メートル・ド・テル徒然草

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エルネスト1969

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May 18, 2016
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 日本人の味覚は世界一。
 か、どうかはともかく、味覚が優れていることが問われ、少なくとも世間の人々からそうだろうなくらいに思われている職業に「ソムリエ」があります。
 私もソムリエのバッジを着けて業務にあたっていると、お客様からは
「ソムリエさんなんですね!すごいですね~」
などとお声を掛けられたりします。
 私も褒められて伸びるタイプですから悪い気はしませんが、あらためて何が、どうすごいのかとなると返答に窮してしまうこともままあります。
 おそらく、お客様、もちろん世間の多くの方々には「ソムリエ」なる人々は、味にうるさく、そのため大変「味覚」が優れているに違いないと想像をかき立てるのでしょう。
 しかしながら、ソムリエという名の人、皆が皆味覚、また味覚を感知する舌という体の器官が優れているとも限りません。
 体の器官としての舌の良し悪しは、かなり主観的なものであり、比較のしようが無いことと、また舌という「器官」が他の人よりよく出来ているからと言って、ソムリエとして優秀かどうかの基準とはなりえません。
 例えば、美しい絵画を例に挙げても、視力が良いからといって、鑑賞した際の心の動き具合が変わるものでもないでしょうし、ましてや人様に感動を与える絵画の表現を作成するにおいては、眼球の視力の優劣によるところでも無さそうです。
 サービスに携わる若い方々に、また、ソムリエ志望のスタッフにちょっと意地悪してこんな質問をしてみることがあります。
「何ぃ、食べたことがないから分からない!?飲んだことが無いから伝えられない!?
なるほど、じゃあ練習がてら、少なくとも一度は飲んだことがあるであろう”コーラ”の味を説明してごらん。」
 これは難しいですね。
 「発泡の具合ははつらつと強くて、強い甘味を緩和している。加えて酸味の度合いが、、、」
 かようにソムリエという職業においては、特に自分の体を持って感知した経験を、自分ではない誰かに伝える、ワインを表現するというアウトプットのほうが困難で、かつ重要でもあります。
 味覚のために少々舌が優れていても、記憶するのは脳であり、そこからアウトプットするのもまた、脳の働きによるものなんですね。 
  
「あか」と聞いて何を連想しますか?
こんな駄文をここまでも読み薦めて下さっている方は、同業の方か飲食に興味をお持ちの方でしょうから「赤ワイン」でしょうか。
「あか」と聞いて「黒」いものを想像される方。先ずはお風呂に入ることをおすすめします。
「あかはアカン!白にしろ!」とか思い出す方は関西人の血が濃いですね。
「あか」といっても色々です。
味覚は主観的なものですから、見える化するために色彩を例に挙げてみました。 
似ているようで、違う。
赤系統の色チャートをいくつか並べてみました。
A
いかがでしょう。並べられた色彩チャートから、違いは分かるものの、それぞれの差異を言い表わせるでしょうか。
黒っぽい感じ。紫がかった。明るい。赤と言うよりピンク。などなどですね。 
表現がやはり主観的になりますので、 基準を 数値をに置き換えてみましょう。
印刷に用いられるCMYKカラーモデルというやつです。
C=シアン・青色系統 M=マゼンタ・赤色系統 Y=イエロー・黄色系統 K=クロ
B
以外にも一番左はKは使われていませんね。対して一番右は赤系統とはいえYが100使用されています。
「このワインにはカベルネ ソーヴィニヨンが〇 〇%、メルローが 〇 〇%、、、」
とか
「××年の気候において、どこどこの畑で、何某が手がけて、、、」 
など セパージュやブレンドに伴う「個性」とも呼ばれる、 ワインの構造をを語るのに似ています。
 数値は正確にその色の構造を表しています。
 しかしながら、まごうことなく「見えている」のものは、私もあなたも同じものを見、違っているはずはありません。
 誰もが知覚はします。知覚とは光を網膜が捕らえ、神経を伝って脳に届く、そのプロセスです。
 料理やワインを口に含んだ時、味覚も同じ働きで、舌で捕らえた味を脳まで伝える。知覚のプロセスは五感と呼ばれるものは同じくの経過を辿ります。
 では、各々で異なるのは何か?
 それが「認知」と呼ばれるものですね。脳に届いた信号は、経験と記憶に基づいた複雑な「解釈」が行われ、想像力の源泉となるのです。 
  実は赤系統の色を五つ、これはあてずっぽうに拾ってきたものではありませんでした。規格のある色彩群の中に「日本の古代色」というカテゴリーがあって、その中から選んできました。
C
 あずき、あかね、べに、あか、しゅ。古の日本人の身の回りにあった「色」を定義して命名された「色の名前」です。
 新たに発見した事象が記憶となり、どうでしょう、名前があったことで漠然とCがいくつ、Mがいくつとあった数値で表された「色彩」しかなかったものが、意味を持った「色:に変わっていませんか。
 色は匂えど散りぬるを、、、色が匂う、と表現した古代日本人の記憶と、現代に生きる私たちの経験が繋がっていることに気付くこともまた「創造力」ですよね。
  だから、チャートの順番を入れ替えたとしても、認知が生まれてていることから、どの色が「なに色」か紐付け易いのではないでしょうか。
D
  味に置き換えてみても、「好き」「嫌い」、「美味しい」「美味しくない」という主観的な味の検地能力だけでなく、プロであるならば、尚、「分かる」「伝える」そして「語れる」、やっぱりアウトプットが必要とされるのです。
  もちろん、違いが分かるようになる為にも、多くの「美味い」食事を口にし、多くの方々に愛されるワインをたくさん飲んで、経験と知識を増やしていかなければなりません。
 極論かもしれませんが、「優れた味覚」とは、他ならぬ「脳に蓄えられた記憶」と、自身のあらゆる経験を「関連付ける力」にその源泉があると私は考えます。 
  
  先に述べた、「コーラの味を表現する」という難問においても、まぁ私くらいになると様々な手法で表現することが出来るようになります。
   
  例えば、色彩のチャートを用いて、「コカ・コーラ」の味を表現すると、、、

coca_cola.jpg
こんな感じ
・・・そのうち、どっかから叱られますね。





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Last updated  May 22, 2016 01:53:56 AM コメントを書く
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背番号のないエースG @ チョコレート 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
坂東太郎G @ 「辛味調味料」そして考察(01/16) 「石垣の塩」に、上記の内容について記載…
エルネスト1969@ Re[1]:ホスピタリティは「人」ありき(10/04) はな。さんへ コメントありがとうございま…

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