** 長島便り **

2004/02/13
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「夫のビザ更新(カナダオタワ編)」 

それは寒い寒い2月の出来事でした。
日本の米国大使館で労働ビザの更新が出来なかった夫は、カナダの米国領事館へ行くことに。
5月に結婚式で長期の休暇を取る為、今仕事を休むわけにはいかず、強行の日帰りで予定を組んだそうです。しかしあまりに急な決断で飛行機は既に満席。仕方が無いので、夜行バスを使ってカナダのオタワへ。
当初の予定では、オタワに朝着いて米国領事館へ行き、その日の午後にはビザを更新してもらって、また夜行バスで米国へ戻ることになっていました。
が、しかし・・・

夜行バスに揺られてオタワに着いた夫は、まずオタワの寒さにやられたそうです。
ニューヨークの冬も零下になるのですが、オタワの気温はさらに低く-20℃。
凍えながら米国領事館へ向かい、早速ビザ更新の手続きをしたそうです。

「今日の午後に出来あがります。取りに来て下さい」と言われ、夫は寒さをしのぐ為に近くのショッピングモールで時間をつぶしたそうです。

そして待ちに待った約束の時間、領事館に戻ると、今朝ビザ申請をしていた他の外国人達の姿もそこに。名前を呼ばれそれぞれが新しいビザのついたパスポートを手にして領事館を後にします。そして最後にひとり取り残された夫。
窓口:「あなたは領事と面接をしてもらいます」
夫:「??????」

夫は、不足書類があって又「出直し」等にならないように、とにかく思い当たる書類を何から何まで全て提出したはず、弁護士と何度もReviewをして。だから不備なんて絶対に無いはず。提出書類の中には大学院時代の履修科目一覧表も入れた。アメリカで労働ビザを取ったことがある方ならご存知でしょうが、アメリカではアメリカ市民の職を外国人が取ってしまわないように、外国人は自分でなければ出来ない専門職に就くという「証し」を提出しなければならないのです。履修科目表というのは良く用いられるその「証し」のひとつです。

が、そこには大きな落とし穴が。。。

履修科目一覧表の最後に小さな小さな文字で、夫の修士論文のタイトルが記されていました。そしてそこには小さく小さく「Anthrax(炭そ菌)」の文字が。。。。
そう、この前の年、アメリカでは同時多発テロと炭素菌騒ぎがあったばかり、「炭そ菌」の文字には非常に敏感になっていた領事館。

夫が大学院で炭素菌の研究をしていたのは7年以上も前のこと。
それでも「どうして、どうして僕はこんな論文を書いちゃったんだ~!」と思ったらしい。ホント、他にも色々あっただろうに、納豆菌とか、ビフィズス菌とかさ。

とにかく、オタワの領事は「自分では判断しかねる、Washington,DCに送ってみるので、取りあえずその論文を見せて。結果はまた明日」と言われたらしい。日帰りの予定できている夫は真っ青。それに、さすがに修士論文まではオタワに持って来ていない。ニューヨークに取りに帰るにも肝腎のパスポートはオタワの領事館が持っていて帰れない。さぁ、どうする夫!?


夫がオタワに行っていることはメールで聞いていました。
今頃ビザを更新できてニューヨークへ帰る頃かな?と思っていました。
すると、電話が鳴った。それも深夜過ぎ。夫は夜中に電話をしてくることは絶対になかったから誰?と思ったらなんと夫だった。もうNYに着いたのかな?と思ったら。
夫「まだオタワ。。。大変なことになったよ。。。。」
いつもの夫なら電話で冗談を言って私を笑わせるのに、この日は冗談のひとつを言う余裕も無いらしかった。寒さと不安でちょっぴり涙声。


これは本当に運が良かったとしか言い様がないのですが、実はこの2ヶ月前、私は入籍の為にニューヨークの夫を訪ねており、その時本当にたまたま、夫の論文のコピーを1冊もらっていたのでした。「昔のだけど、暇な時に読んでみる?」と言われてもらっていた論文がまだそのまま私のスーツケースに入っていたのでした。こんな所で役に立つとは!

私は言われた通り、日本から必要ページをオタワの領事館にファックスで送り、夫は滞在を伸ばしオタワのB&Bに宿を取ったそうです。

翌日、再びオタワの領事と面接。WashingtonDCも夫がテロとは無関係だと分かってくれたようでビザは無事更新されました。しかしWashingtonDCのどの管轄が夫を調べたのかは不明。。。国防省かな。。?

その日の夜行バスで夫はニューヨークへ戻りました。
日帰りの予定が、1泊3日のオタワの旅となりました。
炭そ菌の恐ろしさをつくづく実感したカナダの旅だったそうです。





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最終更新日  2004/07/13 11:38:35 PM


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