FFいれぶんのへたれな小説とか

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January 24, 2005
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カテゴリ: 七番目の魔法塔
 冒険者と呼ばれる新時代の英雄候補達は例外なく、サンドリア、バストゥーク、ウィンダスという三大大国からその第一歩を踏み出す。やがてその腕を上げた彼らは祖国を後にし、三国の中心に位置するジュノ大公国へと集まることとなる。

 また、冒険者達の多くは冒険者仲間同士でリンクシェル(LS)と言う独自のコミュニティーを持っている。そう言った形態を広めたのが、リンクパール(LP)と呼ばれる、魔力の込められた通信用の貝殻の存在だ。彼らはLPを用いることにより、まるで隣にいるかのように多くの仲間達と世界中どこにいても連絡が取れる。LSの形態は数人から数十人とその規模も様々で、また、その目的も多岐にわたっている。あるLSは屈強なモンスターを倒すため、またあるLSは情報を交換しながら彼ら自身の冒険者としての腕を高めるためなど。
 トコの所属するLSは、小規模ではあるが、冒険者として駆け出しの頃に知り合った、気心の知れる仲間達によって結成されたLSだった。彼女自身、すぐに迷うだとか、物忘れが激しいだとか危うい面を持っているものの、頼りになる仲間達との冒険の甲斐あって、いっぱしの冒険者を名乗れるまでになっていた。
 シャントットの依頼をすっかりトコが忘れてしまっていたある日の事だった。その日は世界中を駆け回るLSの仲間達が珍しくジュノにおり、下層の酒場で杯を酌み交わしながら、それぞれの冒険譚を語り合っていた。
「もうあらかた行ける所は回ったと思っていたけど、いや世界は広いね。こないだ偶然見つけた氷付けの山脈に行った時なんか、狭い自身の世界観をハンマーで叩かれたような衝撃だったよ」
 冒険という言葉が最も頼りになるであろう、ヒュームのナイト、"ヒト"は、LSのリーダーを務めており、皆の信頼も厚い。
 …ただ一人を除いては。
「カーッ、だからテメェは了見が狭いっつうんだよ。ちょっとばかし一部分を見たくらいで、全部を知った気でいやがる」

「たしかに偏った見方かもしれない。だが、細部から全体図を想像するのも我々冒険者にとって重要な要素だとは思わないかい?それが欠けているから君は先日…」
「ヘェヘェご高説ごもっともで。流石にナイト様はおっしゃることが違いますネェ」
「も~、二人ともやめなよ~」
 慌ててトコが仲裁に入る。二人とも腕は立つのだが、どうしても相容れないのがたまに傷だ。気位が高く他を見下す傾向のあるエルヴァーンと、前時代的だとエルヴァーンを揶揄するヒューム族の確執は、彼ら種族の性質から和解までまだまだかかりそうなのだが、ヒトとルーツに限ってはその気質が全く正反対であり、どちらかが種族の特徴どおりならよかったのにとトコが思うことは少なくない。
「ちょっと、ツィンも黙ってないで止めてよ~」
 ツィンと呼ばれたのは、テーブルの向かいの席に鎮座する大きなガルカだった。副リーダーを勤めている彼はいつも冷静沈着で、頼りになるのだが、こう言った事態にも静観を決め込むことが多い。良くも悪くもマイペースなのだった。
「…いい酒は静かに飲んでも、賑やかに飲んでも美味いもんだ」
「これは賑やかとは言わないよ~」
 それに酒が苦手なトコが飲んでいるのはメロンジュースだ。酒によっていつもより勢いを増した二人の口論は、手強さを増していた。
「やめないと割り勘にするよ~」
 その言葉を聞いて、ルーツの動きがぴたりと止まった。

 多額の借金を抱えるルーツは、酒代を出すこともままならない。痛いところをつかれ、ルーツはしぶしぶ引き下がった。
「ほら見ろ。だから君は…」
 追い討ちをかけようとするヒトだったが、トコに睨まれ、出しかけた言葉を引っ込めた。仕方なく木製のボトルを手にする。
「…一段落着いたようだな」
 何事も無かったかのように、ツィンが口を開いた。これもいつもの事なので、トコは疲れたように嘆息するだけだった。

「ウィンで?」
 ルーツが興味ありげに聞き返した。こう言ったギルになりそうな話には食いつきがいい。
「何でも例の博士達が動いているそうだ」
「あの博士達か…一悶着ありそうだね」
 腕利きの冒険者と聞いて、ヒトも興味を持ったのか、話に加わる。
「それなんだがな、既にその一悶着が起こってるようなんだ」
 ツィンにしては珍しく、にやりという笑みを浮かべた。
「何でもサルタバルタで新しい魔法塔が見つかったらしくてな、そこで何かを探させているらしい」
「ん~?その話、どこかで聞いたことがあるような…?」
 基本的に記憶する、という言葉さえ忘れてしまっているトコは、それがどこで聞いた話なのか思い出せないでいるようだ。
「そこまではまぁよくある話なんだが、その調査に関わった冒険者の一部が行方不明になっているらしい」
「ケッ、どうせ何も見つからなかったか、貰うもん貰ってとんずらしたんだろ」
「そんな事をするのは君くらいのものだよ」
「なんだと!」
 再び言い争いになりそうな二人の言葉をさえぎるようにして、ツィンは続ける。
「妙な話だと思わないか?彼らが調査を依頼したのは腕利きの冒険者達だ。そんな彼らが行方不明になるなど」
「確かに…」
 何かを考え込むように、ヒトは腕組みをする。
「そこで、だ」
 一呼吸置いてツィンは告げる。
「俺達もその調査、やってみないか?」
「…本気かい?」
 ヒトは怪訝そうな顔をして、ツィンの顔を見る。危険な話であるのは明らかだ。
「面白そうじゃねぇか。乗るぜ、俺は」
 ルーツが身を乗り出した。単純に金目の臭いだけでなく、冒険者の嗅覚が何かを嗅ぎ取ったようだ。
「…君は少し思慮と言うものを学ぶべきだ」
「アンタは挑戦って事を学ぶべきだと思うぜ」
 ツィンは睨みあう二人の姿に嘆息すると、トコへと視線を移した。
「トコはどうだ?面白そうな話だと思うんだが」
 珍しく腕組みをして唸っているトコだったが、やがて何かを思い出したように立ち上がった。
「あー!」
 大声を上げたトコに、睨みあっていたヒトとルーツも、思わず目線を向けた。しかしそれにも気づいた様子を見せず、トコは叫ぶように続ける。
「シャントット博士の依頼、忘れてた~!」
 今度は店中の、驚いたような視線と哀れむような視線がトコに集中していた。





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Last updated  January 26, 2005 01:22:52 PM
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