俺の負けか?」
道場内に響く声に反応して無の境地から覚醒するかのように希紗良の表情が鮮やかに変わる。
母譲りの色素の薄い肌は、年を重ねるごとに活発さをまして健康的な少年らしい色合いになったが、胴着のはざまに見え隠れる素肌は邪まな輩を惹きつけずにはいられない危うさがあった。
「おはよう兄さん」
「おはよう、お前一体何時に起きた?今日は早いと思ってたのにな」
希紗良の兄の宮内稀純(みやうち きすみ)は母親似の希紗良と違って、父親譲りで、骨格もしっかりしていて希紗良にとっては理想的な体格で、希紗良は兄を見るたびに羨ましく思っていた。
「今日から新学期だから大事な対戦もあるし、何か寝てられなくて・・」
「あぁ、恒例の奴ね。相変らず連勝記録まっしぐらだろ、アズミの根性だけは本当に感心するよ。静季が連れて来た時もちっこいわりに無鉄砲だったが・・相変らずかよ。何か静季のミニチュア版で面白いよな・・流石兄弟」
中学に上がってから行なわれるようになった毎月恒例の月初めに行なっている手合わせは圧倒的な実力差で今の所、希紗良が連勝で勝ち続けていた。
それもその筈で、幼き頃から兄を目標に日々鍛錬してきた希紗良につい最近になって始めたばかりの亜珠実とでは実力に大差があって当然。
天性の才武が備わっていたらまさかの結果もありうるだろうが、それさえも希紗良にも備わっていたらプラマイゼロで意味がない。
「実力は互角にはまだまだ程遠いけど、時折思いがけない攻撃を仕掛けてきて面白いんだ。なかなかいい訓練になって毎回楽しみなんだ」
「ふ~ん、そりゃいいな。まぁ今日も楽しんでこいよ」
「うん、もちろん今日も勝つよ」
母譲りの美貌を損なう事無く益々磨きをかけつつ、どこぞのお馬鹿の所為か、ここ最近とても表情豊かな希紗良を見て稀純は笑みを零した。
しかしやっぱり兄としては多少心配でもあるのだ。
希紗良程ではないが、稀純も見た目のタイプは180度違えどもなかなかいい感じの出来である、時として意外にもまぁ変な妄想を抱く奴に・・なんて事も。
間違っても美人とは言いがたいが、厳つい稀純が変な輩に襲われた事がある事を知る人物は少ない。
もちろん当然のことながら最後までいたされたなんて事実はない!断じて・・ない、哀れなくらい返り討ちにされたのは言うまでもないが、人は何故か強き者をねじ伏せ服従させたいと思うものらしく、高校生になった今でもたまに頭の可笑しな奴がいて稀純はホトホト困っていたのだ。
厳つい自分でさえこんななのだから、母譲りの弟はどれほどかと心配するのも頷けよう。
さてさて時と場所を移して・・本庄家の朝は、末っ子の亜珠実の威勢のいい掛け声が聞こえる頃に皆、目覚まし代わりの様に起きだす。
毎日の日課として欠かさず続けられる稽古は3年目を迎えつつある。
小6の時に双子の兄、静季の通う道場について行って初めて出会った希紗良は同じ年でありながらすでに別格の強さを誇っていた。
自然と亜珠実の目は希紗良に惹きつけられた。
物静かでありながら他の追随を許さない強さ、凛とした空気を纏い意志の強そうなきつめの眼差し・・それは一目惚れに近い感じだった。
希紗良の存在があったから亜珠実に道場へ行く目的ができた。
いつも独りでいる希紗良のそばに行きたい、話し掛けてみたい、友達になりたい、そんな思いは普段の亜珠実なら考えているだけでなく直ぐに実行に移すのに何故か気後れする雰囲気が希紗良にはあった。
それでも飽きる事無く亜珠実は希紗良を見つめ続け、願いはどんどん膨らんでいった。
だから、どこでどう間違ったのか希紗良と対戦するはめになって、連戦連敗が続いてもそんな事は亜珠実にとっては全然大したことではなかった。
