きららん’ｓ　キッチン・テーブル

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2005年02月17日

檀流クッキング

(4)

テーマ：食べ物あれこれ(51254)

カテゴリ：読書の楽しみ

食のエッセイの古典的バイブルと言えるこの本。

楽天ブックス「檀流クッキング改版」

「檀流クッキング」は昭和44年から46年まで
サンケイ新聞に連載されました。
その全94回分が中公文庫にまとめられたのが
昭和50年のことです。
著者の檀一雄氏は1976年に逝去されていますが、
尚も増版をかさね、2002年には新装版まで出版された、
脅威のロングセラーなのです。

母上が家をでてしまったものの、ピンと髭を立てた教師だった父上が家事などするはずもなく、代わって妹3人のためにゴハンつくりをしたのがそもそもの始まり。

しかし、大人になって作家となってからも料理への関心は失せることなく、生涯にわたって手づから料理し、ふるまい、しまいには息子の太郎氏が「檀君のお父上は料理のほかに小説も書くんですってね」などと人から問われる顛末でした。

さて、その檀流クッキング。
檀氏が絶妙の筆致にて手ほどきするメニューは日本のお馴染み料理にとどまりません。
西洋式・インド式それぞれのカレーライス、ボルシチ、ブイヤベース、自家製ヨーグルト、クラムチャウダー、数々の朝鮮料理、パエリヤ･･･。
昭和40年代にこの連載が大人気だったというのですから、今日このように世界の多様な料理、食材を愛する下地が既に日本人にはあったのでしょう。

各回のエッセイの中に、料理にまつわるエピソードや主張、作り方の手順が自然に織り込まれています。
分量は、おおづかみに説明する部分と、重量・容量で説明する部分が混在していて、それがまた適切のバランス。
とにかく料理の楽しみが伝わってくる文章なのです。

東坡肉（豚バラ肉の角煮）を「大胆不敵、豚バラの筋にそって、はじからはじまで切り通してご馳走に」なった、などと、作り方と共に読んでは、中学生だったワタシは見たこともない料理にあこがれたものです。

☆その他の食のエッセイ2冊☆

美味放浪記改版／檀一雄

わが百味真髄／檀一雄

（新品では品切れなのがなんとも残念ですがあえて紹介）

まずは、檀流クッキング入門日記
著者の檀晴子氏は、息子の檀太郎氏の奥サマです。

残念ながら品切れ、入手はフリマにて３００円

こちらはフリマで500円

あまり来客もなく、食べ物に目の色を変えることもない厳格な家庭で育った晴子氏、まずは、結婚祝いに鍋釜一式を舅から贈られ檀流の洗礼をうけます。
学生結婚した晴子氏が通学する学校に「料理を手伝ってクダサイ」と呼び出しの電話まできてしまう！

気がつくと感化されて、作っては振舞うシアワセに浸る自分に至るまで
その過程がすんなりと読み手を「檀流」へといざなってくれる1冊です。
そして、手の抜き加減、現代調理器具の使いこなし加減、冷凍庫ワザ、という点は、流石は女性！と拍手喝采したくなります。

一方で、息子であるＣＭプロデューサー檀太郎氏が著された「新・檀流クッキング」「檀流ワイルドクッキング」は別格の読み応えと作り応え、そして、写真も満載。
元祖「檀流クッキング」で想像していた料理を実際に見る事ができ、
また息子からみた「チチ」（檀家では一雄氏のことをこう呼んでいました）の姿。
檀流メニューのエピソード
そして現代の流浪の民とも呼べる檀太郎氏自身が世界中から持ち帰ったレシピ。
男性ならまずは檀太郎氏の本から「檀流入門」するのが楽しいかと思います。

新檀流クッキング・伊藤書房ネット事業部で228円

檀流ワイルドクッキング６００円

おまけ。
女優の檀ふみさんのエッセイにも父親として檀一雄氏が登場します。
阿川さんとの対談シリーズも抱腹絶倒の面白さ。
あの麗しいおふたりがこんなこと書きあうなんて・・・！！　なのです。