*manmarumaruko*

妊娠に気づく


妊娠に気づく



私が入籍したのは、2002年の12月31日。
24歳の誕生日です。
結婚してからしばらくは、旦那の実家に居候しながら、6年目になる中国レストランのバイトに通っていました。
旦那も同じレストランでバイトしていたことがあるので、従業員の人たちは私たち夫婦のことを良く知っている人ばかり。
快適な職場だったので、しばらくは辞めるつもりもなかったし、職場の人に
「子供は~?」
って聞かれても
「いや~、まだまだ無理ですよ。私、自分の面倒見るだけで精一杯ですもん。子供の面倒見るの自信ないっす。」
と、答えていました。
これは本音で、その頃私の周りには赤ちゃんや幼児なんて全然いなかったし、子供が嫌いというわけではないのですが、どう接していいのか分かりませんでした。
ましてや自分の子供なんて全く想像できなかったんです。
あと2,3年は夫婦で結婚生活を楽しんでから、子供はその後でいいかな~って思っていました。


半年後、私たち夫婦は旦那の実家から車で1時間ほどの距離の新居に引っ越すことになりました。
結婚してから一切家具など購入していなかったので、軽トラみたいな小さなトラック1台の簡単なお引越しです。
引越しは簡単だったのですが、家と同時に家具も購入したので、しばらくはあちこちのお店から配送される家具の組み立てや、カーテンの取り付けなどでなかなか忙しい毎日でした。
実は、そのときすでにおなかの中には小さなまる子がいたのですが、全く気づかずに踏み台に上ってスクリーンシェードを取り付けたり、ダブルベッドを1人で組み立てようとして足の上に落として血豆を作って泣いたり、どんくさいなりにも奮闘していました。

数日後、ようやく家の中も落ち着いて本格的に住み始めることが出来るようになり、旦那と2人ささやかなお祝いをしました。
ちょっとしたご馳走を前に、ビールでカンパーイ!
あまりお酒に強くない私は、引越しで疲れていたこともありこの日はビールはコップ1杯にしておきました。
夕食を済ませ旦那がお風呂に入ったので、ちょっと片付けようと立ち上がったとたん急に吐き気がして、あわててトイレへ。
いくらお酒に弱いといっても、さすがに、コップ1杯のビールで気持ち悪くなったことなんてありません。
(どうしたんかな~、自覚ないけど疲れてたんかな?)
と思ったものの、妊娠という言葉は頭の片隅にも浮かんできませんでした。
お風呂から上がってきた旦那は
「キモチワルイ~」
といいながらも、ソファーに寝転がって“どっちの料理ショー”を観ている私を見て、
「ほんまに気持ち悪いん?」
とあきれていました。

このときの吐き気がつわりだったのかどうかは未だに定かではありませんが、妊娠中に気持ち悪くなって吐いたのは、後にも先にもこの時だけでした。


私が妊娠に気づくまでには、それからさらに2週間以上が経過することになります。
その間、確かに生理が来ていなかったのですが、もともと私は周期が遅れがち、1回くらい飛ぶこともよくあったので、引越しで環境が変わってちょっと遅れてるんだろう、くらいに思って全く気にしてはいませんでした。

その日は、引っ越してきてからすぐ仲良くなったお隣の奥さんと一緒に、お茶を飲みながらおしゃべりをしていて、子供が生まれたら・・・という話題になりました。
お互い引っ越してきたばかりなので近くの産婦人科情報はあまり知りません。
彼女はそろそろ子供が産まれてもいいと思っていたらしく、いくつか調べていた産婦人科を教えてもらったりして
「ほら、ここの産婦人科、産んでから入院中にフランス料理が出るんだって。エステとかもついてるんよ~」
「うそっ。すご~い。産むときはここにしよ。でもちょっと遠いな~」
とか言いながら、インターネットで近くの産婦人科を検索したりして遊んでいました。
そうこうするうちに、話の流れで
「そういえば、私今月生理きてへんわ。妊娠してたりして~」
と言った私に、
「ほんまに?じゃあ検査薬あげるから今見てみたら」
と、お隣さん。
「ええ?いいよ~。検査薬結構高いし・・・悪いもん。私生理よく遅れるから絶対違うって!」
「いいからいいから!」
そういうわけで、急遽お隣のトイレで妊娠判定をすることに。
(絶対違うとおもうんだけどな~。検査薬無駄になったら悪いなぁ)
そう思いつつ、検査薬にオシッコをかけたところ1秒ほどで見る見るクッキリ判定窓に浮かび上がる赤ライン。
「・・・マジですか。」

こうして、早速さっきネットで見たばかりの産婦人科に、お隣の家から電話することになりました。
予約したのは、もちろんフランス料理が食べられる産婦人科です。


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