蝶々結び

傍観者



彼女が帰る場所。
彼女が帰りたい場所へと。


彼女は、歩くことさえままならなくて
今にも崩れてしまいそうな足取りで

ふらふらと

ふらふら…

彼女は、探し続けていた。


泣きたいはずなのに泣けない、そんな彼女が
探している
『帰る場所』。

そのかみ締めた唇が、ゆるやかになる
涙のこぼせる
『帰る場所』。

彼女の強ばりすぎて、寒さに冷えた体が
あたたまるはずの
『帰る場所』。


彼女は探していた。

人が『居場所』と呼べば
『居場所』を、彼女は探しているのだろうけど。

そんな言葉になりそうもない

彼女が帰りたいと願う

あたたかな場所。



見つからぬまま、
今日も彼女は

その夜かぎりの温もりへと
たどりついては、眠りへ沈む。

彼女をつつむ、その場だけの手は

ぬくもりさえ感じれるだけの
作り物。




ぼくは
それを見守った。

見守るだけで、見てみぬふりをした。


彼女は
家を暖める、暖炉のようなあたたかさを
望み、探し、途方に暮れていた。


ぼくの真ん中には、暖炉なんて無くて。

何も無くて。

温度のある手すら
もう、凍りきっていた。



彼女は、今日も探し続けている。

今日も

彼女は




ぼくを探し続けている。



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