始めたばかりの自分が勝てたらそれは奇跡以外ありえない。
それくらい流れる動作で決められる数々の技を受けた。
今はまだ全然無理でも先はどうなるか解らない、常に前向きな亜珠実は遠くない先・・いつかある未来を夢見ていられるある意味非常に幸せな思考回路の持ち主であった。
そして日が経つに連れてツンとすまして冷たそうだったのが、実は照れ隠しだったり、意外に面倒見がよくて色々教えてくれたり、気が付いたらいつの間にか仲良くなっていた。
小学校は校区が違って別の学校だったが、中学になれば同じ学校に通えると知ってずっと亜珠実は楽しみにしていたのに、この2年間はずっと別々のクラス。
「はぁ~オレって神様に見捨てられてるのかも・・・・」
ついついいつもの亜珠実にしては珍しく溜め息なんかも出てしまう。
そんな意気消沈気味の亜珠実を見かけて双子の片割れの静暮が声をかけた。
「おはよう、亜珠実」
チタンフレームの眼鏡をかけた兄は双子の静季の弟にあたるが、亜珠実にとってはとっても頼りになる優しい兄である。
何故かもう1人の兄、静季に対して静暮はシビアであるが自分には結構甘いので亜珠実は静暮によく懐いていた。
「シグ兄、おはよう♪」
「そろそろ切り上げて用意した方がいいよ。ついでにまだ寝てるシズを起こして来てくれると助かるけど」
「シズ兄またゲームでもして遅かったのかな?いいよ、起こしてくるね♪」
亜珠実は元気良く階段を駆け上がって長兄の静季の部屋をノックなしで開けると、まだ呑気に寝ている兄の上にダイビングした。
ぐぇ~っと蛙が潰れるような声が響く。
「シズ兄起きた?朝だよ!学校遅れるよ!」
「・・亜珠実・・お前は俺を殺すきか!もうちょっと普通に起こしてくれよな・・」
「OK!OK!明日はサッカーボールで起こすな~♪」
「するな!俺はゴールじゃねぇ!いいかシュートもアタックもダメだぞ!それに、空気銃で起こすのは絶対ダメだかんな・・あれはマジ止めろよ!二度とするないいか、あの痛さは半端じゃなかったんだからなぁ・・」
寝坊常習犯の静季はよく弟の亜珠実に起こされるが、その起こし方といったら半端でなくバラエティ豊だったがそのどれもが凄まじかった。
なかでも空気銃のあの日は未だに忘れられない様だ。狙われた場所が右腕だったから良かったもののあれが眼だったりしたら大変な事だ。
流石に中学に上がってからは武器でもって起こされることはなくなったが最近は別の意味で危ない。
「・・シズ兄もたまには一緒に稽古しようよ!格闘ゲームばっかしてないでさぁ」
稽古稽古でメキメキと力をつけだして・・まだ成長期前だからか背も体格も静季の方があるが先は解らない、早足でかけて来る弟達に静季は深く溜め息を吐くしか無かった。
「・・亜珠は偉い!いやぁ兄ちゃんお前には教えること無いわ、毎日毎日・・ほんと早く稀純の弟の・・何だっけ?・・あぁ希紗良か、勝てるといいな。それで、相変らず連敗中なんか?まぁ頑張れよ」
偉いといいながらどこか馬鹿にした感じの静季の言い方にカチンときて亜珠実はズンズンと歩いて部屋を出て行く、部屋をでるさいに思い切り静季を睨みあげて言い放った。
「シズ兄・・今年は絶対勝つよ!」
亜珠実はバタン!!と盛大な音を立てて自分の部屋へ行った。
「今年な・・今日じゃないとこが分ってるなぁ~まだまだって事か・・あの兄弟も手加減なしだからなぁ・・」
宮内家の兄弟を思い浮かべて薄く笑う・・顔は二人共全く似てないくせに変なとこで頑固と言うか融通が利かないうえに、真面目さと勤勉さでは馬鹿が付くほどなのだから。
当然のことながら、生半可な努力では一生、亜珠実は追いつけないだろうと思うと兄としては少なからず同情を禁じえずにはいられない。
