ローズダンサーのHP

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吹奏楽物語 H24年度



遂に新学期を迎えた。
本庄達※※高校吹奏楽部は例年にない危機に見舞われた。
一年生が全然来ない。
経験者の数は例年よりはるかに多かったのに・・・・
多くの子が軽音楽部にとられてしまった。
そこで部登録の前日、部員勧誘大作戦が始まった。
方法は簡単、強引に部室に連れ込むだけ。
本庄の中学校からは井上有紀が入学したが、吹奏楽部には入部しなかった。
最終的にはなんとかかき集めて18人の1年生を迎えた。
しかし、半数以上が初心者。
チューバにも佐伯茉莉亜を迎えた。佐伯も初心者だ。
なんとか、前年度の反省から定期演奏会の取り組みを1月から始めていたので、新入生の指導に時間を割くことが出来た。
チューバパートでは交代で指導に当たることになった。本庄→知多→石原→本庄・・・といった具合で交代交代で佐伯を見た。
また、男子が大量に入部した。そのうち、経験者はトランペットとサックスだけ。
男子をまとめると、

3年生
本庄 拓夢 (チューバ、会計)
知多 航大 (チューバ、パートリーダー)
椎名 烈  (トロンボーン、学生指揮者)
二宮 春樹 (コントラバス、会計)
小宮山 由良(サックス、パートリーダー)
藤巻 陶治 (パーカッション、会計)

2年生
成島 雅也 (サックス、次期学生指揮者)

1年生
片岡 謙吾 (トランペット、元吹奏楽部)
福山 智也 (サックス、元吹奏楽部)
天野 晃  (コントラバス、元野球部)
中澤 知宏 (ホルン、自然科学兼部)
大森 宗治 (ホルン、元サッカー部)
雨宮 敏輝 (トロンボーン、元帰宅部)

となり、総勢13名の大御所となった。
GW中の合宿は特に盛り上がった。
みんなでマリオカートをしたり、深夜一時に校舎でかくれんぼをしたり・・・
本庄は定期演奏会が近づくにつれ、終わって欲しくないという気持ちが強くなってきた。
とはいっても、コンクールまで続ける気はなかった。それは去年のコンクールの時に決めたことだし、勉強のこともあるからだ。
あっという間に時間は過ぎていき、ついに定期演奏会本番。
会場は9割がた埋まっていた、まあ、前方に同じ高校の人が固まっているのはご愛敬だが。
ついに始まる。終わって欲しくないとの気持ちが強くなった。
そして、恒例の南条先生のあの満足そうな笑顔。これがもう見れなくなるのかと思うと本庄は悲しくなった。
また、第一部の最後を飾るのは去年の芸術文化祭で演奏したあの曲。今回は椎名が指揮を振った。
たぶん、本庄の中ではあのときより完成度が高かった演奏だと思った。そして、演奏後、涙腺が危なくなった。
まだ泣くのは早いだろ?
本庄はそう自分に言い聞かせていた。
続いてポップスステージ。一部とはうってかわって手拍子や歓声が客席から上がる。
出来ることならずっとこうしていたい・・・
そんな気持ちが本庄を包み込んだ。
ああ、やっぱり吹奏楽っていいな。
多分、吹奏楽をやることを選んだことは自分の人生で最高の選択だったと思う。
これはのちに藤巻が言ったことであったが、これは本庄にも当てはまった。
いっぱい泣いたし、いっぱい怒った。いっぱい嫌なこともあったし、いっぱい感動した。
そして、何より、仲間達と1つのことを作り上げることを学んだ。
これで、俺も中途半端から解放されるかな・・・・
そう思っていた。
時間が過ぎるのは早く、遂に演奏会最後の曲。
この曲で引退か・・・・
本庄はそう思っていた。外山は泣いていたし、久慈も泣いていた。南条先生も泣いていた。
そんな中で演奏会が終わる。
「吹奏楽部、サイコー!!」
客席からそんな声が挙がる。ああ、そういえば中学の時も似たような感じで終わったな。
自分たちの音楽で感動してくれた人がいただろうか。
もしいたのなら、自分にとってこんなにうれしいことはない。
本庄はそう思いながら演奏していた。
できれば終わって欲しくないな・・・
そんな思いとは裏腹に演奏会は終了。
終了後、ロビーでクラスメイトたちの祝福を受ける。
結局、高2の時のクラスメイトともなんとかなかよくなることができた。
その後、ミーティングが開かれた。
久慈「みんな、定演成功おめでとう!!」
久慈の満面の笑顔がみんなの気持ちを代弁していた。
その後、花束贈呈や先生の言葉、そして、パートの時間へと繋がる。
石原と佐伯が泣いていた。そのとき、本庄は思った。
自分は泣かれるほどのことをしてきてあげられたのか?と。
本当にへたくそなせいで後輩に散々迷惑をかけてしまった・・・・
そう自問自答していた。
その後、後輩から自分たちに手紙が渡される。
本庄はこの手紙を家に帰ってから静かに読んだ。そして、静かに泣いた。
ああ、もう、終わってしまったんだなぁ・・・・・
でも、自分はこの部活に所属できたことも光栄に思うし、このメンバーで音楽できたことも光栄に思っている。
うまくまとまらないが、とりあえず、たくさんの感謝を伝えたい。
本当に感謝。中学時代のみんな、高校時代のみんな、先生方先輩方後輩達。そして、ここまで読んでくださった皆様に感謝です。
その感謝を伝えながら、この物語を終えようと思います。
大学編は書くか未定です。入るかも微妙ですので。
それでは、ほんとうにありがとうございました!

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