レモン酒のレシピを調査している時に存在を思い出し、特に気になっていた「リモンチェッロ」。イタリアでポピュラーなこの「レモンの皮のみを用いた」リキュールを、先日来続いているレモン果実分補完計画の補助計画として作ってみることにした。
リモンチェッロにはレモンの皮のみがそれなりの量用いられる一方、果実は一切利用されない。そのため、リモンチェッロを作ろう……と意気込んで材料を集めるのは勿体無いお化けとの戦いになる。ある程度の量のレモン果実のみを用いる予定があったら、そのついでに作るのが良いだろう。そんな気分なので、このページは番外編としておく。
リモンチェッロの作り方は比較的簡単で、完成までに掛かる時間も短い。手順は大体次のようになる。ここで各材料の分量はアルコール1lの場合の典型的なレシピを参照している。
レシピには酷くバラつきがあるが、レモンの皮をアルコールに漬けた後1週間以上待つのが定番のようだ。
アルコール1lに対する水の量は1lが最低ラインのようだが、2l派や1.5l派なども存在するようで定番という程固まったレシピはない模様。
砂糖の量も同じようにバラついている。
当方ではひとまずスピリタス1本500mlを用い、メイヤーレモン10個、水500ml、砂糖350gあたりで作ってみる。
レモン果実の利用目的の関係から、先にメイヤーレモン6個分の皮を漬け込む。写真はスピリタスを注ぎ込む直前の様子。皮に白い部分がそれなりに付いたままだが、後日完成したリモンチェッロの味を見る限りでは、わざと厚めに剥くようなことをしたのでなければピーラーで剥いた時にくっついてくる程度の綿からの苦味は神経質に気にするほどのものではないようだ。
左の写真がスピリタス注入直後で、右はその40分後。スピリタス注入後、表皮を剥いたメイヤーレモンから更に内側の白い皮を全て剥き、果実を使う作業をしていた僅か40分ほどの間に、皮の色素などがこんなにも抽出される。
マジでどうでも良い話だが、このセラーメイトに付属していたパッキンはべろ(?)の部分がイボイボ加工されている。これは初めて見た。
色の変化が衝撃的だったので追記。漬け込んで2日目で既に色素は抽出されきっているのでは? という程に酒の色付きが鮮やか。
皮を漬け込んだスピリタスは500ml。このアルコール(以下原液と記す)に対し、500ml~1000mlの水に砂糖を溶かし込んだシロップを混ぜたものがリモンチェッロである。
レシピがこうである以上、リモンチェッロの完成形はレモンの香りを持つが、味は甘くてアルコールが強いだけの酒……ということになる。正直これは余り私の好みに合わない予感があるので、500mlの原液を3つに分け、次のような3通りの酒を作ることにした。
元々の予定では以上のようなつもりだったので、10個入りで同時に購入したメイヤーレモンの内、紅玉酒やパパイヤ酒に追加したレモン果実6個の他に残ったメイヤーレモン4個は1週間後のリモンチェッロ完成後、それに漬け込むと同時に、皮はリモンチェッロ原液に2段仕込するレシピの真似をしてみるはずだった。しかし、メイヤーレモン4個を1週間放置しておくと、それが冷蔵庫でも外(部屋の中)でも皮が柔らかくなってしまい加工し辛くなるか、場合によっては痛むような予感があったので、次のように予定を変更した。
レモンシロップはレモン果実に砂糖を塗し、浸透圧を利用してレモン果汁を引き出したもの。ここではメイヤーレモン4個分の果実に対し砂糖140gとした。これはリモンチェッロ原液200mlと合わせられる事を計算してのことであり、原液500ml辺りでは砂糖は350g相当ということになる(結構あるといわれるレモン果実の糖分は無視している)。
レモンシロップを作る際に出るレモンの皮は以前と同じように薄皮のみの状態にして、既に漬け込みを開始していた原液に追加しておく。
皮を剥いたレモン果実を3つに切り分けた物をメイヤーレモン4個分密封瓶に入れ、そこにグラニュー糖140gを量り入れたのが1番左の写真。レモン果実に満遍なく砂糖が回るように塗してある。
