2004/06/25
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カテゴリ: 国内小説感想
 作者の死により未完になった幾つかの作品のうちの一つ。『枯木灘』にも少し話だけ出てきた、秋幸の姪美智子の恋人五郎が主人公。『枯木灘』から数年後が舞台。秋幸の影はない。五郎は美智子と既に別れ、リョサの女遍歴にも似た近しい間柄の(美智子の親戚や幼馴染みや美智子の父親の愛人や)女達と交わり、仕事についてはすぐに辞め、ただの女好きにしか見えないこともない主人公のおかげで、どうも作品の印象が弱い。作者の死が近かったから弱ったのか、主人公の器ではないと男を主人公に選んだからか、そのどちらもか。
 中上健次の小説では、他の作品の登場人物が主人公になることが珍しくない。それにしても、何も五郎なんかをわざわざ! というのが正直な気持ちだ。自然と女を惹きつけてしまう五郎は女と戯れ女と交わり好きにして捨てておきながらも実は女に振り回され支配されてしまっているように見える。それだけでは感動出来ない。どう続かせるつもりだったのかは今となっては分からないが、どう転んでも物足りないもので終わったんじゃないだろうか。少し寂しい。


集英社 1992年


感想書く予定の読了小説メモ
中上健次『奇蹟』『十八歳、海へ』『十九歳の地図』
後藤明生『しんとく問答』





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Last updated  2004/06/25 07:51:02 PM
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