きらきらぼし

きらきらぼし

オレンジ色の雪



白い雪にオレンジ色はまぶしすぎて、

なんだか不似合いな気がしていた。

そのことを君に言うと、

あったかそーだからいいでしょ

と、悪戯っこのように笑い、

僕の腕に手を絡ましてくる。

「クリスマスプレゼント、オレンジの雪にしよっか?

私ね、あなたのためだったら、オレンジの雪だって降らせちゃうわよ」

君は 僕によくそう言った。

オレンジの雪を降らせるぐらい愛されているのか、

いつもの君の独特のリップサービスなのか、僕はわからずにいた。



僕は、そのコートと同じように、

君に、オレンジ色を感じていたんだ。



僕は、太陽が海に沈んだ後の蒼い海が好きだ。

蒼い色を身にまとうと、不思議に落ち着いた。

僕にとってオレンジ色は、選択肢にはない全く逆の色だった。

人は、全く逆の色に強烈に惹かれるか、

同じ色に安心感を求めるかどちらかだと思う。

そして、逆の色は、強烈に惹かれあうのに、

反発しあう力も強いこともわかっていたんだ。

一度、素直になれなくなったら、どこまでも心は閉ざされていく。

僕は、いつしか、君のオレンジがまぶしすぎて、

君のことが見えなくなってしまっていった。

白い雪の中に、不似合いなオレンジのコートを見つけることは、もうなくなった。



蒼い空に、雪が降ってる。

照らされる常夜灯の灯りを見上げると、

あ・・・

オレンジ色の雪だ

オレンジの光に染められた雪が僕の肩に落ちる

蒼い空に オレンジ色の雪が 光のようにふりそそいでいた

僕は やっと気がついた

蒼い空はオレンジ色の雪で輝き、

オレンジ色の雪は、蒼い空に包まれると美しく輝く



君が降らしたオレンジ色の雪が

僕の肩から消えてしまわぬうちに

君に逢いに行こう



今年のクリスマスは、

君の心に何色の雪が降りますか?






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