残された静季はきしむ背中を押さえつつ気だるげに起き上がった。
亜珠実や希紗良の通う中学校のクラス代え掲示板の前で佇む少年が1人。
ジッと書き並べられた名前を順に見つめ、一箇所で止まる。
目的の名前を見つけたのか彼の口元に自然と笑みが零れる。
「やっぱり、僕って神様に愛されてるなぁ~また一年楽しめそうだな♪」
フフフッと実に嬉しそうに笑うのは、亜珠実の幼馴染の矢崎恭介(やざき きょうすけ)。
彼は亜珠実と同じくまだ成長期前でこじんまりとした身体つきだが、亜珠実の天真爛漫さと対に成るかのような小悪魔的魅力で年上のお姉様方だけでなくお兄さん達まで落としかねないと言われる妖しい魅力を持っていた。
「おはよう、矢崎。どうだった?」
離れの渡り廊下からやって来た希紗良が恭介に声をかける。
「あっ、宮!おはよう♪また同じクラスだよ、ヨロシク♪」
凄く嬉しそうに恭介は笑って答える。
彼らはこれで3年間ずっと同じクラス・・そう亜珠実君が願いつづけて叶わなかったことを恭介はくしくも叶えてしまっていた。
3年目の願いも虚しく、神様は努力・熱血の亜珠実で無く、恭介の方を優先させたのか…何はともあれ、恭介の人生に今の所立ちはだかるものはなかった。
桜の舞い散る桜並木の先に亜珠実の通う中学はあった。
いつもよりも少し早めの時間でありながら、だんだんと急ぎ足に成りながら進む通学路。
さっきから心臓はドキドキして早い。
深呼吸を時折入れて落ち着こうとしているが思うようにいかない。
きつく拳を固めて、掲示板を前にして立ち止まる。
亜珠実はひたすら見えない神様に願いを心の中で呟き続けていた。
『最後の一年ぐらい頼むよ!!・・』
じっくりと見ていく中で亜珠実は目的の2人の名前を見付けて愕然とする・・。
「あーーーーっ、また恭と希紗良同じ!・・・うそ・・嘘だぁー!!」
毎年恒例の亜珠実の絶叫が炸裂する。
隠れて見ていた恭介はプッと吹き出した後、盛大に笑い転げる。
「・・キョウ!?」
「おはよう、亜珠♪残念?悔しいでしょ~♪また今年も僕の勝ちだね」
悔し紛れに亜珠実は恭介に蹴りを入れた。
「いっ・・痛い!亜珠のあほ!何するんだよもう・・落ち込んでるとこ悪いけどさ、何組か見たの?」
言われて気付く・・こうなったらせめて隣のクラスぐらいには成ってて欲しいと願いながら掲示板を見上げた。
「・・嘘・・無い・・えっ、何で!?」
亜珠実が呆然と成っている隣で、恭介は更に楽しくて仕方ないと笑いが止まらなく成っている。
「あ~もう~サイコ―♪笑い死にそう~さてとそろそろ行こうか亜珠、皆待ってるからさ」
「どこに行くんだよ?」
「どこって・・教室だよ。何寝ぼけた事言ってんだよ、ちゃんと掲示板見てみなよ僕らのクラスの所!!」
さっきは見つけられなかった自分の名前を思わぬ所で見つける。
「あぁ~!何だよこれ!?」(・・また、女と間違われてる・・)
「ホント、何ボケて間違ってるんだろうねぇ・・三年もたったっていうのに、まぁ御蔭で今年もアズの絶叫聞けたし、面白かったからいいけどさ、ほらほら絶望のどん底から念願の同じクラスだよ、アズ今の気持ちは?嬉しい?嬉しいよね!この僕を疎ましく思うほど恋焦れた宮内と同じクラスだよ!」
「・・すっごい嬉しい!!でもなんでお前の勝ちなんだよ?」
「だってアズは僕と同じクラスになりたいなんて思ってなかっただろう?宮とだけ同じになれたらいいって絶対願ってた筈だよね?本当になんて薄情な幼馴染みなんだろう・・」
恭介は大袈裟な身振りで嘆いて見せる。
「うるさいなぁ!あぁ思ってたよ悪かったな・・大体、会うたびに何かしら人を陥れようとするお前と何が楽しくて同じクラスになりたいと思うんだよ」
