消失した記憶と消失した感情
「ねぇ、そこのお姉ちゃん」
知らない男の人が話しかけて来ました。
年齢は大体25~30歳くらいですね…
「ハィ…何でしょう…」
「道教えてくれないかな?」
道聞くならこんな顔の悪い子に聞くもんじゃないです…
道教えるなんて今の私にはできません…
「道…ですか…悪いのですが…他の…人に聞いて下さい…
私、今、頭が…痛いんです…道教える事は…できません…すみません…」
「そうかい…だったら…」
「?」
そこで私の意識は飛びました…。
今…私が居る所は地下のとある一室のようです。
私…ここ…知ってる…場所は何処か分かりませんが…何ででしょう…知ってます。
そう…ここは私が恐れる場所。
…トラウマ…私自身分かってないのですが、私にはトラウマがあるんです。
ええ。矛盾だとか言うでしょう。でも…分からない。
まるで記憶の湖の下に落っことされて見つからないような…
「…つゥ…」
後頭部を殴られましたね…この痛みの根源は。
何で殴られたというより、身体が振えてるのは幻覚でしょうか?
身体は憶えているというのは本当なんですね…。
苦しい。息がしにくい。この場所怖い怖い怖い。
「目が覚めたか」
「…ぇ…」
声からして今度は60~70歳の男の声。
え…この声私知っている…
知らないはずなのに…
「わしのこと…憶えていないようだな…」
「誰…私は知ってる…のに… 思い出せない !!」
え…私…今
思い出せない…って…私…知ってる…忘れている。
いや、私が わざと 消した記憶だ!!
「おや…なんだ…憶えているのか…」
この人は狂ってる!!
危ない!!!!と脳内でサイレンがなっている…
でも手足は勿論縛られて
足が地面とつくかつかないかの距離で吊るされて身動きができない!!!
この、この、状態を私は知ってる!!知らないはずはない!!
「…思い出せないようだな…ならこうしたら思い出せるかな???くくく」
逃げないと!逃げないと!!
そう思っていても動けないのだから何もできない。
そう もがいていると殴られた。
「痛っ!!」
「おやおや、どうした?」
「…お願いします お願いします あの子はもう許してあげて下さい
お願いお願いお願いお願いお願いお願いします!!!!!!!!!!」
「おいおい、思い出したのか?」
「…」
この言葉、私は何回も使った。
毎日使った。
あの子の為に…
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