crying for the moon

crying for the moon

読んだ本の好きな一節(3)


だから白いワインをもらい、そうね私は初めから白いワインでよかったのよと思い込もうとする。
これでいい、これでよかったのよと思い込む。
―――たぶん人はそんなふうにして自分を守るのだ。心の傷を最小限におさえるための、それが誰からも教わらない知恵なのだろう。
(玉岡かおる「ラスト・ラウ゛」P203より)


只、確かなのは、私、貴方に逢えなくなってしまうことが、とても淋しいんです。
(嶽本野ばら『エミリー』「コルセット」P70より)


わたしは振り返ると、両手でコヨリの顔を探し求め、彼の眼鏡を外し、その唇をむさぼった。コヨリも私を半身、押さえつけるようにして吸ってきた。流れ込むものを全て飲み干したい。こんな量じゃ駄目だ。もっと、もっと。
ねえ、わたし、ずっとずっと待ってたのよ。
(「真夜中のサクラ」P152)

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: