充実
船は定刻通り、朝７時に大分港へ着岸した。
別府へ出て湯布院から、やまなみハイウェイへはいつものルートだ。ウォーミングアップには
少々ハードな山道が続く。
昨年の春よりずっと肌寒く、まだ残雪も残っていた。ウィンタージャケットの上に、
更にカッパを着込んだ。
大観峰に行くまでの寄り道で、久住高原の大パノラマを楽しみ、九州出身の楽天ライダーさんに
教えて頂いた産山にも立ち寄った。
車通りの殆どない広域農道を抜けると、うぶやま牧場が見えて来た。のどかな牧場風景と
青い空に、白い風力発電が気持ち良く回る。
産山を出て大観峰に着いた頃には、そう距離も走っていないのにひどく疲れていた。
連日の仕事疲れと、旅の緊張感とでだんだん集中力が切れてきたようだ。ここで２時間程
ゆっくり過ごし、早めに走りを切り上げ宿へ向かう事にした。
今回の宿は、昨年の秋にもお世話になった内牧温泉の五岳ホテルだ。
荷物をおろし、着込んでいた衣服を次々と脱ぎ捨て、さっそく温泉に直行だ。
湯に浸かると、まるで全身マッサージを受けているかのような心地良さで、こわばっていた
体中の筋肉がほぐれていく。
疲れた体ほど、温泉の良さがよく分かるようだ。時間を忘れいつまででも、湯に浸かって
いたい気分になった。
待ち兼ねていた夕食は、一人牛鍋。食べきれない程の食材に圧倒されながら、焼酎と共に
ゆっくり味わった。
お腹も、気持ちも満腹。この上ない、ただ一人の贅沢な時間。
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