趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

February 23, 2011
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カテゴリ: 国漢文
【本文】同じ女、巨城が牛を借りて、又のちに借りたりければ、「たてまつりたりし牛は死ににき」といひたりける返事に、

わがのりし ことをうしとや きえにけむ 草にかかれる 露の命は
【注】
・同じ女=南院のいま君。右京の大夫、源宗于のむすめ。
・巨城=源巨城。宇多天皇の王孫。『後撰和歌集』に「わすらるる身をうつせみのから衣かへすはつらき心なりけり」の歌を収める。
・「のり」には「乗り」と「告り」、「こと」には「事」と「言」、「うし」には「憂し」と「牛」、「かかれる」には「降りかかる」と「たよる」意を掛ける。「乗る」と「牛」、「牛」と「草」、「草」と「露」、「消え」と「露」「命」、「かかる」と「露」は縁が深い。
【訳】同じ女、すなわち南院のいま君が、源巨城の牛を借りて、再び後に借りたところ、「先日そちらにお貸ししておいた牛は死んでしまった」と言ってきた返事として、

私が牛車に乗ったことを、つらいと感じて、この世から消えてしまったのだろうか、草にかかっていた露のように、食べる草で命をつないでいた、はかない牛の命は(私がまた牛を貸せと告げたことを、いやだなとあなたは思っているのでしょうか、牛が死んじゃったなどというのは)





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Last updated  February 23, 2011 08:15:37 AM
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