サイボーグ023

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第23話 ホータン


南に崑崙山脈を眺め、
東西のカラカシュ河(黒玉河)と
ユロンカシュ河(白玉河)に挟まれた
人口15万人ほどの都市である。

ちなみに、両河は北上して合流、
ホータン河となりタクラマカン砂漠を縦断して
阿克蘇(アクス)までつながる時期もあるらしい。

1時過ぎ、ようやく、そのホータンに到着。
今日の宿は「和田賓館」。
典型的イスラム建築の2階建てホテルで、
玄関前ロータリー内にある花畑が映える。
市の中心部からはちょっと、はずれているが、
比較的人通りは多い。

部屋に案内された後、
すっかりマンネリ化した料理とビールを飲んで遅めの昼食。
「観光まで2時間の休憩ね」と言うワンさんに、
「OK、OK」。
それじゃ、おじさんは市内探検に行ってきま~す。
仲が悪いのか、3人ばらばらに外出。

広い大通りは人と自転車がほとんどで、
車はめったに通らない。
車道と歩道の仕切工事をしてるのか、
四角いコンクリートが無秩序に転がっている。
決してきれいとは言えないが、
これからの発展性を秘めた躍動感がある。

あちこちを写真に撮りながらきょろきょろしてたら、
また、子どもたちが集まってきた。
今回の旅行先の中では、
ここの子どもたちが、一番日本人に似ている。
おじさん得意のキャンディ外交で、
すぐに仲良くなれるのがうれしい。
いっぱい写真を撮って笑顔でさよなら。

満足感に浸って歩いていて気付いたんだけど
「ここは、日本人がいないよ」。
今までアジアのいろんな所へ行ったけど、
日本人が周りにいないって経験は初めて。

異邦人を実感したおじさんが、さらに大通りを行くと、
右側に3階建ての大きな建物が見えてきた。
そのビルの入口には見慣れた絵の看板がある。
「泰担尼克号」の文字が。
そう、ここは映画館で
「タイタニック」を上映してるみたい。

この辺りは市街地の中心に近いのか、
道路脇に数人の男達が集まって何かを囲んでる。
大きな木製の盤に丸い駒を並べて真剣な表情。
縁台将棋らしいが、
この人達って、今日は仕事無いんかいな。
遠慮がちに写真を撮りながら、
余計なことを考えてるおじさん。

暑くて埃っぽかったけど、
現地人に混じって歩いた至福の2時間でした。

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