2003/03/05
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 題名通り、猫に関するエッセイ。貼る画像はそこらで撮った猫。

 夏目漱石「吾輩は猫である」、内田百間「贋作吾輩は猫である」「ノラや」、後藤明生「めぐり逢い」、町田康「人間の屑」笙野頼子の近作、大島弓子のサバシリーズ、「グーグーだって猫である」(「綿の国星」は別物)、阿部昭の短篇にもよく猫が居た。ぱっと思い付くだけでもこれだけ猫が居る。猫を書く作家は多い。犬となると、谷口ジロー「犬を飼う」くらいしか今は思い浮かばない。その本にに併録されてるのは「猫を飼う」。

 この本の中で野坂昭如が何べんも述べているが、たしかに猫は絵になる、猫は想像をかきたてる。繋がれて歩く犬とそれを見るこちらとの間には飼い主が挟まり、隙間を埋められる。「ああ、犬だ」と気楽に写真を撮るのも難しい。まとわりつかれてるのではないかと思うくらいいろいろの猫に逢う時もあれば、ばったり姿を見ない時もある。野良犬はあまり見なくなった。猫が好き犬が嫌いということはない。動物を飼えないからこそ動物に憧れ、無責任に愛せる。実際に飼うとなると猫が外に出るだけで心配で何も手に付かなくなるに決まってる。昔飼っていた文鳥の死の悲しみでさえいまだに何一つ減らずに心に横たわっている。猫のことが書かれたものを読む機会が多いので自然と目が猫に向く。

 鹿やキタキツネや熊を日常的に見かけられない街に住んでいないから、たまの巡り合わせとして人間以外の動物に接してふと思いを馳せる、馳せられる生き物としての猫。飼い主になれない人の、距離を取った独りよがりの動物愛の対象としての猫。私にとっての猫はそれ以上のものには出来ない。ただ写真に撮って残してみると、可愛いもんだと思う。


中公文庫





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Last updated  2005/02/05 12:44:46 AM
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