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2006.01.10
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カテゴリ: ヨーロッパ映画
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原題:L‘enfant(ベルギー/フランス)
上映時間:95分
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
出演:ジェレミー・レニエ(ブリューノ)、デボラ・フランソワ(ソニア)、ジェレミー・スガール(スティーブ)、ステファーヌ・ピソ(盗品を売りさばく女)

【この映画について】
ドキュメンタリー出身のダルデンヌ兄弟が監督と脚本を担当した作品で、タイトルはフランス語でズバリ「子供」を指す。だがこの場合の子供は、「大人になれない子供」の意味である。
ここからこの映画がどういう風に展開するか想像していただきたい。登場人物も限られている上に、ドキュメンタリー出身監督らしく音楽も一切ない。あるのは街の中の雑踏の音やラジオから流れる程度の音楽しかない。
【ストーリー(ネタバレなし)】
20歳のブリューノと18歳のソニアは彼女のアパートで暮らしている。そのソニアにジミーという二人の赤ちゃんが誕生し退院してきた。早速、ブリューノにジミーを抱かせようと姿を捜しに行く。やっと見つけたブリューノだが、手下のスティーブとともに今日もその日暮しの為にかっぱらいに精を出している。
二人で組んで盗みを働き盗品を捌いてくれる女に売って日銭を稼ぎ、スティーブときっちりお互いの取り決めどおりに分け前を分配する。ジミーが生まれても感心を示さないソニアは、何とか彼に普通に働いて欲しいと懇願するがその気はない。
そして或る日、この日も盗品を売りさばいてくれる女にあって現金収入を得た。ただこの時この女の放った一言が彼の気持ちを変化させた。それは彼に子供が出来たことを知ったその女が、「お金を出して子供を買いたがる人もいる」と言ったのだった。ソニアと二人でこの日は失業手当給付所に並ぶが、行列の長さに辟易とした彼は乳母車と共にジミーを散歩に連れて行くと告げソニアが一人で並ぶ事になった。
この散歩中に彼が例の女の言葉を思い出して連絡を取る。女は彼に細かく指示を出して無人のビルのような所に行くように告げる。そこで乳母車からぎこちない手付きでジミーを抱いて空き部屋に指示通りジミーを置いていく。暫くしてから彼が部屋に戻ると、そこには指示通りジミーは消えていて代わりに金がイスに置いてあった。その金を満足気に眺めて給付所のソニアが待つところまで戻った。
だが空っぽの乳母車をみて不審に思い問いただすと、ブリューノは悪びれる様子もなくジミーを売って金をもらったと喜ぶ。「子供はまた出来るさ」と他人事の様に話す姿をみて激しく詰るソニア。だがそのソニアがショックでその場で倒れてしまう。
病院に駆けつけた彼だが警察の知るところとなり、警察の聴取にでたらめなことを言って言い逃れる。ソニアの入院でことの重大さに気が付いて、何とか仲介した何時もの女に連絡をとりジミーは何とか手に戻り金も返した。だが儲け損なったと因縁をつけてくる男二人組みにボコボコにされ身包みはがされる。惨めな姿でソニアの元に戻った彼だったが、ジミーが戻っても彼女は一切口を開かずに逆に家から叩き出してしまった。
暫く止めていたかっぱらいをして金を稼ぐ為に再びスティーブと組む。路上で何時もの様に老女のカバンをひったくるが、今回は何時もと様子が違った。それは盗まれた老女が大声を上げたおかげで、直ぐ警察が後を追ってきたのだ。二人乗りのバイクで追跡をかわすのに必死だったが、川岸でバイクを捨てて逃げる。だがこの時思いもかけぬアクシデントが待っていたが、それは…。

【鑑賞後の感想】
ストーリーを読んでいただいて分かるように、これは若い二人の間に生まれた「ジミー」が主人公ではない。確かにこのジミーの存在が二人の意識に変化をもたらすのだが、ズバリこれは「ブリューノ」という20歳の父親と呼ぶには余りにも無責任な男の物語である。
18歳のソニアは何とかこの男に働くように説得するが、だからと言って自分が働いて生計を支えようという意思は見られない。結局のところ二人とも「子供」のまま、「子供」が出来たが意識だけは「子供」のままなのだ。こうした現象は何もこの映画の舞台のベルギーだけの現象ではないし、日本だって他の先進国でも起こっているであろう。
この18歳、20歳の若い父母という大人と子供の境目に位置する二人を、一切の音楽を排除(エンド・ロール中も音楽なし)しドキュメンタリー・タッチで描いたダルデンヌ兄弟監督の視点と脚本は鋭い点をついていた。ラスト・シーンは幾分唐突に訪れたようにも考えられるが、この男がこれからどういう風になっていくのかは観衆の視点に委ねられている気がした。「結論は自分で考えなさい、あなたはどう考えますか?」これは監督からのメッセージであろう!
【自己採点】(10点満点)
9.1点 登場人物を絞り一切の音楽も配した作りは評価したい。ソニアも子供だったのだが、その点ももう少し描いて欲しかった。それが加えられればもっと高い点を付けた。
[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.Michael James Murphy/Surrender
2.Pages/Future Street
3.Paul Davis/Paul Davis
4.R.E.M./Automatic For The People






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Last updated  2006.06.13 22:00:48
コメント(5) | コメントを書く


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熟練の味わいです  
たろ さん
こんばんは。
こちらの記事の方にもコメントとトラックバック、失礼いたします。

この作品も十分に練り上げられた物語展開に社会的なテーマをシビア織り込んで描きながらも暖かな視点や方向性を見せる事を忘れない、ジャン=ピエール氏とリュック氏のダルデンヌ兄弟の優れた手腕は熟練の味わいを感じさせてくれました。

また遊びに来させて頂きます。
ではまた。

http://blog.goo.ne.jp/loversoul_2005

(2006.01.10 23:35:34)

こんにちは!  
itosan127  さん
この映画、私も観たいなと思っています。
感じ方は人それぞれですが、10点満点で9.1点なら期待できるかなあ?楽しみです。
こっち(関西です)では1月28日から公開なのでもう少し待たなければいけませんが・・。 (2006.01.10 23:36:51)

Re:映画『ある子供』を観て(01/10)  
kintyre  さん
>たろさん、こんばんは
ダルデンヌ兄弟の脚本は、この映画の主題を鋭く観客に提供していると思いました。
音楽を排したドキュメンタリー風の作りは、より一層この映画の主題を際立たせたと私は感じました。
あのラスト・シーンのあと、このカップルはどういう家庭を築くのかに私の思いは馳せました。
>itosan127さん、こんばんは
関西ではこれから公開なのですね。恐らく拡大ロードショウではないと思うので、お見逃しのないようにして下さいね。
ラスト・シーンを見て、観客に監督から何かを問いかけられたように思いました。 (2006.01.11 21:42:29)

Re:映画『ある子供』を観て(01/10)  
こんにちは、コメントありがとうございます。
映画お詳しいですね!
「ある子供」はとても面白そうですね。こういった人間を描いたドラマは大好きです。
また遊びにこさせていただきますね。
(2006.01.12 06:35:56)

Re:映画『ある子供』を観て(01/10)  
冬遍路  さん
はじめまして。

ご訪問&トラックバック、ありがとうございました。
こちらの日記を読ませていただき、ますます観たくなりました。(^^)

相互トラバさせていただきますね。

ありがとうございました。 (2006.01.16 22:56:47)

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