砂糖漬けにしてから8時間程度経つと、それなりにレモン果汁が出てくる。それが左から2番目の写真。
左から3番目以降は順に漬け込みから約1日後、2日後、3日後、4日後の写真であり、およそ3日程度で砂糖が全て溶けた。
最初にメイヤーレモンの皮をスピリタスに漬けてから明日で1週間になるので、リモンチェッロとクレマ・ディ・リモンチェッロのためのシロップも用意した。写真の左側に写っている無職透明のものは中性のナチュラルミネラルウォーター150mlにグラニュー糖105gを溶かし込んだシロップ。写真の右側に写っている白色の物は牛乳150mlにグラニュー糖105gを溶かし込んだシロップ。いずれも鍋で暖めながら砂糖を溶かし、常温放置で冷めたところをPET容器に移したのだが、室温よりはやや温度が高かったらしく、容器内が微妙に曇っている。
スピリタスにレモンの皮を漬けてから1週間が経過したので、今日はリモンチェッロを完成させる。
まず最初に、漬け込んでいたレモンの皮を濾し取る。
ペーパーフィルターの途中交換をする必要も無くすんなりと濾せた。予想よりも収率は良く、ほぼ500ml丸々使える。
リモンチェッロ原液の準備が出来たので、昨日までに用意しておいたシロップと順に混ぜていく。
1つ目は最も基礎的なリモンチェッロ。150mlの水に105gの砂糖を溶かして作ったシロップに150mlのリモンチェッロ原液を混ぜれば、リモンチェッロの完成だ。アルコールをシロップに混ぜたところで何故か濁るという話があるのだが、この右側の写真では目立つほど濁っていない。レモンの皮が足りなかった、もしくは、漬け込み不足ってことになるのだろうか? 味見してみたところ風味は十分移っているので気のせいらしい。翌日、最終保存用の瓶に入れたら実際それなりに濁って見えた。瓶に詰めたら冷凍庫で保存DEATH。
2つめ。150mlの牛乳に105gの砂糖を溶かして作ったシロップに150mlのリモンチェッロ原液を混ぜれば、クレマ・ディ・リモンチェッロの完成だ。瓶に詰めたら冷凍庫に保存DEATH。シロップと混ぜてから2日後に瓶に詰めたのだが、微妙に小さなダマが多数出来ている。かといって、ペーパーフィルターで濾すと無色透明な液体が濾されて出てくるwので濾せない。これは混ぜて直に瓶詰めすべきだったか?
最後の1つ。リモンチェッロというよりも、むしろリモンチェッロベースのレモンリキュールというべきもの。メイヤーレモン4個分の果実(量っていないがこれまでの経験から200g~240g程度)に140gの砂糖を塗し、浸透圧で出てきたレモン果汁に入れた砂糖が溶け込んだレモンシロップに、リモンチェッロ原液を200ml注入。これは更に2ヶ月程度果実を漬け込んだままにする予定。
今回はリモンチェッロを作っていたはずだが、本命はこれ。これがナイスな出来なら、次回はレモン10個、スピリタス500mlの全量をこれに突っ込めば良く、レモンの皮も果実も余す所無く使えて素晴らしい。
瓶詰めした時にショットグラス半分程度ずつ余ったので、リモンチェッロとクレマ・ディ・リモンチェッロの味を見てみた。甘いがそれ以上にアルコール分が強烈で、キュッと行くと酷い目に遭いそうだwww。流石にアルコール度数は計算上50%近いはずだからなあ。
クレマ・ディ・リモンチェッロの方が当然ながら口当たりはマイルドな感じだが、アルコール分の強烈さは変わらず。瓶詰め作業中に気になったダマは飲む分には気にならないが、グラスの汚れっぷりはあれだな。
冷凍庫に入れたまま忘れていたのだが、思い出したので完成後約2ヶ月目のリモンチェッロを味見してみた。確かにアルコールとシロップが馴染んだ感じはある……が、感想はそれほど変わらない。ただ、何か旨い飲み方があるのではないか? という気がしてきたのは前進か。一方、クレマ・ディ・リモンチェッロは何だか瓶の中で牛乳(?)とアルコール(?)に分離して、牛乳っぽい部分が凍りついてるのか瓶を傾けても混ざらない。どうすれバインダー。
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