プラタイ~PrivateTime~

2011/05/31
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「一刀斎夢録・上」

「一刀斎夢録・下」

浅田次郎


この題名、区切るとすれば、

一刀斎、夢録。


一刀斎こと元・ 新選組三番隊長・ 斎藤一 さいとうはじめ の回顧談だ。


斎藤一
斎藤一


時は、明治が大正と改まった年、

69歳となった斉藤が、ある若者に、

自身の半生を回顧し、語りつくす。



日本史上最も激動の時代を生き抜いた生の話は、

身動きできないほどの勢いで、引きずり込まれる。



---引用文-----------

才谷を斬ると決めたからには、斬る。

万が一にも仕損じはしない。

才谷梅太郎なる浪人の本名は、 坂本龍馬 というた。


わしが龍馬を倒す刺客となったいきさつを

聞いていただこうか。





序盤のこのくだりで、釘付けになってしまった!!



まさか!!



この男が、歴史を変えた!?



坂本龍馬暗殺は未解決のまま。

犯人候補が多すぎて諸説ある。


京都見廻組、新撰組、幕府、紀州藩…


それが、こうもアッサリと認める。



語るひとつひとつの話は、異常に生々しく

まるで自分自身がその場にいて、

直接聞いている様な錯覚に陥る。



斉藤一の語りを通して、

浅田氏の 緻密な想像力 に感嘆する。





語るひとつひとつの話は、異常に生々しく

まるで自分自身がその場にいて、

直接聞いている様な錯覚に陥る。



斉藤一の目を通して、

また 違った角度からの新撰組 を眺めることができる。




しかし、浅田氏はよほど新撰組が好きなんだな~

以前にも読んだ 「輪違屋糸里」「壬生義士伝」 もかなり感動させられたが、

これもナカナカの重みある作品だ。



これに登場する 市村鉄之助 いちむらてつのすけ

読みながら、これはきっと架空の人物だろうと思っていたが、


実在していた!


14歳で新撰組に入隊し、

最後の最後まで小姓として残り、

斉藤一の 生涯唯一の弟子 として描かれている。

その最期は、とても重みがあり重要な意味があり、

この話の本質ではないか…



14歳??

ウチの息子と変わらない。


こんな子供にまで、ここまでの覚悟を強いられた

この時代の厳しさを改めて感じる。




新撰組として、

また、戊辰戦争や西南戦争を含め

その剣で百以上の命を奪った人間として、

業に苦しみ、 死に場所を求めて

大正まで生き延びるハメになった男の、

とてもつらい試練の生涯だ。



死するは易く、生くるは かた

殺すは易く、生かすは難い。



この言葉に、斉藤の全てが込められているように思う。





死期を悟るや床の間で 結跏趺坐 をして往生を遂げたと伝えられる。

このエピソードを読んで、身震いした。

やみくもに人を斬ってきたわけではない。

勝つか負けるか、

生は勝ち、死は負け

そんな究極の勝負をしてきた本物の剣士として、



彼は最後まで 新撰組の一人としての 誇り をもっていたんだな…と確信した。






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Last updated  2011/05/31 08:39:37 AM
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