ほしはひかるのかな????

ほしはひかるのかな????

その3 さあ、



●さあ、行こうか?という詩
●あなたは、たった一人のあなたです系の詩


凹んでいた時、自分で自分を励ますために、書きました。

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●さあ、行こうか?という詩  

「細い綱を渡る軽業師のように」
「さあ」
「光」
「待たずに行きます」
「よたよたと」
「行こう」
「手ぶらでおいで」
「じぶんのかなしみのはて」
「鎧を脱いでもいいんですか」
「その風を」
「ブランコ」



●あなたは、たった一人のあなたです系の詩

「あるときあなたは」
「街路樹からの手紙」

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●さあ、行こうか?という詩 ↓↓↓ 



「細い綱を渡る軽業師のように」

細い綱を渡る軽業師のように
両手を広げて目を閉じて
まっすぐ歩いていこう
歩く先はただ1つのものへと繋がっているから
ただそこへたどり着くために
歩くだけだから

細い綱を自信満々で渡る
軽業師のように
両頬に風を感じながら
肩には雲がたなびく
足は空を切る
次の瞬間には
しっかりと綱を踏みしめる

見ている者にとっては
大変危なっかしいその所業
だが軽業師は
ただ1つへと繋がる綱を
歩いているだけなのだ

両頬に風を感じながら
目を閉じて
軽業師は微笑む

綱はたった1本なのに

たった1本なのだから

細い綱を渡る軽業師のように
両手を広げて目を閉じて
まっすぐ歩いていこう。


                            (2004.1.6)

