がらくた小説館



俺の好きな人は今、目の前で暴行されている。
六人の男に囲まれて、彼女は泣き叫んでいる。

しかし俺にはどうすることも出来ない。彼女は服をビリビリに裂かれ、次から次へと男達の相手をしている。

俺はどうすることも出来ない?いや、そうではない。俺はどうすることも出来ないのではなくて、俺は今、興奮をおぼえている。

そして彼女は泣き叫びながらも、実は男たちを求めているかのようにさえ見えてくる。

俺は息を潜めてズボンのチャックを下ろした。彼女の淫美な姿を見て、俺は興奮を押さえきれず、よほど許されない行為をしようとしているのだ。最早自分は今変態以外の何者でもない。

分かっているのだが、俺は今、その一線を越えようとしているのだ。
しかし思考の回路は完全に麻痺し、非日常的な場面を目の当たりにした俺の制御装置は最早手の施しようがないほどだった。

その時、俺のすぐ後ろで人の気配がするのが分かった。
しまった!!!見つかったか!!逃げなくては!

しかしあまりにも突然な現実を俺は捕らえきれず、逃げ出すこともできずにその場に倒れこんでしまった。しかしその気配はすぐにどこかへと消えてしまった。

あいつらの仲間か?

ではなぜ俺の前から去ったのだ?

いや、仲間を呼びに行っただけなのか?

だったらすぐに逃げなければ。。

しかしこんな無防備な俺なのにわざわざ仲間を呼びに行く意味なんてあるのだろうか?

もしかして俺と同類か?

いや、まてそれは楽観的過ぎるぞ。

心を平常に保ち、冷静に考えなければいけない。

よく考えるんだ。う~ん。

『リリリリリ~ン』

『がちゃっ』

「もしもし…」

「すいません。TUTAYAですが、お客さんの借りている”監禁ボディードール”の貸し出し期日が切れていまして早急に返還して頂きたいのですが」

「はい…」

その時俺は一本の電話によって正気に戻り、すべてを悟った。

そしてあの気配の相手のことも。。














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