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2025.07.13
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カテゴリ: 読書





久しぶりに松本清張を読んだ。
「火の路」上下巻である。
そして堪能した。ストーリーと清張の歴史を見る目に。
改めて松本清張の凄さを思う。

 3月に白内障の手術をして3ヶ月経った。世の中が見違えるようになったという人もいるみたいだが、私は特に悪かった右ののカスミはいくらか残った。しかし、眼科での視力検査では月日と共によくなっている。手術前は右目はほとんど役に立たず、右目は閉じて左目だけでネットの文字や新聞・本は読んでいた。そのため、この2,3年は本もほとんど読まず(読めず)、積読だけが少しづつ増えていた。

 手術後3ヶ月くらい経った6月末、久しぶりに本を読んでみようかと思って手にしたのが、松本清張の「火の路」である。
 私の本屋は専ら古書店であり、そこで面白い本を見つけるのを楽しみに古本屋めぐりをしていた。BOOK  OFFのみならず、特に歴史書は町の古本屋の方が掘り出し物を見つけることが多かったので、市内には少ない店をまわっていた。この「火の路」は確か名山堀に他の掘り出し物を見つけて買いに行ったとき、本棚にあったのに気づいて買った本だった。

 その後、2022年7月9日に私のブログに「『地図で読む松本清張』を読んでみた。」というタイトルで書いたところ、ブロ友で奈良在住の「リュウちゃん」さんから次にようなコメントが寄せられた。
「大学時代に読んだ『火の路』には、奈良の明日香村の『なぞの石造物』が登場してきます。リュウちゃんが明日香村によく行くのは、清張の『火の路』の影響が大きいのです」


その頃から白内障も進み上下巻もの読破は無理だろうと思い、今回手術後に一番に手に取った。実に読もうと思ってから3年が過ぎていた。

 「火の路」は初めは朝日新聞の連載小説「火の回路」として昭和48年(1973)6月から49年(1974)10月まで掲載されたものだという。私が33歳から34歳の頃であり、実に52年前に書かれた小説だ。そして「火の路」と改題され単行本上下二巻として昭和50年(1975)11月から12月に出版されたという。
 この小説に出てくるリュウちゃんの言われる「なぞの石造物」とは一体何なのか。
ズバリ「酒船石」を中心とし、「亀石」「益田岩船」「猿石」「二面石」「須弥山石」「道祖神像」などである。
 松本清張は自分の代わりに主人公のT大助手の高須通子を介してこれらの石造物を取り上げて、それまで学会での定説がない、その謎の解明にあたろうとしたのだと思われる。清張は、これら問題の石造物について従来の諸説を検討し、それらを日本書紀の斉明天皇の条に見える両槻宮(なみつきのみや)に結びつけて、異宗教に関係するものと考えたのではないか。そしてペルシャのゾロアスター教が中国に入って祆教(けんきょう)となり、これが日本に入って来て斉明天皇の信仰になったのではと推測する。異宗教の両槻宮の付帯施設としてのこれら石造物は、仏教や神道の圧力で両槻宮が建造中止になった後に廃棄されたのであろうと推理している。それらの手がかりを見つけようと清張はイランに飛び、ペルシャ時代の遺跡や遺物を見て回ったのだ。それを主人公の高須通子の目を介して書いている。
主人公の高須通子がイラン旅行前と後に書いた二つの学術論文は素晴らしいものだと思う。
その他に、ドラマが進行する中で、途中に学術的な説明が小説とは思えないほどの頻度と長さで出てくる。浅学な私には頭がついていけない部分が多く、それでもストーリーは面白いため読み飛ばした部分も多く、現在2日目を読んでいるが、どこまで理解できるのかわからない。
もう一回読破して、少し理解が進んだら、再び明日香村を訪れて「なぞの石造物」を追いかけてみたいという気持ちがふつふつと湧いてきている。





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Last updated  2025.07.13 17:04:44
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