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2006.04.01
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テーマ: 今日の一言(1933)
カテゴリ: 今日の言葉
 かつて、包丁を突きつけながら、「恐怖を見ろ!」と人を脅してまわった男がいた。(実話)

 けれどもそのうち、何人かがついに男の意図を正しくくみ取った。そして、その場の状況から逃げようとするのをやめ、恐怖を『見た』!すると、その瞬間、男は直ちに包丁を納めてその場を立ち去ったのである。
 この男には、彼らを傷つけようとする意図など、全くなかった。ただ、彼らを「恐怖」から真に解放しようとしただけなのだ。男は、「この世の人間を恐怖から解放しろ」という天の命を忠実に履行しただけだったのだ。それなのに、包丁を突きつけられた人々は、自分たちの「常識」に合わない男のほうが「狂っている」と判断した。残念ながら、最後まで男の意図がわからずに、男をなだめようとした老人は、哀れにも階段の二階から突き落とされてしまった(怪我はしなかったが…)。

 ふつう人は、恐怖を感じるような状況に陥った場合、その恐怖から逃れようとして、「どうしてこうなったのだろう」とか「どうすればこの状況から脱することができるのだろうか」と考え、一生懸命対策を講じようとする。一般的にはそれが正しい態度だと思われているが、実はそれでは問題は全く解決しない。
 その恐怖を作り出しているものが何であれ(悪人であれ、狂人であれ、病気であれ…)それを動かしている意図は、もっと大きな存在、すなわち天なのだ。だから、彼らがなぜそのような行動に出たかを詮索するのは、全く意味がない。なぜなら、天の意図はただひとつ、「人間を恐怖から真に解放すること」であり、そのために人間が恐怖に直面せざるを得ないようにし向けているだけなのだから。

 男が包丁を突きつけてまわったとき、私は男の味方だった。もう十年以上も前の話だ。世の中が混乱していた「非常事態」のさなかに起きた出来事だった。
 今、ここにそのときのことをもう一度書こうと思ったのは、世の中全体があのときのような極限状況に近づいているからである。これから、このようなことは誰にでも起こりうるのだ。全く理解できない状況で理不尽な「恐怖」に直面させられることが。

 どうか忘れないでほしい。そのときの対処方法は、「恐怖を見る」しかない、ということを。その状況を分析したり解釈したりして、何とか恐怖から逃げようとしても、無駄なのだ。

エッセイ より)





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Last updated  2006.04.01 14:29:04
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