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この視点の日々
novel 結城 綾(ゆうき あや)
2章 結城 綾(ゆうき あや)
「アヤ」。その名前は聞いたことがあるような気がするが、どうしても思い出せない。
時間切れーと妹の美由紀が言う。
「結城 綾(ゆうき あや)ちゃんだよ。まさか恋人の名前を忘れるとはねぇー。」
名前は聞いたが、それでも思い出せない。
恋人なのに。
自分が愛してる人なのに。
「ほら、クラスの集合写真で隣に写ってるじゃん。」
美由紀が卒業アルバムを持ってくる。
自分はみんなのちょうど真ん中にいた。
そしてその隣には、夫婦に「確かにあなたの娘ですね」と言えるぐらい顔の似た女子がいた。
短めの髪に、おとなしそうな顔。
確かに自分のタイプの女性だった。
だからといっても恋愛感情は湧いてこない。
この人の性格もなにも知らないのだから。
じゃあ・・・その本人は今、どこなんだ?
「で、その綾さんはどちらに?」
彼女といわれても会った記憶も無い人だからつい「さん」付けしてしまう。
一瞬反応が止まるが・・・
「綾、命に別状はないんだけど、傷が深くてね。無菌室で安静なの。」
話によると、俺が彼女を車に乗せてドライブしていたようだ。
そこに車が衝突してきて・・・
奇跡にも2人とも命に別状無く助かったとの事。
安心した。
医者に「あと2~3日はベッドでおとなしくしてなさい」と言われたから、今すぐには無理だが、
自分の記憶を取り戻せるであろう1番の存在の人にもうすぐ会える。
それだけが嬉しかった。
その日の夜、親友の佐藤が来た。
しばらくは、彼の話で記憶を取り戻そうとした。
「北海道から来ました、結城 綾です。」
「じゃあ、結城さんは安田さんの後ろの席ね。」
高校2年の始業式の日、彼女は転校してきた。
その時は、席は3つぐらい隣だった。
「じゃあ、何かあったら、学級委員長の金岡君に言ってね。」
『金岡 元章です。よろしく。』
「こちらこそよろしくね。金岡君。」
その週の日曜日、彼女に会った。
実は彼女は、俺の向かいのアパートに住んでいた。しかも同じ5階。
自分の部屋から彼女の部屋が簡単に見えた。
「ま、そんなマンガみたいなシチュエーションなんだから後は予想できるよな。」
無茶な。
次の日、佐藤は大学を休んでまで俺の記憶修復に手伝いに来てくれた。
俺は何かあったらすぐ友達に相談する人なので、彼は俺と彼女のことをよく知っていた。まぁ、正確には俺が教えたんだろうが。
彼女とは特にどういったことも無く、「普通のクラスメート」だった。
学級委員長としても特に彼女に何かしたわけでもない。
でも、ある日、英語の成績が悪かったときがあった。
学級委員長をしてるのだからそこそこ成績はいいのだが、英語は1番苦手だった。
そこで彼女に勉強を教えてもらいに行った。
別に理由はなく、ただ単にそのテストで彼女が100点取ったと聞いたからだ。
「それで図書館に行ったのさ。ま、これが記念すべき初デートって事。」
勉強を教えてもらった後、彼女の話を聞いた。
彼女はここに来る前は北海道にいたが、その前はアメリカにいたそうだ。
「生まれてから10歳までニューヨークに住んでたの。だから日常会話ぐらいの英語はできるんだけど、そのかわり古文が苦手で・・・・」
それからは2人でそれぞれの教科を教えあっていた。
何回かそういう日が続くうちにうちに彼女のいろんな話を聞いた。
彼女の母と妹はまだニューヨークに住んでて、父親と2人暮らしな事、その父親も出張が多くてほとんど家にいない事。
そして、ある日の帰り。
「ねぇ、今日は家で夕ごはん食べていかない?いつも一人でさびしいの。」
そう言って彼女は家にあげてくれた。
『ちょっと待った。なんでお前はそんなに俺と綾さんのことに詳しいんだよ。』
「な・・なんだよいきなり話を遮って。ま・・まぁいいじゃないかよ。」
動揺している。絶対何かある。
5分ほどの口論の末、
「実はな、3週間前、お前の誕生日パーティーしたときにな、思いっきり酒飲まして酔っ払わせたんだよ。」
『ちょっと待て、俺19歳なんだろ?未成年じゃねーか!』
「ん・・・その場の成り行きってものさ。」
話はこうである。
誕生日パーティーの日、その場の成り行きでみんな酒を飲んで酔っ払った。
佐藤や彼女含め、その場にいた全員が泥酔状態だった。
その時、酔っ払った勢いだろうが、突然俺が、『大学を卒業したら綾と結婚する』と宣言したそうだ。
そしたら皆もその勢いで「2人の出会いのエピソードは?」とかタレントの婚約記者会見のように聞き出した。
それで、『エピソードは高校時代の日記に書いてあるな』とタンスの中から日記を取り出した。
次の日の朝、それを持ち帰っている自分に気づいたそうだ。
「本当はすぐ返すつもりだったんだが、しばらく会うことも無くてさ。」
と、一冊の本を取り出した。高校1年からつけてる日記の2冊目だ。
「これは返すよ。」
『あたりまえだ。俺のだろ。』
「まったく、酒の力は怖いな。禁酒しようかなぁ。」
『てことはまだ飲んでるのか』
「たまにね。たまに。」
そんなことより・・・
「酒の力は怖い」という言葉が何故かひっかかるのだが・・・・
そんな姿を俺の父、武昭(たけあき)は難しい顔で見ていた。
あとがき
無理やりな展開すいません_| ̄|○
最初にストーリーの骨組みを決めてから作ったんですが、最初に決めた設定だと後々が矛盾してしまうため、急遽内容を変えました。
そのおかげで、たぶん内容おかしいと思います。
「前のストーリーで出た疑問が、後々のストーリー展開に複雑に絡む」小説をめざしてます。
「酒の力」にひっかかる元章。
その姿を複雑な顔で見るお父さん。
北海道から転校してきた彼女。
全て後々の重要な設定です。
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