サイボーグ023

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第30話 要我慢


見渡す限りの砂の世界。
おじさんたちの乗ったランクルが走る道と、
その道路沿いに等間隔で並ぶ電信柱だけが、
遠くに続いてるのが見える
とっても不思議な世界です。

朝の不愉快極まる体験も
この広大な中国の大地を
実感することによって、
だんだんちっぽけな事に思えてきて
嫌な記憶も薄らいできました。

やっぱり中国っていいな。
特にシルクロードは最高にいいな。
なにしろみんなゆっくりしてるし、
驚異的に我慢強いんだから。

それではおじさんが
途中で見かけた中国人「忍耐」話を
二つ紹介しましょう。

一つは、乗り合いバスの乗客。
アスファルトの舗装工事中ということで、
何の事前標識も警告も無く
突然にランクルは止められました。

すでに、ランクルの前には
乗り合いバスが止まっており、
エアコンも無い暑い車中に
すし詰め状態で大勢の乗客が乗ってます。

見ていてもかわいそうなくらいで、
それもかなり待たされたのに、
誰も文句も言わず平気で待ってるんです。
恐るべし!

そしてもう一つは、
オアシスのはずれの空き地に
集団で列をなしてる立ってる
ウイグル族のおじさんたち。

ロバ車と言っても
自らが引いてきてる人もいるので
人力車と言ってもいいかな。
とにかく大量の羊毛を袋に詰めて
それを積んだまま横にずっと立ってる。

仲買人に買ってもらうため
夕方くらいまで順番を待ってるんだって。
気の長いこと!
見習わなくっちゃね。

朝の怒りが完全に無くなるころ
ホータンから320kmのドライブも終わり
ようやくヤルカンドに着きました。

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