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小五郎3

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Aug 29, 2011
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カテゴリ: カテゴリ未分類
彼女と、翌日海に行く約束をしていた土曜日の夕方。


僕は千葉の稲毛に住む友人に会いに出かけた。

埼玉の実家暮らしだった当時の僕。

もちろん、遅くとも終電では帰るつもりで...。



まずは安い居酒屋に入り、乾杯。

お互いかなりイケるクチの僕らは、その店ですでに上機嫌。



居酒屋を出ると、最近オープンしたという友人お気に入りの音楽バーへ。


そこはロック好きのマスターが客のリクエストに応じてレコードをかけてくれるという店。

他に客が少なかったせいもあり、僕らの好みであるビートルズ・レッドツェッペリン・イーグルスなど、片っ端からリクエストしては僕らは大騒ぎ。





「リンゴのドラムって、絶対ほかのヤツには真似できないよね!」


そこにマスターも割り込んでくるものだから、ロック談議はさらに盛り上がり・・・


気がつけば終電は過ぎており...帰る手段の無い僕は友人のアパートへ。

すでにヘベレケ状態だった僕らは当然のごとく爆睡。



翌朝・・・目覚めたときは・・・なんと昼の12時ちょっと前。

予定では、彼女の最寄り駅である辻堂に9時には到着しているはずだった。


今から向かったとしても・・・。


いやそれより・・・とても海で泳げる体調ではない。


携帯電話などない時代。

友人の部屋の電話を借りて彼女の自宅にかけると...。


彼女は・・・予想以上に・・・怒っていた。


家出るときに電話くれるって行ったよね?』


激しい二日酔いのせいもあり、彼女の言葉攻めにあいながら、だんだん腹がたってきた。


もちろん言葉には出さないけど、

「たがが海じゃないか・・・」

「たかが手作りの弁当。自分たちで食べればいいじゃん・・・」




電車の中で、だんだん冷静さを取り戻してくる。すると...急激に不安が襲ってきた。

「もしかして俺、ものすごくヒドイことをしちゃったのでは?」


・・・・・・・・・・・・


自宅に着き、彼女になんて謝ろうか考えていたら、もう夕方。

思い切って、彼女の家に電話を。


電話に出たのは妹さんだった。

もちろん僕のことは知っている。


手でふさいだであろう電話口から、彼女を呼ぶ小さな声が聞こえる。


十数秒後、妹さんが僕に言う。

『お姉ちゃん...話たくないって言ってる』

すぐにかけなおしても効果は無いと思い、3日間あけてから再び電話。


今度は出てくれた。


僕は当日の状況を詳しく説明しなおし、平謝りに謝った。

そしてその週の日曜日。再び約束をとりつけた。


・・・・・・・・・・・・・・・・


行き先は、大磯ロングビーチ。

彼女のリクエストだった。


待ち合わせの改札口で彼女を見つけた僕は、もう一度平謝り。


『もういいよ』


少し、むりに笑顔を作っているような表情だった。


水着に着替えてプールで遊びだすと、彼女の機嫌が徐々に直っていく感じがして・・・
少しだけホッとした僕。


ランチタイム。


パラソルつきの白い丸テーブルを確保した僕ら。

彼女の手には少し大きめのバスケット。


テーブルの上でそれを広げると、僕は自分で顔の筋肉が緩むのを感じた。


手作りのサンドウイッチ、卵焼き、ウインナーなどなど。
どれも美味しそうだ。


彼女が僕の目の前に、ちいさなアイスクリームのカップを差し出した。

白いカップにはイチゴのイラストが描かれている。


よく見ると・・・中身はキレイに盛られたポテトサラダだった。


『ハイ、これ小五郎のだよ。。。カップ、可愛いでしょ?
サラダ入れるのにちょうどいいと思って、とっておいたんだ!』

と明るく言う。


僕はそれを手に取り、静かに見つめた。


「・・・このあいだの日曜日にも・・・おそらく彼女はこれを作って・・・」

そう思うと、なにかが胸の底からこみ上げてきた。



俺は・・・なんということをしてしまったのだろう。

たかが海...。たかが手作り弁当...。

「たかが」...の尺度ってなんだ? 何センチ? 何グラム?


一緒に海に行くことを楽しみにして...
そのワクワク感で大きくふくらんだ彼女の心の風船を...
「たかが」という針で割ってしまった俺。


そう考えたら...不意に目に涙がたまってきて。

ヤバイ!と思って空に顔を向けたけど、止まらなかった。


彼女の『どうしたの?』という言葉につられて顔を見たら・・・
もうどうしようもなく、涙があふれた。


「オレ・・・ごめんな・・・ほんとうに・・・ごめんな・・・」


一瞬、驚いた彼女だったが、すぐに
『もうわかったよ~なにないてんのよ~』

彼女は優しく笑った。けっして...作り笑いでない...やわらかい笑顔だった。


女の人の前で・・あんなに泣いてしまったのは・・・


後にも先にも、そのときだけだ。



小五郎24歳。



もう一冊の・・・



夏の一頁。



・・・・・・・・・・・・・・・・


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Last updated  Aug 29, 2011 11:21:08 PM
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チビカ @ Re:ポチャっているのに胸のちいさな女性(05/22) 小五郎ちゃん、お久しぶりです♪ 父が昔言…
小五郎3 @ Re[1]:優しい女と優しそうな女(02/13) チビカさん、毎度ありがとうございます! …
チビカ @ Re:優しい女と優しそうな女(02/13) 結婚とは、相手の汚い部分も好きにならな…
小五郎3 @ Re[1]:優しい女と優しそうな女(02/02) まっちゃんさん、ありがと~♪ いやあ~ま…
小五郎3 @ Re[3]:優しい女と優しそうな女(02/02) チビカさん、うんうん、わかってるよ(笑…

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