ほしはひかるのかな????

ほしはひかるのかな????

その8 青春の



青春の1ページシリーズ

です。

大学時代の体験を元につづっています。(私は僕ではありませんが)

「せめてもの救い (青春の1ページ目)」
「馬鹿だね    (青春の2ページ目)」
「つゆ知らず   (青春の3ページ目)」
「何やってるんだろ(青春の4ページ目)」
「それは、僕   (青春の5ページ目)」

の5本です~
(長いです)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「せめてもの救い(青春の1ページ)」



僕の行っている大学の
樹木学の講義では
教授が何語だかわからない言葉を操り
皆を眠りに誘う

何語だかわからない言葉が
次々に黒板を埋め
誰かが言うにはそれは
樹木の学名(ラテン語)だった

僕らは慌ててノートをとったが
皆、下手なミミズ字だった

テストが近づくと、
皆、下手なミミズ字のノートを
薄暗い生協でコピーし合った

コピーのコピーだったりすると
それはさらにミミズっぽくなり
コピーのコピーのそのまたコピーだったりすると
ミミズに変わって、土に潜ってしまった
コピーが繰り返されるたびに
落書きが増えていき
少女漫画や怒りの言葉などが
妙にくっきりと
僕らにせまる

新任の教授なので
過去問もなく
僕らは胃を押さえつつ
テストに望んだが
問いはこうだった

「自分を木に例えるなら何ですか」
「それは何故ですか」

問題を読んだとたんに

胃を押さえ、
頭を抱えたが

結果的には
不可をもらったものは
一人もいなかった

あの時、必死にとったノートのコピーが
まだある
自分の(未だに)好きな子の落書きが、入っているから

落書きはこうだった
「銀杏スキ!銀杏になりたい~」

テストの問いに対する
僕の答えはこうだった

「僕を木に例えるなら、イチョウです」

「何故なら、イチョウは雌雄異株であり、僕の好きな人がイチョウの雌株だからです。
僕は、空想の中であさましくも交配を迫る、イチョウの雄株です。Ginkgo biloba Linn.はイチョウの学名ですが、bilobaは二つに裂けるという意味です。悲しいです。」

不可をもらわなかったのが

せめてもの救いだ

                             (2004.2.3)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「馬鹿だね(青春の2ページ目)」


僕の行っている大学の
花卉学の講義で
花壇のデザインという宿題が出た

がんばって出した宿題は
全員 再提出
教授が言うには
「君ら、鳥か虫にならないとこのデザインは見えないよ。」
確かに、平面図は上からみた図
それも、ずいぶん高いところからだ
僕らは気づかずに、得意になって
背高ノッポな絵を書いた
ご丁寧に、色まで塗った
ああ、馬鹿だね

馬鹿といえば

僕はテストの日に遅刻しそうになって
見ず知らずの人にお願いして
自転車を借りて大学まで飛ばした
なんとかセーフ
ああ、馬鹿だね

友達なんて
算数ができずに
単位を1つ数え間違え
あやうく留年
ああ、馬鹿だね

その友達なんて
成績表の
不可っていう字が
1マスの中で潰れていたもんで
読めなくって
これなんて読むんですか
って
聞いたらしい
ああ、馬鹿だね

その友達の友達なんて
花卉学という言葉を聞いて
「柿」を勉強するのかと言っていた
まあ、僕だって読み方を知らなかったから
どっちにしろ馬鹿だね

しかしもっとも馬鹿なのは
ノートをコピーさせてくれたお礼にと
あの子を映画に誘ったんだけど
休日はデートだからと
スッパリ切られた
僕だね

ああ、、、、



                             (2004-02-04)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「つゆ知らず(青春の3ページ目)」

