こまた☆たまこのジュネーヴ通信

アイデンティティの危機編


日本での慣れ親しんだ生活に別れを告げ、最愛の彼の待つ外国で

「結婚前提同居生活」を開始して、遅かれ早かれ、誰もが経験するのは、

「アイデンティティ喪失の危機」ではなかろうかと思うのです。


ふたりの関係が新鮮でラブラブの間は、まだ問題は表面化していません。

同居生活も1カ月を越え、お互いに一緒にいることが普通となり

慣れが出てきた頃、それは何の前触れも無く、突然やってくるのですっ!



「わたし・・・・・・・ここで、何やってんだろ~。」って・・・・・・。


そして、 もしも ―――っと、しょーもないことを考え始める。

~~心の声~~~

そういやぁ~、

大学時代の同級生A子は、香港で仕事が見付かったって言ってたっけ・・・・

同じゼミだったB子は、念願の米国留学でMBAを取得したって言ってたし・・・・

サークルの後輩だったC子は、プロ野球選手と付き合ってるって言ってたな~・笑



それにひきかえ、このわたし・・・・・


そして、ほどなくして言い訳が始まります。

でも・・・・・・、

『言葉もイマイチだから仕事も見付からないし、お金無いから学校も行けないし、

社交的でもないから友だちも中々出来ないし、外寒いし・・・・・。(笑)』


留学目的でも無く、就業の見通しも暗く、駐在員の妻でも無いあなたは、

ここでようやく外国生活における「アイデンティティーの喪失」に気付きます。

海外生活者の為のガイドブックには、現地での「アイデンティティーの確立」

の方法までは、解説してありませんからね・・・・笑。


そこで、まずは手っ取り早く、ネットサーフィンでもして現実逃避します・笑。

今の時代、24時間インターネットさえ接続しておけば、インスタントな

孤独感からは一時的にでも開放されますからね~?

インターネットの普及により、海外生活のハードルが以前より

低くなったことは紛れもない事実でしょう。


ネットサーフィンにも飽きて、一通り日本の家族・友だちにも絵葉書を送り

終わった頃、深いため息と共に海外生活者としての『自覚』が生まれてきます。


『国際結婚前提同居』は、大きな生活&意識の変化を要求します。


好きになった男性が外国人ということは、住む場所、話す言語、付き合う人達

に至るまで、ごっそりと総入れ替えしなければならないことを意味するでしょう。

あなたが今まで日本で築き上げてきた人脈・職歴などを一旦チャラにして、

日本の首都は香港だと思っている人が居るかもしれない国で・笑、一から

「アイデンティティの確立」に取り組まなくてはなりません。


恋に仕事に全力投球、自信に満ち溢れ都会生活を謳歌していた自分が、

フランス語が理解出来ないというその事実だけで、スーパーのキャッシャーや

レストランのウエイターから軽い扱いを受ける。

日本では専門職に就き、順調にキャリアアップしていた自分が、この国では

相当する「ディプロマ」が無いからという理由だけで、門前払いにされる。


一歩ひとり外に出れば、そこにはあなたのプライドを傷付けるかもしれない

出来事に遭遇する機会に事欠かないことでしょう。

3週間も外国生活をしてみれば、あなたがかなりの鈍感な感覚の持ち主でも

ない限り、「彼さえいれば、わたしの人生バラ色よっ♪」ってな具合にはいかない

ことが分かり始めてくると思います。


また、この時期に差し掛かると、週末の度に彼に伴って参加してきた内輪の

パーティーで、あなたは何度となく「透明人間気分体験」をしてきたはずです。

彼の家族や友人達は、あなたを意識的に会話の外に置いているわけでは

ありません。


あなたは日本人で彼のパートナーでもあるという事実以外に・・・・・・・


いったい『何者』=『アイデンティティ』であり、何に興味を持ちどんな人生を

送ってきたのかを良く知らない為、何を話したら良いのか分からないのです。



あなたが日本で出会う知り合って間もない外国人に、誰彼の区別なく

「Do you like SUSHI?」と聞いてしまうあの感じです。

あなたに全く悪気はありませんよね~?(笑)


また、単なる旅行者(ゲスト)ではなく、既に住人となったあなたに対して

周囲の人々は「毎日何をしているの?」と 親切心 から気軽に聞いてきます。

このとき、あなたの心中は複雑です。「稼がず、学ばず、懐妊せず」

まるで、海外在住者版・負け犬になった気分です。(笑)


ここまでくれば、あなたは既に立派に「アイデンティティの危機」に直面しています。


ところが、一番やっかいなことは、


パーティーからの帰宅途中の車中でのあなたの

「不機嫌の本当の理由」 を彼が正確に理解していないことです。



あなたがイライラしている本当の原因は、「アイデンティティの危機」ではないですか?



記)2005年1月6日



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