ろくでなしとの戦い・by・こいちろ

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抗がん剤の副作用



 通常、薬局で購入可能な普段使っている薬(一般薬と略記します)は、効果が強く、副作用が殆どないか、軽度です。例えば風邪薬の場合、効果は風邪が治る。副作用は胃もたれや眠気といったところです。このように、風邪薬は、多くの人で非常によく効いて副作用が殆どないので、効果と副作用のバランスが取れていると言えます。

 これに対し、抗がん剤は、効果と副作用が同じくらいの強さの場合があり、また効果よりも副作用の方が強い場合もあります。このため、抗がん剤は一般薬と違って使いにくい薬なのです。

 なぜこのような違いが出てくるのでしょうか。

 一般薬は、投与量を増やすとまず効果が出てきます。そして投与量をさらに増やすと今度は副作用が出てきます。このように効果と副作用が出現する投与量の幅が非常に広いのが一般薬なのです。通常量の10倍くらい投与しても、それによって命を落とすことはないと言われております。

 これに対し、抗がん剤は、効果をあらわす量と副作用が現れる量がほぼ同じ、あるいは場合によってはこれが逆転していることもあります。すなわち、投与量が少ないところで副作用が出て、さらに投与量を増やして初めて効果が出るといったような場合です。したがって、抗がん剤で効果を得るためには、副作用は避けられないことが多いのです。

 僕の病気であるALLの化学療法で使用される抗がん剤共通の副作用として、嘔気、脱毛、骨髄抑制があります。

 嘔気は個人差があるようです。最近では、抗がん剤投与前に、吐気止め(ナゼア)を点滴してくれるようで、僕は今まで殆ど吐気を催したことはありませんでした。ラッキーです♪(#^-゚)vヴィ。

 脱毛は避けられません(T_T)。大体抗がん剤投与後2~3週間で現れてきます(T_T)。頭だけでなく、ひげ、鼻毛や眉毛、はたまた下の毛も持ってかれます(T_T)。一般に治療を行わなくなれば脱毛は改善されていくそうです。

 抗がん剤は、白血病細胞だけではなく、正常な造血細胞にも作用してしまいます。いわゆる狙い撃ちはできません(T_T)。このため骨髄では血液を作る力は低下してしまい、正常造血ができなくなってしまいます。その結果、正常な白血球、赤血球、血小板が著しく減少した状態になります。このような状態を骨髄抑制と言うのです。

 白血球の減少中(特に白血球の中の1つである好中球が減少しているとき)には免疫力が低下するため、細菌や真菌(カビ)あるいはウィルスによる感染に弱くなり、時に致命的な感染症を起こすことがあります。赤血球が減少すると酸素を運ぶ力が低下するため、動悸、息切れ、倦怠感などが生じます。血小板が低下すると、出血を起こしやすくなります。特に頭蓋内、胃腸、肺の出血は命に関わることがあります。

 骨髄抑制の予防対策として、まず胃腸の中の細菌や真菌も免疫力低下中には害になることがあるので胃腸の中の菌を取り除くための抗生物質(例えばバクトラミン錠)を内服します。さらに、好中球が少なくなったときには食事もすべて加熱されたものにして(低菌食、加熱食)、吸入する菌を少なくするためフィルターの入った送風機(例えばエンビラ、アイソレータ)を用いる。それでも熱がでた場合には抗生剤を点滴することで治療します。赤血球や血小板の減少に対しては輸血(赤血球輸血、血小板輸血)で対応します。
 僕の場合、毎週月木の朝昼夕にバクトラミンを継続して服用し、白血球が1000以下か好中球が500以下になると低菌生活としてベット頭側にエンビラが設置され、行動範囲は病棟内のみ、マスク着用、加熱食とされておりました(T_T)。輸血は赤血球を1回、血小板を4回程度行いました(T_T)。

 また、抗がん剤自体の胃腸障害やストレスによって胃潰瘍や十二指腸潰瘍を生じやすい状態になるため、胃酸を抑える薬剤や胃粘膜を保護する薬剤を内服することもあります。また、化学療法によって白血病細胞が体内で急速に壊れるために、細胞からもれでてくる有害物質が大量に体内を循環するため、血液の凝固に異常を来したり、血液が酸性になったり、尿酸が析出して腎臓の障害を起こすこともあります。このため、それぞれ予防薬が必要です。
 僕の場合、尿酸値が高くなるとサロベールを服用していた気がします。

 以上の副作用の他に抗がん剤それぞれに独特の副作用があります。急性リンパ性白血病の治療においては以下の薬剤が用いられます。

エンドキサン(CPM)  → 出血性膀胱炎、大量使用で心筋障害
ダウノマイシン(DNR) → 
オンコビン(VCR)   → 末梢神経障害、便秘
プレドニン(PSL)   → 感染症、胃潰瘍、高血糖、高血圧、骨粗鬆症など
アドリアシン(ADR)  → 不整脈、長期的な心筋毒性、赤色尿
メソトレキセート(MTX)→ 粘膜障害、大量使用で腎障害
ロイナーゼ(L-ASP) → 膵炎、凝固障害
ロイケリン(6MP)   → 肝障害
キロサイド(Ara-C) → 中枢神経毒性、肺毒性、結膜炎

 僕の場合、寛解導入療法時に使用したロイナーゼで膵臓がやられかけ、直ちに投与中止に追い込まれました(T_T)。オンコビンは凄いです。微量投与でも指先が長期間痺れ続けます。箸はまともに使えず、字なんか書けません(T_T)。プレドニンはステロイド剤で、こいつのせいでしゃっくりが止まらなくなり寝れない日々が続きました(T_T)。メソトレキセートで頭痛が酷くなりました。

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