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「さあ」

さあ、私
年とともに変化しなさい

話し方
聞き方
見つめ方
触れ方

歩き方
走り方
立ち止まり方

泣き方
怒り方

笑い方
喜び方

愛し方
憎み方

全てをもう一度作り直しなさい

その積み木を倒しなさい
崩れたものを砕きなさい

さあ、私
年を取るごとに変化しなさい

胸に白い帆を掲げ

さらに広く
遠い海へ
漕ぎ出だしなさい



                            (2004.2.4)
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「光」


もう無理だ
もう無理だと言うのなら
あそこに見えている光は何なのだ
あそこに見えている光を見てしまう自分は何なのだ

光はある
たしかに
昨日も今日もあった

重い荷物をかかえ
傾きながら
光を目指して行くと

あなたがいた
あなたは
簡素な美しい言葉で
真実を語り

僕は、決意を固めて
あなたを背負う
傾いた身体の、
バランスをとるために

そしてまた歩き出す

もう無理だ
もう無理だと言う僕に
あなたは指し示す

あそこに見えている光は何なのだと
もう無理だと言いながら
あそこに見えている光を目指してしまう

わたしたちは何なのだと

僕にはわからないけれど

光はあったのだ
たしかに

昨日も今日も

多分
明日も


                             (2004.2.3)
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「待たずに行きます」

前略
あなた様

蛍光灯ちらつく
駅の掲示板に
白く浮かんだ
あなたのことばを読みました

「待たずに行きます」

月の光が降り注ぐ
線路の砂利に
こぼれ落ちた
あなたのことばを拾いました

「あるいて行きます」

列車の窓に映る
峰の彼方に
風となった
あなたのことばがこだましました

「ひとりで行きます」



そろそろ、わたしも行くとしましょう

わたしも、誰かを待たずに行きます

あなた様へ

わたしより


草々


                             (2004.3.7)
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「よたよたと」

空の小さい青の下
壊れたガラス細工を手のひらに
よたよたと歩いた

誰か元に戻して下さいと
舌を突き出したけれど
返事はとうに
雲の彼方

慈悲のよに吹いた風に
さざなみの胸を広げ
いびつな貝殻を産み出した

ガラス細工を捨てて
それらをつまんだ
ひとつぶひとつぶ
太陽にかざして

トタンの屋根には
小鳩が
よたよたと歩く
歌をついばむよに

瓦礫の地面には
犬が
よたよたと歩く
匂いを辿るよに

高みの空には
雲が
よたよたと泳ぐ
雨粒を集めるよに

そんなものたち
貝殻に閉じ込めて
太陽にかざして
暖めて

空と陸の間で
さざなみの胸を閉じて

ガラス細工はとうに
水平線の彼方

                             (2004.3.10)
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「行こう」

行こうさあ行こう

美しさの極みへ

その世界へ淵へほとりへ乱ぐいへ

行こうさあ行こう

美しき言葉の極みへ

あの世界へ絶壁へ断崖へビバークへ

行こうさあ行こう

美しき言葉なきかの国へ

   へ   へ   へ。

                            (2004.7.25)
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「手ぶらでおいで」

手ぶらでおいで

手はだらん

手ぶらなら
来るとき楽ちん

手ぶらでお帰り

手ぶらなら
帰るとき楽ちん

風もつかめるし。

(2004.9.28)

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「じぶんのかなしみのはて」


じぶんの、かな、しみの、はて、は
こ、ここか

よい、しょと
すわっ、て
あし、を、ぶ、ぶら、ぶら

はあ
なんか、ひろい
ひろ、びろ、だ

ごろん、と
ねっころがっ、て
てあしを、のび、のび

はあ
うえも、たかい
たかだか、だ

ぐうう、と
てを、のばして
そこをさぐる

あれ
そこも、ふかい
ふかぶかだ

なんか
なんだか

なみだもおしよせてこないや
ちりひとつおちてない
こだまもかえらない

なんだ
なあんだ

さあ

かえろかな

もうわかったもん

                              (2004.9.6)
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「鎧を脱いでいいんですか」


いいんですかと聞かれても
誰も何も言わないだろう

いいよもだめよも
とうに答えは決定している

答えは100年前から
決定している

ゴールは100年前から
テープが張ってある


まさに
それを
切らんと

したところ
鎧はばらばらと
四方八方に飛び散り
風の彼方へ

テープはいつのまにか
切れて
ランナーはゴール
したのだが

あまりにも身軽になってしまい

テープを切ったこと
やさしい風が涼しかったこと

ランナーは気づかずに
走り去った



                              (2004.3.25)
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「その風を」


その風を頬に受けたとき
手は祈りの形に結ばれていて
神様が頬を冷やしてくれたのだと思った

堅い地面を踏めば
地球は確かにあるといつも分かって
わたしたちはとても安心していられる

透明な水を飲んだなら
それは身体の隅々にまで運ばれ
わたしたちをこの世に繋ぎとめ

しっかり目を閉じたなら
暗闇にもかすかな光がいつも
在りたいと願っているのが分かる

わたしたちは
いつまでも望まれ続けて
こちら側に繋がれている

それを感じるわたしは
わたしたちと言う
多分理解はされないだろうけれど
多分偽善だといわれるだろうけれど

その風を頬に受けたとき
手はもう解かれていたけれど
風はいつまでもいつまでも
わたしたちに
吹き続けるのだと思った


                              (2004.6.18)
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「ブランコ」


あれを絶ち切りたい

君が電話で泣きながら言うんで

僕は
君の家から100キロも離れた場所で
ブランコに乗った

切ぃ古 切ぃ古

とブランコ鳴って

その音
カラスの翼にひっかかって飛んでいった

君、それを聞いたでしょ?

