行こか戻ろかイギリス生活

行こか戻ろかイギリス生活

Sara Baras



今週からロンドンでフラメンコフェスティバルがいよいよ開幕。今日はSara Barasを観に行った。
昨日のクラスでクラスメートから集めた前評判は上々。ビデオのFlamenco Womenを繰り返し見ている為、私の中ではすっかりお馴染みのダンサーだが、本物を見るのは初めて。

サラの舞踊団は5人の女性ダンサー、2人の男性ダンサー、そしてサラのパートナーと思しき男性ダンサーそしてサラ本人という構成。最初カンテ一曲の後、いよいよ手下の(?)ダンサー達の登場。5人の女性ダンサー達はとっても上手。一人一人がきっとある程度名のあるソロダンサーなのではないかと思われる。

そしていよいよご本人登場。真っ白のシンプルなドレスに身を包んで立っている。サラは衣装のデザインも自分でやると聞いたが、全体を通して、布の出す動きの美しさを充分に利用している点に大変共感。共感なんて生意気ですが、私もヤマダとかやる時にスカートが翻るのを見るのが大好きだ。スカートだけではなく、群舞などではマントンもふんだんに取り入れていて大変華やかだった。最近、ズボンで踊る人をよく見かけるため、スカートを使うのはもしかしたら自分のテクニックの無さをごまかす為の邪道?と軽い疑問をもっていたので、軽やかな布の動きを見て一安心。綺麗なものは綺麗なので、使えば良いのだ。

サラの踊り自体は、もう足とターンの速さは人間技とは思えないほどで、テクニック的にはもう今更言うまでもなく「超一流」。筋肉質のスリムな体を生かした芸術的な踊りだ。ビデオで御馴染みの、乗ってくると上をむきながらプッと頬を膨らませるあの表情も生で見られて大感激。

一番印象的だったのは中ほどでのファルーカで、途中で全く音楽を消して、(パルマもなし)、自分の靴音と体を叩く音のみで勝負をかけてきた。シーンと静まる観衆を一人で受け止め、力いっぱい自分を見せていく。あの「自信」と「自己表現力」。もちろん、サラはフラメンコを踊っているからサラなのであるが、こんな彼女を観ていると、なんだかフラメンコなんて単なる媒体で、舞踊とかリズムとかどうでもいい存在に思えてくる。踊りを通して、サラ自身にどんどん引きつけられていく。こんなに凄いダンサーは初めて見た。

誰もが言う通り、サラはステージを知り尽くしている。趣味のいい照明と衣装、スペクタキュラーで洗練された振り付けと構成。そしてもちろん世界でもトップクラスのダンサーである自分を随所にちりばめ、観客を飽きさせる事がない。とにかく素晴らしい劇場パフォーマンスだ。振り付けはすでにかなりコンテンポラリ-で、もう伝統的なフラメンコとはいえないかもしれないが、それでもフラメンコの美しい部分が凝縮されていて、その感性にも脱帽。また最後の締めに、伝統的な形のブレリアでのフィニッシュを持ってきて、アンダルシア独特の暖かさも演出として取り入れており、構成としては非の打ち所がない。

今日の劇場の売店の売り子さんが、「サラはステージを知っているが、ちょっと何かが足りない」と、サラのステージを見た後評価していたらしいが、私はこれには大反対である。私は、完璧な演出なんかの上をいくサラ自身を見る事ができたような気がして、むしろそちらの方に感動した。

サラのパートナーの男性ダンサーは、まれに見る、容姿、技術、情熱の3拍子がそこそこ揃ったいいダンサーだったが、とにかくサラが素晴らし過ぎて、悪いがちょっと霞んでしまった。個人的に、彼のところではスタンディングオベーションはしないでサラのところで立ち上がるなど、自己満足ながら、ちょっと自分なりに差をつけてみた。

サラを私なりに表現させていただけば、「自信」、「自己表現」、「座長」。
来週の水曜日はエバを観に行く。どういったステージを見せてくれるのか、今からとても楽しみだ。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: