終幕


静かな前奏に引き続いて大きな声で主題歌がうたわれてショーは終わりである。
観客の一部は立って応援である。
前が見えなくなったので私も立って拍手をする。

出演者全員が舞台縁で客の渡す花束を受け取ってくれる。
千秋楽だからなのか、一度はけたあとも舞台に走り出て拍手を受ける。
二度目、三度目に登場するにつれ、 演者の動きがほぐれてさっぱりとしてくるのである。


私もさっぱりしたのでサッと会場をでる。

bigtop

外はすっかり夜である。海風も寒い。
出口にはヘルメットを抱えたお兄さんが、
こちらはこれからが出番だという顔で待ちかまえている。
さっきは仕事を終えてさっぱりした演者の顔を見たので、
まるで時間が巻き戻ったようだ。

テントの周りにはトラックがたくさんエンジンをかけて路上駐車している。
ナンバーは九州や東海のかなり遠くである。
テント外に設置されていたトイレのプレハブが分解されてトレーラーに乗せられている。
テント内では消火器やら鉄板やらが一箇所に集められ始めている。
テント上では演目のロゴが付いた板を外すのか、ひとが二人、細かい作業をしている。
テント裏では一箇所、雰囲気の違うところがあった。
張り出した屋根の下にいくつか赤白の提灯が下がっているのである。日本の小さなビアガーデンのような雰囲気だ。
くつろいだ出演者がたくさん集まっていてたぶんミーティングをしている。

テントの周りを一周したので私も撤収である。


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撮影スポット用にデコレーションされているトレーラー。
横浜ナンバー。




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