ケース2



<ケース2>



─ 早すぎな男 ─


その人は
リュックを背負ってやってきた

初めてみたとき
何処か山登りの帰りかな?

そんな格好だった

しかし・・・
この辺に登山するような山はない


毎週金曜日彼はやってきた
同じような格好で


外人さん?
彼の風貌は
ぱっと見イラン人のような顔

片言の日本語で
これでいくつ買えますか?
と毎回レジにやってくる


私はこう見えても
かなりのおせっかい&お人良しなので

彼の傍について
「何が欲しいですか?」
とか
「これなら買えますよ」
など

ひとつひとつ教えてあげていた

すると
彼はいつも満足そうに
買い物をして帰っていった

それからというもの

彼は来るなり
私を見つけては
「キマシタ~」
「キョウネ、500エンアルヨ」

「コレカエル?」


とにかくいちいち聞いてくる


頼られるのは嫌いじゃないので
面倒でも丁寧に
教えてあげていた

ある日彼がこう言った

「ナマエナンテイウノ?」
「ドコスンデルノ?」

「ナンサイデスカ?」

私は、恐る恐る答える

そして・・・
突然こう言った

ケッコンシテ!
ボクトケッコンシテ!!


突然だったので
ちょっとうけてしまった


「あぁ~、私好きなひとがいるので」
「ごめんなさい」

思わずついた嘘

でも彼には伝わらない

「ナンデモスルヨ、ダカラケッコンシテ!」

丁度その時
少しずつ忙しくなってきて

レジをしながら彼をほっておいた


いつの間にか
彼はいなくなっていた


ほっ・・・

あんまり親切にするのも
よくないのかなぁ。

でも別に思わせぶりな態度はしていない

母が「気をつけないと!」という


どうやって気をつけろと言うのだろう?


それからも彼はやってくる

相変わらず
手取り足取り教えている

彼も満足しているようだ



人生って難しい

好きな人には振り向いてもらえずに

どうでもいい人からは
思われたりして


あぁ・・・


思われて結婚するのと
思い続けて結婚するのは

どっちが幸せ?




完





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