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塾講師ママ中学受験サポート国語-合格だけでいいんですか-
読書のレベルアップ
先日は論説文や自然などを取り扱った説明文で、一般的な(大人の)考え方や価値観を知って、精神年齢が上がっていくというような話をしました。
今日は、物語について。
幼い間は、登場人物をいい人か悪い人かに二極化していくケースが多いですね。
「この人、いいもん。」「こいつ、悪いヤツ。」みたいな。
低学年の教材にもそういうものは多いですし、昔話とかだと悪い役割の人は
徹底的に悪いし痛めつけられますね。
それが、例えば「風葬の教室」とか、高学年の物語では、
「一見性格が悪そうだけど、それには理由があって・・・」とか
「本当は仲良くなりたいと思っているけれど、素直になれずに・・・」
「こんなきつい言葉を吐いたのは、実はこんな気持ちが隠されていた・・・」
というような複雑な人間模様にも触れていきます。
このような、言葉の響きとその奥にある本当の気持ちには大きな差があった・・・
という読解の最初の練習問題として使われるのが
「飛び込み」(「飛び込め」)かと思います。
ご存知の方も多いと思います。
船の甲板で子猿とじゃれあっているうちに、マストの高いところまで登ってしまい、はっと我にかえったときには、その高さの恐怖で身動きできない少年。
父親である船長が、とっさに持っていた銃を息子に向けて
「飛び込め!でないと打つぞ!1・・・2・・・3!」と叫ぶ。
少年は、海に飛び込み、と同時に飛び込んだ水夫達によって助けられる。
少年が息を吹き返したのを確認すると、船長は泣き顔を見られないようにその場をさけて船長室に戻る。
・・・というような話です。
どこのかは忘れましたが、小5の教科書にも載っていたはずです。
私は小4で塾の授業で指導することが多かったです。
このお話の船長の言葉を例題として、
「登場人物が気持ちをそのまましゃべってくれるとは限らない。」というのを学びます。
レベルが上がるにつれて、
うそつきな登場人物。
意地っ張りな登場人物。
無口で、気持ちをちらっと態度で表す人物。
と言った人物の気持ちを読み取る力をつけていきます。
それから
お互いに誤解しているそれぞれの気持ちなんかにも挑戦していきます。
国語は、文章のどこかに必ず答えがある。
中学受験の勉強となると、そうもいかなくなってくるのですね。
主人公がウソをついていることもあるわけです。
まぁ、それがウソであるぞというヒントはどこかに書いてくれているはずではありますが。
ただ、読書経験の少ない子には、こういうところまで授業が進むとなかなかついてくるのが大変です。
「いい人」か「悪い人」かとしかとらえられないわけですから・・・。
まんまと登場人物のウソにだまされます。
態度・しぐさに隠された気持ちなど注目すらしていなかったりします。
私は、「読書学年」というものがあるように思います。
小さい頃から読書習慣がある子であれば、実際には小4でも、中学生対象の文章でも読めるでしょう。
また逆に絵本ぐらいでストップしている子ならば、実際には小4でも、読書学年は小1~2ということもあります。
一概に、学校の学年だけで本を選択するのではなくて、
お子さんに合った本をたくさん読むきっかけを作ってあげて欲しいなと思います。
別に実際の学年より下の本だから恥ずかしいなんてことは全くありません。
むしろ背伸びするよりも、土台となるいい低学年の本に数多く触れさせてあげることが大切です。
挿絵が多く、色も鮮やかなたくさんの画風のイラストに出会った方が、
いざ自分で文字からイメージする際、多くのサンプルがインプットされていることで想像力が広がる手助けになると思います。
「むか~し、むかし。」この言葉から始まったら、自然と野山に囲まれた藁葺きの家、着物姿の人物。もちろんビルやテレビやスニーカーは登場しない。・・・こういう前提がわかるというのは、やはりある程度の昔話に触れた経験があるからですよね。
そういう本の世界の暗黙の了解を知っているのと知らないのでは、大きな差になってしまうんです。
昔話を入試問題で出題するところは少ないですが、これが戦争中の日本を背景とした物語だったら・・・。
出てくる言葉だけではダメであることもありますね。
食料が絶対的に不足しているとか、命の危険、父親がなぜこの場面に登場していないのか・・・など、暗黙の了解はたくさんあります。
そして、登場人物の気持ちをその場で読んで考えるのは、今の平和な日本の中の子ども達には無理があります。
やはりその場合、どれだけたくさんの戦争についての文学に触れてきたか・・・その蓄積がものを言うでしょう。
受験ということだけじゃなくて、
登場人物の気持ちを読み取る経験って、実生活にも絶対に役立つと思いません?
口ではいい人のようだけど、そうじゃない人。
悪い人ぶっているけど、不器用なだけで純粋な人。
『友達が今日は冷たい・・・
「なによ、あんな子!もうキライ!」となるのか、
「なにか家でイヤなことでもあったのかな?後で理由を聞いてみよう」となるのか・・・。
相手の気持ちを読み取る練習を物語でしていると思ってね。』
なんて話もしてから、宿題の解説をしたりしていました。
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