パジャマの朝


ねえどうしたの きみは遠くの街にいるはず

きみは寝ぼけ顔で こう言った
「だってここは夢の中だもの」

そういえば この部屋はおかしいね
きみの部屋とぼくの部屋が まざりあってる
いつか見た映画のサーカスが 引き出しに象を 隠してるよ

急いで逃げなくちゃ悪いサーカスが きみをずっとさっきから
きみを狙ってるよ さあ逃げよう さあ急いで!

でもアアきみは羽枕 抱きしめて
片方靴下をはきかけたまま うとうとしてる

ダメだよ これ以上待てないよ
ハミガキしながら ついておいで

ねえきみ アタマからシャボン玉を出して
パジャマの樹にもたれて

ほんとうにきみはナマケモノなんだね そんなに眠るととけちゃうよ

ねえダメだよ 起きておくれ きみはおぼつかない足取りで
フラフラと ぼくに手をとられて


道はただまっすぐに つづいてる
それは思わずタメイキが出るほどまっすぐで

この世のものとも思われない 翼をひろげてる地平線
ほら きみのダイスキなパジャマの樹
その嬉しそうなきみの笑顔 逢いたかったよ

ぼくのきみは 誰もよごせない おろしたての 白いシャツみたい

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