Crimson Air

Crimson Air

未来章第六部


未来章第6部
「お父さん!!私が家族じゃないって本当!!」
家に帰ってからの未来の開口一番のせりふだった。遠くで何かが割れる音とすごい音がした・・・父さん、こけたね
「い、いきなり何を言い出すんだ!!」
「父さん、もう未樹ちゃんに会ってきたよ」
「ということは・・・」
「このあとシスターと一緒に来るはずだよ」
「で、お父さん、どういうことなの!!」
「その話はみんなそろってからだよ」
父さんが真剣な顔になった
「わ、わかった」
「その前に記憶の封印をといておこうか」
「封印?」
「そうだよ、未来の昔の記憶を呼び起こすんだ」
「なんでそんなことしたの?」
未来・・・ちょっと怒ってるな・・・
「未来の精神がもたなかったからだよ・・・あの時はかなり小さかったからね・・・それにかなり怖い目にあったみたいだ・・・」
「そうなんだ・・・私大丈夫かな?」
「もう未来は子供じゃないんだろ?じゃあ大丈夫さ」
「うん・・・・」
「じゃあちょっと目をつぶってじっとしてて」
『記憶をつかさどる旋律よ・・・』
『このものの封印されし記憶を呼び覚ましたまえ』
『記憶封印・解』
未来をまばゆい光が包み込む・・・
「未来大丈夫か?」
「う、うん。まだ、大丈夫・・・」
結構未来は苦しそうだ・・・
「い、いや・・いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「未来!!!大丈夫か未来!!!」
「和兄!!助けて和兄!!!」
「大丈夫だよ未来・・・僕はここにいるから」
「和兄・・・和兄・・・」
未来が泣いていた・・・やはりものすごく怖い記憶なのだろう・・・
「お父さんが・・・・お父さんが!!」
「未来、大丈夫だよ。未来のお父さんは生きてるんだ。」
「ほ、本当に?」
「うん、だからもう泣かないで」
「う、うん」
だいぶ未来も落ち着いてきたみたいだ
「いいかい未来、未来のお父さんは僕の母さんと同じ様になってるだけなんだ」
「和兄のお母さん?」
「そう、僕の母さんは今悪魔水晶に封印されているんだ」
「え?」
「これが悪魔水晶だよ・・・」
僕は首にかかっていた首飾りをはずした。先のほうに少し大きめの宝石のような物がついている
「これが・・・」
「僕の母さんはこの中にいるんだ」
「大丈夫なの?」
「大丈夫、元に戻す方法は今日わかったから」
「今日・・・ってあの悪魔?」
「そうだよ、彼は悪いやつじゃないみたいなんだ」
「そうなんだ・・・」
「未来のお父さんもちゃんと助けるからね」
「うん」
「ただ・・・」
「?」
未来が首をかしげている
「もう僕は未来とは一緒にいられないんだ・・・」
「え・・・どういうこと?」
「二人を戻すには僕の記憶を消す必要があるんだ・・・」
「なんで!!」
「二人を戻すのにはその人に関係の深い人物の記憶が必要なんだ」
「じゃあ私の記憶を使えば・・・」
「いや、もう決めたことなんだ・・・」
「そんな・・・」
「それにもうひとつやっておかないと・・・」
「え・・・」
「未来・・・君の中の僕の記憶を封印させてもらうよ」
「なんで・・・なんでそんなこと!!」
「未来が僕の記憶を持ってるといろいろと心残りが出来ちゃうから・・・それに・・・」
「それに?」
「未来には悲しい思いをしてもらいたくないからね・・・」
「そんな、無責任だよ!!」
「無責任でも良いんだよ・・・」
「そんな・・・そんなのって・・・」
「もう遅いんだよ・・・」
未来に呪文をかける
『記憶をつかさどる旋律よ・・・』
『このもの記憶を封印し偽りの記憶を与えたまえ・・・』
『我を憎しむ記憶を・・・』
『記憶封印!!』
未来を光が包む・・・
光がなくなり未来が気を失っていた。未来の胸元には綺麗な飾りのついた指輪がのっていた
「さて、これで大丈夫かな」
「和樹、本当に良いんだな」
