適当に・・・

適当に・・・

第四話

「誰かいる……」
昨日の夜、クラスの男子グループが学校できもだめし大会をやったらしい。
休み時間はその話でもちきりだ。
「みんなビビってこないからさ、オレひとりで学校にしのびこんだんだぜ」
とリーダーのO君は得意げに武勇伝を語っている。
「でも、階段の踊り場で変な気配がしてさぁ、それで上を見上げたら…いたんだよねぇ」
急にO君が声をひそめたので、みんな真剣に聞きはじめた。
「な、何かいたの!?」
「それはね……、鏡に映ったオレの姿だよ~ん!」
そのオチを聞いて
「な~んだ。おどかすなよ!」とみんなはドッと笑い出し、O君も
「いや、オレも最初はマジでビビったんだって!」
とやり返していた。
爆笑のなか、ふと見るとH君だけが青い顔をしている。
心配になった私は「どうしたの、保健室行く?」とたずねると、
H君は小さな声で言った。
「あそこって鏡ないよね……?」

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