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2011.10.04
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カテゴリ: コメディ

Dr.Strangelove Or:How I Learned To Stop Worrying And Love The Bomb
                        1964年 アメリカ・イギリス映画

監督 スタンリー・キューブリック
出演 ピーター・セラーズ ジョージ・C・スコット

 コメディです。とびっきりブラックなコメディです。ブラックすぎて怖くなるくらいのブラックコメディです。キューブリック監督が「2001年宇宙の旅」の前に撮った作品です。

 冒頭、「この映画に描かれているような事故は絶対に起こりえないと合衆国空軍は保証する」という字幕が流れます。
 アメリカ戦略空軍基地のリッパー将軍は、配下の飛行部隊にR作戦実施の命令を出します。それはただちに、50メガトンの核を搭載して、ペルシャ湾から北極海にかけて飛んでいる、戦略爆撃機B52の全34機に伝えられます。また、基地の全員に、この基地に近づくものは、たとえわが軍の制服を着ていようが、敵だから、攻撃せよと命令を出します。そして、英国空軍から出向してきているマンドレイク大佐(ピーター・セラーズ1役め)を道づれに、指令室に立てこもります。
 爆撃機の機長キング・コング少佐は、R作戦の内容を確認し、部下に通信装置にCRM装置を接続するように指示します。CRM装置は、敵からの通信妨害を防止するために、通信を全く受け付けなくする装置で、リッパー将軍の知っている暗号でしか解除することができないものです。攻撃目標はソ連国内のICBM基地です。

 リッパー将軍の基地では戦闘が始まっています。マンドレイク大佐は、なんとか将軍から暗号を聞き出そうとするが、敗色濃厚になってきたことを知った将軍は、捕虜になることを恐れ、自殺してしまいます。
 一方、コング少佐の爆撃機は、ミサイル攻撃され、一部破損しますが、何とか持ち直し、飛び続けています。通信装置は破損、燃料は漏れ、低空飛行を余儀なくされます。
 リッパー将軍の机上のメモから、暗号を推測したマンドレイク大佐は、侵入してきた兵士に脅されながら、公衆電話で、大統領に連絡することができました。爆撃機は、撃墜された4機を除き、全機引き返すことに成功したと連絡を受け、歓声が挙がるペンタゴンですが、ソ連首相から連絡が入り、撃墜は3機で、まだ1機飛んでいるとのことでした。大統領は攻撃目標を知らせ、防御するように要請します。
 残っている1機はコング少佐の機でした。燃料不足から、攻撃目標を変更していました。命令解除を知らないコング少佐らは、着々と爆撃準備を進めますが、爆弾投下口が故障で開きません。少佐が修理に向かいます。修理完了したちょうどその時、目標に到達し、馬乗りになったコング少佐ともども、爆弾を投下します。
 ペンタゴンでは、兵器開発局長官で科学顧問で、元ナチスの科学者ストレンジラブ博士(ピーター・セラーズ3役め)が、国民を選抜し、選ばれた優秀な人々を地下に避難させ100年頑張ればいいと大統領らを説いています。
 ラストシーンは、きのこ雲の連続映像です。

 勢いに乗って、あらすじを最後まで書いてしまいましたが、これに、登場人物のおかしな言動が乗っかって、見事なブラックコメディが出来上がっています。とにかく、出てくる人々が、ことごとく変なのです。

 まず、爆撃機の司令官ジャック・D・リッパー将軍。物語の元凶ですが、どうやら、共産主義を恐れるあまり、あらぬ妄想にとらわれています。共産主義者がアメリカに侵入してきており、水道水にフッ素化合物を混入させているというのです。なぜ、それに気づいたかというと、最愛の奥さんとの夜の営みの時、大事な物が役に立たなかったからそうです。(単なる年のせいだと思いますが)そして、基地の部下たちが降伏し、敗色濃厚になった時、捕虜になるのを恐れ、自殺してしまいます。

 次に、タージドソン将軍、思いっきりタカ派で、反共、自軍の戦力に異常に自信を持っており、その無敵さを大統領に熱弁します。「皆殺し装置」のことを聞いた時には、そんな爆弾がほしかった、と思わずつぶやいています。この事件の連絡を受けたとき、下着姿の美人秘書と、まさしくベッドインするところで、会議中も、その愛人からの電話を受けています。

 爆撃機の機長、キング・コング少佐、結構任務にまじめな兵士ですが、終始カウボーイハットをかぶっており、爆弾にまたがって、雄叫びをあげながら落ちていきます。

 英国空軍から出向している、リッパー将軍の副官マンドレイク大佐、一見まじめな軍人ですが、銃を撃ったことがないそうで、片足は義足で、第2次大戦では、日本軍の捕虜になり、ラングーン鉄道の橋を作らされていたそうです。(このギャグが分かる人は昔からの映画ファンです。)実は、リッパー将軍の命令でR作戦の指令を出したのは、この人です。可哀そうに、作戦の内容は知らされていなかったんですね。



 マフリー大統領は、一見、この中で1番しっかりしてまともそうですが、実は体面にこだわっており、何とか丸く収まらないかと考えている、ことなかれ主義者のようです。

 そして、何といっても、兵器開発局長官で科学顧問で、元ナチスの科学者ストレンジラブ博士です。もう、見るからに変な人です。いろいろと体が不自由なようで、車いすでサングラスをかけています。右手も不自由なようで、常に左手で押さえてないと、上にあがってしまい、“ハイル、ヒトラー“の姿勢になってしまうようです。そして、その表情は、常にニヤけていて、爆弾の話をするときは、とてもうれしそうに、熱弁します。最後には、明らかにナチスばりの選民思想的発言で、長年の主張を発揮できてうれしそうです。つい興奮しすぎて、立ち上がり、歩き出すほどです。

 この映画の公開当時、米ソは、全くの冷戦状態で、軍拡競争真っただ中でした。そんな状況を思いっきり皮肉った、痛快なブラックユーモアにあふれる怪作でした。何といっても、3役を怪演して、本領発揮したピ-ター・セラーズは、見事です。

 この作品、米アカデミー賞で、作品・監督・主演男優(もちろんピーター・セラーズ)・脚色と4部門にノミネートされましたが、もちろん例の如く無視されています。





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Last updated  2011.10.12 18:54:54 コメント(1) | コメントを書く
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