夢みるきのこ

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2010年07月10日
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夏河の暮るるまで待つ橋の上


明星とわれのみ夏の河匂う


 今朝は思いがけぬ伏兵が待ち受けており、ギャラリーへ行く少し前からずんずん腹が差し込んできて油汗がタラーリ。それでもなんとかだましだまし神戸までやってきたが、立って居れないほどに腰のあたりを中心に身体の左側全体が絞り込んできて11時には車上の人になる予定がどうしても立つことができず、うだうだしていたが、12時を過ぎた頃になってこの症状が尿路結石にちがいないと思い至った。不思議なものでそう思えた瞬間よりなんとか動けるように。それでも京都までの1時間半ほど油汗と鈍痛に電車の床に寝込みたいと思いつつもお尻や腰を叩いたり身体を折り曲げたりしながら耐えていると、烏丸を越えたあたりでプルンと元凶のものが膀胱に到達した感触があり、潮が引くように痛みがうすらいでいくのを感じた。京都阪急でトイレへ行くとビーズの大きい珠くらいの結石がカチンと便器に飛び出して一軒落着。めでたしめでたし。今日はこの個展を見逃すと一生悔いが残ると、死んでも行くつもりだったので爽やかに鑑賞できた。会場にめえこ嬢の姿はなく、じっくり見届けてさて、帰ろうかなと思いきや、お茶の準備をしていたみたいで、ひょつこり顔がみえたので、それから作者自身の解説を聞きつつ改めて一巡した。
 とても異色の個展で私はその「測量」というタイトルに魅かれて足を運んだのだが、その意図が見事に展開されており、彼女の芸大時代のモモコさんという同期生もまじえて新しい表現の可能性と方法についてそれぞれの真摯で貴重な意見を聴くことができたのはなによりであった。
 さて、結石もおさまったことだし、時計を見ると3時半。なんとか日本橋へ滑り込めそうなのでおけいはんに乗ってトンボ帰り。日本橋の「アンパッサン」で情報処理工学の先生のTさんと初顔合わせし、一局お手合わせしてもらった。敗色濃くなったところで時間切れの引き分け。遅く来てよかったと胸なでおろし、しかし、遅く来てお手合わせしていただきずる逃げしたお詫びにお茶でもということで、Tさんより色々なチェスにまつわるよもやま話を聞かせてもらった。 その席でナボコフのチャス小説『ルージン・ディフェンス』を教えられさっそくジュンク堂へ同行検索してもらい購入。少しずつ私なりの新しいチェスという菌輪作りが動き出したので、午前中の激痛のことなど何処かに吹っ飛んでしまった。
 ギャラリーきのこではこの日、午後2時からロシア・ソビエト文学研究会の特別例会・ショーロホフの『静かなるドン』の合評会があり、呑み会もたけなわになった頃かけつけ、久々に顔見知りと旧交を温めた。かくして今日も一日とっぷり暮れていく。
 うれしいことに、第二弾のツバメがまたギャラリーの古巣を繕い、営巣をはじめたので毎日無事育つように手を合わせている。かくして着実に季節は熟れていく。

 作品は昨夜退社後、大河の水輪(みなわ)が面白く、橋の上から小1時間眺めて過ごしたのだが、その際に浮かんだ感慨である。説明がなければ、待ちぼうけを食わされた誰かを想像するだろうが、唯、橋の上で河の表情が見えなくなるまで見て過ごしたというのが本意である。
 とっぷり暮れると、宵の明星が私にささやきかけてくれているのに気づき、金星に選ばれた空海のように「この世界に自身と明星のみ」と、束の間思ったことだが、いや、決してそうではない。同じ星をみつめ私のように考える人がこの同時刻の地球上にあまたおり、生きとし生けるものすべても、なんらかの形で金星と対話をしているのだというちょっとした自省の念を大河がかもしだす匂いであらわしたものである。





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最終更新日  2010年07月11日 01時07分48秒
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