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2006.03.02
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テーマ: 今日の一言(1933)
カテゴリ: 今日の言葉
 「恐怖を見る」ことが、人生最大の課題である。

 それは簡単に言えば、「自己防衛本能」の裏返しである。誰でも、無意識のうちに今の自分を守ろうとしてしまうものだ。自分に危害を加えるかもしれないものから身を守り、自分が慣れ親しんだ生き方、生活を維持しようとすることは、至極当然のことのように思われている。だから、世の中のあらゆるものが、より上手に自分を守れる方法を模索し、宣伝し、「こうすれば安心して生きられますよ!」と売り込みに懸命である。
 けれども、そのようにすれば本当に自分は守られるのだろうか。たとえば、老後の生活が心配だからと、年金保険に入り、不動産投資をすれば、本当に安心なのか。社会が不安定さを増すにつれ、今度は保険会社の倒産、あるい地震の心配をするはめになる。また、不審者が子どもに危害を加えるのではないかと心配して保護者が送り迎えをするようになると、今度はストレスの溜まった保護者が加害者になるような事件が起こる。
 このように、「恐怖」や「不安」を解消するためにとられる対策は、なんら根本的な解決にはつながらない。そこに「恐怖」がある限り、どんなに逃れようとしても「恐怖」は常にあなたにつきまとう。そうして結局誰もが、「恐怖」に直面せざるを得なくなる。
 世の中の人は、とても大切なことを忘れている。それは、「現実」は、自分の意識によって引き起されるということだ。悲観的な人よりも、楽天的な人の方が明るい人生を歩んでいる例が多いのは、誰しも気づくことである。自分の中に「恐怖」があれば、それが「恐ろしい出来事」が起きる要因になる。だから、自分の中の恐怖を消さずに、いくらそこから逃げようとしても、決して安心は手に入らない。自分の中の恐怖を消すためには、それを直視するしかない。「見る」しかないのだ。
 では、「恐怖を見る」とは、どのようなことか。
 たとえば、決して起きて欲しくないことがあるとする。それが起きることが怖くてたまらない。だから、何としてもそれが起きないように、いろいろな対策を講じる。これはまさに恐怖から逃げようとする行動である。けれども、皮肉なことに、そうすればするほどその現実はますます近づいてくる。この悪循環から抜け出すにはどのようにしたらいいか。
 まず、その「起きて欲しくないこと」が実際に起きたとを想像してみる。それは考えるだけでも嫌だろうが、逃げていても決して解決にはならないから、覚悟を決めてやるしかない。そして、それがそのときの自分の気持ちを深く感じてみる。そしてどんなに不愉快でもそれを受け入れる。

 では、恐怖から逃げることによって、守ろうとしていた「自分」とは一体何だったのか? それはただの「殻」であって、本当の自分自身ではなかった。本当の自分は、決して枯れることのないエネルギーの泉である。壊れたものは、自分を制限し、不自由にしていた、だだの枠に過ぎなかったのだ。枠が壊されれば、泉からはもっと生き生きとエネルギーが湧き出す。生きているという実感が溢れ出すのだ。
 もちろん、殻を破ることによって、あなたの将来は一気に流動的に、不確定になる。何が起こるかわからない。それは今までのあなたにとって、とても怖いことであったに違いない。でも、恐怖がなくなれば、未知の未来は恐怖からわくわくする冒険へと変貌を遂げるのだ。 

(エッセイより) 





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Last updated  2006.03.03 00:25:17
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