君の好きな夕焼けが出ていたんだから

もう、泣かないでね


                              (2004.8.16)
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●あなたは、たった一人のあなたです系の詩↓↓↓ (2編あります)



「あるときあなたは」

ある時あなたが産まれた
あなたを抱いた看護婦さんは
「わあ~やわらか~い」
と、とても暖かな気持ちになった

ある時あなたは小さな子供で
あなたのまるいほっぺたを見たおじさんは
「ああ、俺にもああいう時があったのか・・・」
と、とても懐かしい気持ちになった

ある時あなたは幼稚園生で
先生に石ころをあげた
先生は、うけとって
「私のことを好きなんだなあ」
と、とても嬉しい気持ちになった

ある時あなたは小学生で
友達に一緒に帰ろうと言った
友達は、
「二人で帰れてよかった」
と、とても楽しい気持ちになった

ある時あなたは中学生で
若若しい空気をふりまいていた
それを感じたおばあさんは、
「いいねえ。」
と、しみじみした気持ちになった

ある時あなたは高校生で
ハンバーガーショップでアルバイトをした
店長は、
「休みの日、入ってくれてよかった」
と、少しホッとした

ある時あなたは大学生で
誰かに恋されていた
誰かは
「今日も、会えてよかった」
と、幸せな気持ちになった

ある時あなたは社会人で
電車に乗っていた
電車の車掌は
「今日もがんばろう」
と、ぱりっとした気持ちになった

ある時あなたは夫で
家で夕食を食べた
妻は
「明日もおいしいご飯を作ろう」
と、優しい気持ちになった

ある時あなたは父で
子供としりとりをした
子供は
「パパ、「みかん」は「ん」だよ」
と、楽しい気持ちになった

ある時あなたはただの人で
駅の売店でガムを買った
店員は、
「いつもの人だ」
と、少し親しげな気持ちになった

ある時あなたはただ存在していて
道を歩いていた
道行く人は
「この道は人通りがあっていいな」
と、少し安心した

ある時あなたは
あなたはある時
産まれてきた
そのために
そのためだけだとしても、
意味はあった

これからも、意味はあり続ける、
そのためだけだとしても。

ある時あなたは

                              (2004.1.9)


「街路樹からの手紙」


お元気でいらっしゃいますか。
とお聞きしても、あなたは私が誰かご存知ないでしょう。
私は、あなたがよく歩かれた道の、名もなき街路樹です。

お元気でいらっしゃいますか。
とお聞きしても、あなたはいつものように、
「便りがないのが元気な証拠」
とうそぶくでしょうか。

もうずいぶん長いこと、お会いしていませんが、
その後いかがなされたでしょう。

あの春の日。
あなたは、悲しみに打ちひしがれて、うなだれながら歩いていらっしゃいました。

あの夏の日。
あなたは、怒りに震えて、眉をひそめて、歩いていらっしゃいました。

あの秋の日。
あなたは、羞恥のあまり、肩をすぼめて、歩いていらっしゃいました。

それからあの年の暮れ。
あなたは、
「自分など誰も・・・」
とつぶやいていらっしゃいました。

あなたは気づいていらっしゃいませんか。私たちはいつもいつも、
あなたを見ていたのです。
「自分などは誰も・・・」
というのは間違っていると、どのようにしたら、伝えることができるのでしょう。

私達は、そういうあなたが、とても気になります。
幸せに満ち、微笑んでいる方よりも、よっぽどです。

あなたを愛するのは、人でなくてはなりませんか。
名もなき街路樹が、あなたを愛してはいけませんか。
太陽が、月が、風が、星たちが、あなたを愛してはいけませんか。
そんなもの、幻想だとおっしゃるのですか。
証拠がないと。

では、あの時、あなたが夕日を浴び、きれいだ、と目を細めたのは。
または星を見上げ、あ、と口を開いたのは。
あるいは、私の下に立ち、風を感じながら、しばし煙草を楽しまれたのは。

あれは、私達から、あなたに向けた、あなただけへの、
ささやかな贈り物だったのです。
私達は口がありませんので、うまくお伝えできないのですが。

南から、春一番がやってきました。
あの強い風なら、
私の手紙を
あなたの元へ運んでくれるでしょうか。

お元気でいらっしゃいますか。

私は、いつもあなたを想っている
名もなき街路樹です。


                             (2004.2.16)
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