父さんが真剣に聞いてきた
「良いんだよ・・・これで・・・」
「まったく、少しは私に相談しないか」
「ごめんね、父さん」
「もう決めたことなのだろう・・・」
「うん」
「じゃあ止めはしない」
「ありがとう」
「その代わりしっかりやってくるんだぞ」
「わかってるよ、ごめんね父さん」
「何言ってる、お前は私に似て無鉄砲だからな。これぐらいはするとは思っていたよ」
「父さんには隠し事は出来ないな~」
「さて、そろそろ来るころじゃないか?」
「そうだね、じゃあ未来は部屋に連れて行っておくよ」
「あぁ」
未来の体を持ち上げた・・・軽いな・・・
「ごめんな・・・未来・・・」
そして未来をベットの上に下ろした
「後はこれを棚の上においておくか・・・」
自分の首にかけていたチェーンの悪魔水晶をはずしさっきの指輪をそのチェーンにつけたものを棚の上に置く
(それは何なんだ?)
「この指輪を未来が持っている限り未来は僕の魔力で守られるんだ。そして僕を恨むようにもなる・・・」
(なんでそんなことを?)
「未来のことを思い出さないためさ・・・」
(どういうことだ?)
「人の記憶っていうのは不完全な物でね・・・記憶を消したとしても何かの拍子に思い出してしまうときがあるんだ・・・」
(だから未来に会わないようにか?)
「そう、もし会ってしまったとしても未来から近づいてくることは無いからね。未来の記憶が戻ることは無い」
(そうか・・・お前もつらいな・・・)
「それももう少ししたら何も感じなくなるんだよね~。記憶なくなっちゃうわけだし」
(それもそうだな)
キズナはちょっと笑っていた・・・僕は少し泣いてしまっていたのかもしれない・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「と言う訳で未樹ちゃん、シスター、未来のことをよろしくお願いします」
「それは私の娘ですしかまいませんが・・・和樹さんは本当にそれでよろしいのですか?」
「もう決めたことですから・・・」
「そうですか・・・大丈夫です、未来は私たちでちゃんと守りますから」
「と言うより未来をシスターたちにお返しするだけなんですがね」
「そうでしたね」
「でも本当に和樹兄さんには会えないのかな?」
「どうだろうね・・・僕の記憶がなくなった後はわからないから・・・」
「せめて住所ぐらい教えてくれないかな?」
「それは母さんと未来のお父さんが帰ってきたらわかることだろうから・・・」
「そうだけど・・・」
「大丈夫、二人は絶対に元に戻すから」
「うん・・・」
「では和樹さん、お願いしますね」
「えぇ、わかってますよ」
そろそろ行かないとな・・・
「じゃあ父さん行ってくるよ」
「気おつけてな・・・」
「大丈夫だよ、まったく心配性だな~」
「息子の心配をして何が悪い」
「そうだね・・・大丈夫、僕は一人じゃないから」
「そうだったな」
「じゃあ行ってくるよ」
「あぁ、行って来い」
僕が玄関を出た・・・そこにマリアとゲイルがいた
「ご主人、私たちを置いていくなんて許しませんよ」
「まったくだマスター、俺はどこまでもついていくぞ」
「お前たち・・・」
(こいつらにはかなわないな、和樹)
「まったくだよ・・・それじゃあ行こうか」
「はい」
「了承した」
「父さん、皆には父さんから知らせといてね」
「あぁ、そういえば和樹の学校で戦闘実習をやっているんじゃなかったか?」
「そういえば・・・じゃあ僕とゲイルは棄権ってことにしておいて」
「まったく・・・お前のわがままにはついていけんな」
父さんが少し笑っていた
「ごめんね、じゃあよろしく・・・」
「あぁ、わかったよ」
「じゃあ行ってきます」
僕たちは目的地の町まで飛んでいった・・・・・
未来章第六部完

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