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2015.01.01
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カテゴリ: SF
クラウドアトラス1



監督 ラナ&アンディ・ウォシャウスキー トム・ティクヴァ
出演 トム・ハンクス ハル・ベリー ジム・スタージェス ベン・ウィショー
   ジム・ブロードベント ぺ・ドゥナ ジェームズ・ダーシー ヒュー・グラント
   ヒューゴ・ウィーヴィング スーザン・サランドン

 あけましておめでとうございます。いつの間にか2015年ですね。昨年は、なかなか更新できなくて、何カ月も滞っていたりすることもありました。新しい年になり、気分を新たに、もっと頻繁に、毎週とかは難しいかと思いますが、せめて、月に2回ぐらいは更新したいと思っています。よろしくお願いします。

 さて、今回は今年最初ということで、最近観て1番気に入っている作品を紹介したいと思います。
 公開当時、TVCMで観て、トム・ハンクスやハル・ベリーが何役もやっているようで、どんな話なのか非常に気になっていた作品です。
 しかも監督が、あの「マトリックス」三部作のウォシャウスキー姉弟(「マトリックス」当時は兄弟でした。)です。絶対面白いに違いないと期待バリバリでした。


 1849年、奴隷売買の契約を終えた若き白人弁護士ユーイング(ジム・スタージェス)は、医師グース(トム・ハンクス)と共に、アメリカへの帰路の船旅についていました。病気のため隔離されていた船底の船室でユーイングは、脱走し密航していた黒人奴隷オトゥアと出会い、一度は運命を変えられないと断るも、説得されて助けることにします。
 1931年、男娼だったフロビシャー(ベン・ウィショー)は、往年の大作曲家エアズ(ジム・ブロードベンド)の元で採譜係として雇われ、夜に自分の交響曲を作曲していました。
 1973年、物理学者シックススミス(ジェームズ・ダーシー)は、原発事故を引き起こし石油企業の利権を守ろうとするフックス(ヒュー・グラント)を告発するため、偶然知り合ったジャーナリストのルイサ・レイ(ハル・ベリー)に原発の報告書を託そうとするが、殺し屋ビル(ヒューゴ・ウィーヴィング)に射殺され、ルイサも命を狙われます。
 2012年のロンドン、作家ダーモット(トム・ハンクス)が殺人事件を犯し、カルト的人気を得たため、彼の著書はベストセラーになります。ダーモットの出版元であったカベンディッシュ(ジム・ブロードベント)は大儲けするが、獄中のダーモットの命令でやってきた彼の弟達に「分け前をよこせ!」と脅されてしまいます。
 2144年、海に沈みゆく全体主義国家ネオソウルでは、遺伝子操作で作られた合成人間(複製種)達は人間(純血種)に支配され、過酷な労働に従事させられていました。複製種ソンミ451(ペ・ドゥナ)はある日、革命家チャン(ジム・スタージェス)に救出され、生まれて初めて外界に足を踏み入れました。
 2321年の文明の崩壊した未来の世界、ある島(かつてはハワイと呼ばれていました。)では凶悪な人食い族に怯えながらも、人々は遥か昔、世界を救ったとされる女神ソンミを崇め、素朴な生活をしていました。島の住民ザックリー(トム・ハンクス)は彼の心の闇の部分であるオールド・ジョージー(ヒューゴ・ウィービング)に悩まされ続けており、人食い種族に襲われた仲間を見殺しにしてしまいます。ある日、島に「昔の人」の科学文明を維持しているプレシエント族からメロニム(ハル・ベリー)という女性がやって来ます。メロニムは、“悪魔の山”と呼ばれ、人々が恐れ近づかない遺跡へのガイドを探していたのです。

クラウドアトラス2

 6つの時代の6つの物語が、アトランダムに切り替わり、同時進行で展開されていきます。時には、数十秒で切り替わることもあり、はっきり言って、混乱するかもしれません。しかし、意外なことにだんだんと慣れていき、ちゃんと6つの物語の筋をきちんと追っていけるようになるから不思議です。
 バラバラに切り替わっていますが、最初にダイジェストで6つの物語を紹介している場面以外は、ちゃんと時間は戻ることなく前に進んで行きますし、それぞれの物語のクライマックスに向けて同じように盛り上がっていくので、映画世界にのめりこんで、夢中になってしまいます。
 まあ、主人公も舞台も雰囲気もそれぞれなので、人によっては好き嫌いがあるかもしれません。確かに僕も、2012年のカベンディッシュの話は、主人公がちょっと悪賢いところもあり、いまいち感情移入できませんでしたが、2144年のソンミの話は、後で述べる理由も有り、思わずラストで涙ぐんでしまいました。
 また、時代も舞台もテイストもバラバラな物語ですが、互いの関連しあっているところがあります。例えば、1849年の主人公ユーイングの航海記が、1931年の主人公フロビシャーの愛読書だったり、2012年のカベンディッシュの物語が映画化されていたものを2144年のソンミが観ていたりするのです。

 そして、この映画の面白いところは、役者陣が物語ごとに違う役をやっているところです。それは、役の大小・年齢はもちろん、性別・人種まで違う役を時には特殊メイクを施して、演じ分けしているのです。

 ハル・ベリーは、1849年では一瞬だけアップになる名もないマオリ族の女、1931年にはフロビシャーと不倫関係になる大作曲家の若き妻ジョカスタ(白人)、1973年は主人公ルイサ・レイで、2012年は出版パーティーのインド人の女性客、2144年は脱出後のソンミの首の爆弾を外す闇医者(男)、そして、2321年では、主人公ザックリーを助けるメロニムです。
 特に、エージェント・スミスことヒューゴ・ウィーヴィングは、すべての物語で悪役的な脇役を演じているのですが、2012年で演じている、主人公カベンディッシュが無理矢理入れられる老人ホームの看護婦の怖さは異様でしたし、ペ・ドゥナが、1973年の物語で演じている、結果的にルイサを助けることになる違法工場にいたメキシコ人女性の、本人と全く違うブサイクさ加減は傑作でした。
 中には、あまりにもチョイ役すぎて、また特殊メイクすぎて、全く気付かないものもあり、最後のエンドロールで紹介され、びっくりしてしまうものもあります。(思わずそれを確認するため、もう1度見てしまうほどです。2時間半もあるのに。)
 ただ、人種を変えるための特殊メイクが、ちょっとイケてないのがちょっと気になりました。2144年は韓国(ネオソウルという架空の都市)が舞台なため、ジム・スタージェスとジェームズ・ダーシーが東洋人に扮するため、目のあたりに特殊メイクをしているのですが、非常に違和感ありありですし、1849年の主人公ユーイングの妻ティルダは韓国人のぺ・ドゥナなのですが、まったく白人には見えませんでした。(まあ、それはそれで可愛らしかったけどね。)
 白人と黄色人種って、そんなに違うんですかねえ。まあ、かつての007よりはずーっとマシでしたけどね。(「007は二度死ぬ」参照。)

クラウドアトラス3


 このぺ・ドゥナという韓国人女優、韓国映画はほとんど観ていない僕でも観ている韓国映画「グエムル」に出ていたそうですが、全く気が付きませんでした。
 でもまた、僕のお気に入り女優が増えてしまいました。ウォシャウスキー姉弟の次回作にも出演しているということなので、非常に楽しみです。

 ということで、非常に趣向を凝らした楽しい映画と、かわいらしいお気に入り女優を、見つけてしまったというお話でした。





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Last updated  2015.01.05 00:55:13
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