桜町小学校に転校してきた鷹坂ちあきは、サラサラ髪にえくぼがかわいい女の子。でも、不思議な事件に遭遇すると大変身!鋭い推理力とアクティブさで謎に挑んでいく。
学校の前の桜の花が一夜にして消えた謎に迫る「桜並木とUFO事件」。あかずの倉庫に出没する幽霊の正体を暴く「幽霊教室の怪人事件」ほか、ミステリーの名手が贈る、謎解きの魅力に満ちた連作推理短編集。
【目次】
桜並木とUFO事件/幽霊教室の怪人事件/ちあき誘拐事件/マジカルパーティー/雪だるまは知っている/ちあきフォーエバー (「BOOK」データベースより)
本屋さんの平台で見つけました。
北森鴻作品…子供向けのミステリーを書かれていたなんて、知らなかった!
主人公は小学3年生。
転校生の美少女・ちあきと、親しくなった<ぼく>が、町に起こる不可解な事件を解決する連作短編集です。
教室では控えめなちあきが、自宅のコンピュータールーム(ビル1フロアを使うスーパーコンピュータがあるのだ!)でゴーグルをかけると、クールな探偵に変身。
必要な情報をバーチャルに表示したり、警察や消防のコンピューターに侵入したり(いいのか?)
大胆に事件を解決する、という筋立てになっています。
事件の犯人である<悪い大人>はいるけれど、殺人は起きない。
個性の際立つ同級生や、拳法師範というちあきのお母さん、ちょっと頼りなくも愛すべき担任の先生。
そして<ぼく>のお父さんは、家の中では情けないところもあるけれど、いざというときはかっこ良い刑事。
魅力的な登場人物たちが、生き生きと活躍しています。
コンピュータなど使う状況は子供向けSF、と思われてしまいそうですが、実際に事件を解決するのは冷静な推理力、というところがいいです。
軽く読めてしまいますが、ミステリーとしての伏線や筋立てがしっかり張られた、本格ものです。
奥付を見ますと、1996年から1年間、小学館の学習雑誌<小学3年生>に連載していたものだそうです。
残念ながら我が家の子どもたちには連載当時読ませる機会がなかったけれど、かつての読者には、かなり強く印象を残すものだったと、あとがきに芦辺拓氏が書いています。
15年で、子どもを取り巻く世界はずいぶん変わったけれど、荒唐無稽なのを承知で書かれていたこのバーチャル捜査、いま近いところまで現実が追いついているのに驚きます。
まるで手塚治虫!すごい!
あとがきによると、賞をとって作家デビューした直後の北森氏には、手がけた作品を出版することができず、非常に苦しい時期があったそうです。
その時期、彼の唯一の収入源が、この連載であったとも。
日のあたらない暮らしに、子どもの心を弾ませる楽しいミステリーを毎月紡がれていた北森氏。
なんだかせつなくなります…楽しい一冊を読んだのに。
わずか15年の文壇生活。どれだけ心残りであられたでしょう。
私は、残りの人生に、折々北森作品の頁をめくり、一緒に生きていきたいと思います。
小山薫堂 『恋する日本語』 2011.04.26
今野敏 『リオ 警視庁強行犯係・樋口顕』 2010.04.21
今野敏 『果断――隠蔽捜査2』 2010.02.17 コメント(6)
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