ラ ッ キ ー ☆ マ ン

ラ ッ キ ー ☆ マ ン



私がまだ制服なので今日のあの子の部活はなかったのでしょう。

私が居間にいるとあの子は急いで「今、玄関に人いるから!!」と私に言って走って自分の部屋に行きました。

この感じだと男なのでしょう。一応双子なのでそこら辺は分かってしまうのです。

まぁ、私とあの子の好みも別々なのですが。

あの子は明るい元気な人気者が好きなのでしょう。

私はパス。そんな人は好きになりにくいのです。何より性にあいませんし、楽しくありません。


「あ、」


そんな人なら避けたいと思っていたのですが…


「お弁当出したいですが…玄関に鞄置いてきてしまいましたね…私とした事が…」

急いで取りに行きましょう。そして小さく挨拶をしてお弁当を洗うとしましょう。

そう決めた私は玄関に直行しました。ですが、そこに居た人物は予想外の人でした。


「あ、寺本さん」


「…新井君じゃないですか…」


新井君は私同様敬語を話す人です。

私と同じで本を読むのが好きな方で面白い方です。

休み時間も私と同じで本を読み、人との交流をあまりしない人です。

あの子が家の玄関に呼べる程仲が良いとは…。双子でも知らい事は多いですね…。


「寺本さん、もう帰ってたんですね」


「まぁ、部活やってませんので…花乃に何か用があったんですよね?」


「用と言うより、貸した本を今日返すと言ってたんで…」


「そうなんですか…どんな本なんですか?」


「まぁ、特にオススメではありませんが…」


私の経験上、彼の言う本にハズレはないでしょう。

きっとあの子に聞かれて、彼はあの子の好きそうな本を選んだんですね。

…多分ですけど…きっと…推測上ですが…あの子は彼の事が好き…なんでしょう…。


「寺本さんにあうと思う本はこの本です」


「…楽しそうな本ですね…丁度、今読んでる本が終わったので今からその本買いに行こうと思います」


「じゃあ、僕と一緒に行きませんか?」


「え!!」


あまりの驚きに私は声が裏返ってしまいました。

彼は本当に良い人だと思います…。

にしてもあの子は何してるのでしょう?

…きっと可愛らしい服を探してるのでしょう。新井君に可愛いと言ってもらいたいから…。


「良いですよ」


本当は断ろうと思ったのですが、一人でその本を探せるワケがないので…。


「じゃあ、花乃の用事が終えたら外で待っていてくれませんか?」


「ええ、良いですよ」


彼は笑顔で言ってくれました。

初めて見ました…彼が笑った所を…


「あ、ちょ、お姉ちゃん!!!!」


後ろから花乃の怒ったような焦ったような声が聞こえました。

まぁ、私は鞄取りに来ただけなんですが…。


「あ、花乃…丁度良いですね、花乃、お弁当出して下さい…洗いますから…」


「え、ああ、うん!!」


あの子は私が何しに来たか分かったらしく笑顔で言った。

きっと安心したのでしょう。私と彼が一緒に居たのですから嫉妬したのでしょう。


「じゃあ、新井君また会いましょうね」


「ええ」


「…じゃ、お姉ちゃん」


最後の私の挨拶が気に食らないらしいあの子は少し苛立てたように私に言った。

ま、私はそれを皮肉にもニヤリと笑顔で手を少し振った。少し最近の仕返しとでも言いましょうか…(笑)

さて着替えるとしましょう。彼が待ちますからね…。






TO BE CONTIUE


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