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F機関 インド独立に賭けた大本営参謀の記録 ー宮崎正弘 読者の声2
『敗戦後イギリス軍に捕獲された藤原氏は獄舎で訊問官から、
「(あなたは)秘密工作の特殊訓練や実務経験のない素人で、現地語能力が皆無で、英語もろくろく話せない、それまでマレイ・印度の地を踏んだことも無く、現地関係者と何の縁も無かった、部下も海外勤務の経験・諜報実務の経験も無い若輩ばかり、そんなメンバーからなる貧弱な組織で、赫々とした "グローリアス・サクセス"をおさめたのはなぜだ?」と詰問されて答えた藤原の言葉です。
(引用開始)
「それは 民族の相違と敵味方をこえた純粋な人間愛と誠意、その実践躬行ではなかったかと思う。 私は開戦直前に何の用意もなく、貧弱極まる陣容で、この困難な任務に当面したとき、まったく途方にくれる思いに苦慮した。
そしてハタと気付いたことはこれであった。
英国も和蘭(オランダ)もこの植民地域の産業の開発や立派な道路や病院や学校や住居の整備に、私たちが目を見張るような業績を挙げている。
しかしそれは自分たちのためのもので、現住民の福祉を考えたものではない。
自分たちが利用しようとするサルタンやごく一部の特権階級を除く原住民に対しては、寧ろ故意に無智と貧困のままに放置する政策を用い、圧迫と搾取を容易にしている疑いさえある。
ましてや民族本然の自由と独立への悲願に対しては、一片の理解もなく、寧ろこれを抑制し、骨抜きにする圧政が採られている。絶対の優越感に驕って原住民に対する人間愛 - 愛の思い遣りがない。
原住民や印度人将兵は、人間、民族本能の悲願-愛情に渇し、自由に飢えている。
恰も慈母の乳房を求めて飢え叫ぶ赤ん坊のように。 私は私の部下とともに身をもって、この弱点を衝き、敵味方、民族の相違を超えた愛情と誠意を、硝煙のなかで、彼らに実践感得させる以外に、途はないと誓い合った。
そして至誠と信念と愛情と情熱をモットーに実践これ務めたのだ。
われわれが、慈母の愛を以て差し出した乳房に、愛に飢えた原住民、赤ん坊が一気に、しがみついたのだ。 私はそれだと思う。 成功の原因は」
訊問官は藤原氏の所説に、冷静熱心に聴き入り次のようにしんみり語ったのです。
「わかった。 貴官に敬意を表する。 自分は、マレイ、印度などに十数年勤務してきた。 しかし、現地人に対して貴官のような愛情を持つことがついにできなかった」
藤原氏は工作機関を組織・指揮するという特命を受けたときは動転します。 世田谷の自宅近くにある松蔭神社に愛娘の手を引いて詣でます。
そこで 「仰慕するこの大先哲の霊前にぬかずいて、私の行くべき方途について神の啓示を得んと欲し」て祈っていたら、 「何か厳かな神の鞭撻を受けるような気が」したのです。
さまざまの雑念を追い払い、「大先生の信念と至誠と情熱と仁愛とに学び、日本武士道精神の神髄にのっとって工作の新生面を開拓すればよいのだ。
知識や経験や語学の貧困と、いま接触しえる工作路線の貧困などに当惑してはならないといったような勇気が身内に湧いてきた」のです。
以上のような藤原氏の苦悩と活躍が情熱的に回想された一著です。
工作機関に付き物の莫大な機密費については、その管理と運用は厳密を極め、使途の公明さと透明性が機関の士気を保ったと述懐しています。 そして手許に残した資金は返納し、一切私しなかったのです。』
詳しくは・・・ その名は『F機関』...大東亜戦争の英雄・藤原岩市
お涙頂戴のドラマや映画よりこっちのほうが「グッ」ときます。