「酷いなぁ~僕なんか今年はみんなで同じクラスになれたらいいなぁ~と願ったって言うのに・・だからほら、翔希達も同じクラスなんだよ。まぁ、アズは宮がいれば他はどうでもいいくらい宮内一筋だからねぇ~やっぱり見過ごしてた?・・本当に薄情な奴だな信じられない・・」
言われてばつが悪そうに亜珠実の視線が彷徨う。
「まぁいいけどさ、今日対戦するんだろう?勝てるといいねぇ・・まっ、無理だろうけど」
「勝つよ!絶対!」
負けず嫌いのアズミは毎回威勢だけはよかった。
しかし、気合だけで勝てるほど世の中は甘くなく、県内随一の腕前を誇る希紗良の敵ではなかった。
「やっぱり、アズ小さいからねぇ~30cmぐらい身長差あるんじゃ無い?」
「・・小さいだと!・・そんなに変わらないさ」
「そうかぁ~?」
ポンポンと恭介はアズミの頭を叩く。
何だか非常に馬鹿にされているようでむかついたアズミが更に言い返そうとしたが出端を挫かれる。
「あっ、いた!宮!ここ此処ねぇ宮の身長ってどれくらい?」
「・・・170cmぐらいだが・・本庄おはよう」
綺麗な笑顔を向けられてボーっとなる。
「・・おはよう♪」
「何だ、じゃぁやっぱり結構あるよ。アズは140cmだったろ?」
「・・140cmだと?・・ふざけんな!153cmだ!」
「アズ、そんなむきになって言う程のことじゃないと思うけど・・」
「身長がどうかしたのか?」
「別に関係ないよ、身長差なんて・・柔よく剛を制すって言うし、今日は負けないからな!!」
「お手柔らかに・・」
にっこりと余裕でかわされる。
輝かしい戦歴で注目を集める希紗良。
イタズラ好きだが小悪魔的魅力で許されてしまう恭介。
そして、小さいながら遥か高いレベルへの飽くなき挑戦者!元気小僧の亜珠実。
彼らは、3人ともそれぞれ目立つ存在であった。
ゆえに、掲示板近くの3人のやり取りはみなの注目を集めていたが、亜珠実達はあいかわらず気にもとめていなかった。
希紗良の家の道場で毎月の試合は行われている。
前に学校で行なった時は、以外にギャラリーが集まって物凄い盛り上がりを見せて、先生達から厳重注意を2人はくらってしまったのだ。
どうやら2人の知らない所で、賭けの対象にされていた様であった為だが。
試合前、入念に柔軟を行なうが、二人きりの道場はシーンとして緊迫感が漂う。
それを打ち破るように亜珠実はいつものように賭けを持ちかける。
「勝ったら、スペースワールドだからな!」
「勝てたらな・・・」
いつもと同じセリフ、もう何度も聞いた亜珠実のもう1つの願いも未だにかなっていない。
「よっしゃぁ、始めようか希紗良」
どこまでも諦める事の無い亜珠実の不屈の精神に希紗良は日々、好感を覚えていた。
「本庄、僕が買ったら映画に付き合ってくれないか・・ダメか?」
いつも一方的に言っていた賭け事だった。
だから希紗良が勝っても今まで何も望まれることはなかった。
それなのに初めて・・・。
驚いて返事が遅れ、勘違いされそうになる。なんだか初めて対等の友達の立場に立てた気がして亜珠実は嬉しくなった。
「ダメなわけないよ、いいよ♪でも勝ったらだからな!」
「あぁ、今日も勝つさ・・」
少し陰っていた表情にいつもの強気が戻る。
亜珠実が惚れたあの真摯な表情に・・。
「何言ってんだよ!今日は俺が勝つの!!絶対遊園地!!」
負けず嫌いの二人の戦いの幕が開く。
ただ、今日の勝利はどちらが買っても素敵な未来を暗示しているのかも知れない。
― END ―
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