その５ え？
●書きたくて書いたけど、何を言ってるんだかよくわからない詩（＾＾；）
を、集めています。
まあ、本人にはどういうことを言っているのかわりと分かっているのですが、説明し出すと長いし・・・。です・
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「それから」
「斜め」
「ふつうの時計」
「する・しない・する」
「世界」
「無題」
です。
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「それから」
肋骨の本数を数えながら
マニュキュアの剥げた指を気にしていた
彼女は
とうに目覚めていた
蛹のようにシーツにくるまり
くねくねと
脱皮
羽根は緑白に透き通っていたけど
すぐにしぼみ
根っこからもぎとって
捨てた
ため息一つ
すたすたと
立ち去る
彼女は
孤独の国の
気高き王女様
それから
（2004.4.24）
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「斜め」
ナナメ
斜めに
傾きながら
走り
彼の人の足は
とわ、とわの彼方
紐の解けた靴が
片方
転がっ
ナナメ
斜めに
かしげながら
眺め
彼の人の瞳は
はて、はての果て
割れ眼鏡が
きらりと
光っ
ナナメ
斜めに
転がりながら
配達された
彼の人の心臓は
まだ鼓動
トクトクッ
ならば
金魚鉢は
割らないよう
取っておく
（2004.5.3）
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「ふつうの時計」
午後からの黄色い日差しが
薬指を切断して
といっても痛くはなかったけれど
そこからこぼれてしまったから
月はなかなか登場できない
こぼれたものを
みんなが拾って来てくれた
といっても全部にはほど遠い
あと、たりないのは爪のところ
業を煮やして月が登場
ああ
あんなところに
ふつうの時計が引っかかっている
（2004.9.22）
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「する・しない・する」
蒼く透明な水を抱いて
ここから飛び降りたら
何か変わる気がする、しない、する・・・・
たくさん水を飲み過ぎて
お腹がたぷたぷ喋ったら
秘め事を教えてもらえる気がする、しない、する・・・・
ぽかりと言葉を発したら
身体は横に引っ張られて
きれいな織物が口から流れてくる気がする、しない、する・・・・
頭を一回転させたなら
地面もぐるりと回って
けど、足と髪はずずりと摺り足で進むままな気がする、しない、する・・・・
この蒼く透明な水を抱いて・・・
（2004.10.24）
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「世界」
１９９８年５月８日午前３時２９分４５秒に到る少し前、
Ｓ・・・は、冷蔵庫から卵を取り出して、それを持って走った。
Ｓ・・・の部屋の電話が鳴る。
Ｑ・・・は空を見上げて、上空の風が強いことを確認した。
犬が、トコトコと坂道を上がって行った。
Ｓ・・・は、電車に乗り、再び登場しない。
夜中まで明るいコンビニに、強盗が入ったのだがそれは随分昔の話だ。
Ａ・・・は目の端で月を追う。
１９９８年５月８日午前３時２９分４５秒のずっと後、
犬が、トコトコと坂道を降りて行って、再び登場しない。
卵は冷たく冷えていた。
Ｑ・・・は、古いレコードの音楽を、小さな記憶媒体につめこむ作業で忙しい。
花瓶の花の、花びらが一枚落ちた。
１９９８年５月８日午前３時２９分４５秒のずっと前、
地球上には誰もいなくなった。
月は、そのずっと前に壊れて無くなっている。
Ｓ・・・は、電車から降りてきた。
Ｓ・・・の部屋の留守番電話には、あなたの声が録音されている。
（一匹のニワトリが、卵を一つ産んだ）
（2004.10.29）
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「無題」
月の光は
山道を刺繍しながら
破示る
大地の肌をふるわせた
サギソウの白い翼は
夢の中
無欲なウサギは
笑いながら
遠ざかるのだ
足音も
させず
カミソリの刃のような風が
足首を
走る
もしも
始まりが
あった
ら
・・・・・・
？
（2004.11.2）
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