FFいれぶんのへたれな小説とか

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January 5, 2005
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カテゴリ: 七番目の魔法塔
 20年前。
 闇の王を中心とした獣人軍は、烈火のごとき勢いで、各所で人間軍を打ち破り、その勢力を拡げていた。それはウィンダスとて例外ではなく、コルシュシュ地方を征圧し勢いに乗る獣人軍は、ついにウィンダスの膝元であるサルタバルタ地方にまで進行するまでに至っていた。
 天の塔に集まったタルタルの幹部達は、劣勢を打破すべく、昼夜を問わず会議に明け暮れた。そこで、博士達をはじめとする魔道士達は、自らの研究を元に様々な意見を出し合った。中には現実的ではない発想も少なくなかったが、実用にまでは至らなかったものの、様々な実験が行われたのである。
 最終的には、一人の召還士の活躍により獣人軍は撃退される。しかし偉大な獣の力を借りる事が、どれほど危険なものであるかを知っていた彼の知人達は、必死になって彼を止めた。その中に、一人のタルタルの少女の姿もあった。
 少女の名はリクルル。ガーディアンの研究に携わる手の院の研究員であり、彼の助手の一人でもあった彼女は、彼を子供の頃から見続けていた。後に伝説にもなった、偉大な召還士。その彼が、神子と呼ばれ、ウィンダスの命運をその華奢な体で一身に背負う少女と長い付き合いであることも知っていた。
 リクルルは献身的であり、盲目的だった。しかし、血なまぐさい獣人軍との戦争は、少女だった彼女には重すぎた。だが、憧れていた彼が日々苦しみ続ける姿を見ることしか出来ないのは、彼女にとっては何より辛かった。
 故に彼女は日々彼と共に研究に明け暮れた。たとえ彼の苦しむ瞳に映るのが、ウィンダスという国であろうと、自分でない少女の姿であろうと。
 そしていよいよ最終決戦が近づいたある日、彼の口から偉大な獣の名を聞いた。リクルルは泣きながらそれを止めたが、全てを悟ったような彼は黙って彼女の言葉を聞くだけだった。
 静かに、後に英雄の家と呼ばれる自身の家を出て行く彼の姿を見送る事しか彼女には出来なかった。おそらくその家に彼がもう戻ってくる事は無いと知りながら。その時、彼女が思い出したのは、彼が進めていた一つの研究だった。

 実際、研究はかなりの予算をつぎ込まれ、着々と進んでいた。エネルギーを蓄える事の出来る黒色クリスタルの開発が成功し、その数百倍の魔力を蓄えることの出来る魔晶石のレプリカの建造が始められた。それを中心に進めたのは、術者の魔力を込めて動くガーディアンの研究をしていた手の院の研究員達だった。
 しかし、完成寸前の所で研究は破棄される。問題は、レプリカに魔力を込める時間が無かったことだ。通常のクリスタルのサイズである黒色クリスタルでさえ、タルタルの精鋭魔術師の一個師団が、一晩中魔力を送り続けてようやく満タンになるほどで、魔晶石に魔力を込め終わる頃には、獣人軍よってウィンダスが荒野とされてしまうであろう、というのが理由だった。
 ホルトト遺跡は、その先端である魔法塔が星月の輝きを浴びる事により、少しずつ魔力を蓄える。その力を変換し、魔晶石のレプリカに注入する。また、遺跡に攻め込んだ獣人軍から魔力を奪うための仕掛けを配置し、レプリカには多少なりとも魔力が込められていった。しかしそれでも、魔晶石の完成には至らない。また魔力を注入した魔道士たちはその間無防備となるし、尽きた魔力でいつ来るともわからない獣人軍を迎え撃つことが出来ない。極秘裏に進められていたその研究は、遺跡ともども破棄され、迷い込む者が出ないよう魔法によりその姿をカモフラージュされる事となる。
 しかし、ある魔道士が書いた論文に、彼女は光明を見出した。その出だしはこう始まる。
『万物にはそれぞれエネルギーが備わっており、それは道端の石ころだろうとタルタルだろうと例外は無い。我々は自身の魔力と大気に満ちたエネルギーを混ぜ合わせ、魔法として放出するが、そうして発する事の出来る魔力は自らの持つエネルギーの数%にも満たない。それは自己防衛本能、つまり理性がセーブしているためだ。体内のエネルギーを使い果たすということは、すなわち死に繋がるのだから―――』
 自らの全てを賭せば、あの石は完成するかもしれない。そうすれば彼が危険な目に合う事もない。彼女の出した結論は、そんな悲しい選択だった。
 開発中のガーディアンのレプリカ一体だけと共に、彼女は人知れずホルトト遺跡へと入っていった。魔導球を持たない、未完成の人形。彼女は魔導球の代わりに、魔晶石の試験用として開発された球を組み込んだ。それは周囲にある最もエネルギーを持つものから見境無く魔力を吸収する、失敗作とされた物だった。しかし魔晶石が完成すれば、これほど守衛として相応しい者も無いと考えた。
 そうして、巨大な黒い塊を前に、彼女は立っていた。何度も深呼吸をし、考えを巡らせる。
 そして彼女が最後に思い浮かべたのは、一人の無愛想なタルタルの横顔だった。
 まるで歌うように、呪文を紡ぐ。自らの存在を、ただのエネルギーへと変換する禁術。やがてまばゆい光と共に、彼女の姿は静かに霧散して行った。
 光が円を描く。ご馳走を見つけた黒い塊が、その光を飲み込んでいく。

 やがて瞬いた閃光の後、残された一体の魔法人形が見たものは。
 未だ完成せず、エネルギーを求めて静かに輝く黒い石の姿だった。





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Last updated  January 31, 2005 03:21:17 PM
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