僕の行っている大学の
設計の実習で
縦にまっすぐな線と
横にまっすぐな線を
100本ずつ
書かされた

シャープペンの芯は直径0.5mm
濃さはなんと2Hだ
かなり力を込める作業だ

皆もくもくと作業
時々、
ううーとか
ああーとか
言って、伸びをするやつ
ふらふらするやつ
うろうろするやつ
かわいいあの子の
真剣な横顔を盗み見る


僕はと言えば
単調作業は結構得意
慣れてくれば
まっすぐで
均等な濃さの
美しい直線が
立ち並ぶ

概念という名の檻
前例という名のフェンス

僕らは知らず知らずに
そこへ
追い込まれていった

うろうろやふらふらはいたけど
斜めの線や
曲線を書く奴は

一人もいなかったんだから

教授たちはもちろん、
若者の感性
とか
自由な発想
とか
言っていたけれど

知らない世界や
前例のない提案などには
大変に及び腰

僕らはつゆ知らず

あの子の横顔を密かな幸せに
モテモテの自分を夢想し

力を込めて
檻やフェンスを書き続けたんだ

それにしても100本は多い
なんて言いながら


                             (2004.2.5)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「何やってるんだろ(青春の4ページ目)」


僕の行っている大学で
測量の実習があった
しかし何だって木枯らしが
窓に張り付く
こんな日にやるんだろ

トランシット設置
といっても
できない
昨日徹麻でふらふら
寒いし手も震える
風で錘球ゆれる
皆、地面にうずくまって
何やってるんだろ

遠くの方では
紅白のポール持った奴がふらふら
前後に動かして
棒みたいに立ってるし

角度、高さ、距離、測る
sin.cos.tan.
手をつっこんだポケットから関数電卓
やっと出番
これで今まで計算したことと言えば
昨日のワリカン 小数点以下まで
高価な電卓で
何やってるんだろ

距離だの角度なんてことより
そんなことより
測量の日だっていうのに
最近気になるあの子の
スカートはあんなに短いよ
距離だの角度より
スカートの丈
見える角度
が気になる
というか
計器を覗いてる奴が
ゴマンといるのに
はらはらするよ、もう

と思ったら
スカートじゃなくて
スカートつきのキュロット
なんだよもうって
僕は
何やってるんだろ

と思ったら
もうチャイム
院生が叫ぶ
「今日出した距離・高さ・角度を書いて提出。わからなかったら、今日やったことを
書いて提出。」
今日って、今日は
何やってたんだろ

今日やったことは
最近気になるあの子の
スカートの心配だよ
残念ながら、
キュロットだったけど

ほんとに
何やってるんだろ

と思うけど
まあこれからも
トラバース測量はもちろんのこと
僕とあの子の距離
あの子がかわいく見える角度

僕なりに、努力します


                            (2004.2.6)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「それは、僕(青春の5ページ目)」


僕の行っている大学の
一般教育課程の英語の教師は
セクハラで有名
と言っても肩に触れるとかケシゴムに触るとか
なんだけど
昨日も前の席の子が被害にあってて
明らかに嫌がっているその子を
僕らは見て見ぬふり
好きでもない子のために
声を上げるなんてことは
男のルールに反する
でも、その時、隣の席の子が

僕の方をちらっと見たんだ

糾弾されてるのは、僕

それとか
樹木剪定の実習の時
同じ班の子が突然いなくなって
終わる頃、青い顔して戻ってきたんで
軽く「あの日?」なんて聞いたら
側にいた女子全員が

僕の方をちらっと見たんだ

後で聞くところによると、その子はほんとに
あの日はつらくて
トイレで吐いてたらしいんだ

青くなったのは、僕

最悪だったのは
卒論の追い込みの中
皆のデータが入ったフォルダを
僕のと一まとめに選択
ゴミ箱へポイ
さらに
ゴミ箱を空にしちゃった
皆に謝りまくる僕を
後輩たちが

ちらっと見たんだ

粗大ゴミは、僕

まあ、極めつけは
学際のミスコンで
巨大なシシカバブの隣で
女装させられて出場し
調子に乗って壇上でふざけてた時
あの子が通りすぎるのを発見
あの子は
編みタイツでチャイナドレスの
僕の方を

ちらっと見たんだ

串刺しは、僕。


                              (2004.2.19)


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: