がらくた小説館

TPO

  世の中は今腐敗に満ちている。
 この国には最早礼儀作法などと、輝かしき崇高な文化は途絶えつつあると言えなくはない。
 この国にはもう、侍や大和撫子は存在しないのだろう。

 特に若者にはそれが如実に見える。

 ズボンにやたらめったら穴を開けては、ずり下ろしてはくやつ。俺がもしもマサイの戦士なら、「どうせなら全部脱げ」と言うだろう。

 電車の中で平気で化粧をする女。もしも俺が木村拓也なら「ちょっと待てよ」と言って「素顔の方が綺麗だよ」と言ってやるのに。

 ガムをぺちゃくちゃ噛んでるやつ。俺がもしもラモス瑠衣なら「お前馬鹿じゃねーの。日の丸を背負う資格ないよ。日本人やめろよ」と言ってやるのに。

 挨拶が出来ないやつ。もしも俺がオウムやインコなら、何度も目の前で「おはようごさいます」と言ってやるのに。

 コンビニの前でたむろしてるやつ。もしも俺がボブサップなら「ははははは」と意味なく笑いながら、まさに野獣になって手辺り次第にボコボコにするのに。

 露出度の高過ぎる服をきた女。もしも俺が加藤鷹なら「ツーフィンガー」と言って二本の指を立てて、○○なことを××してやるのに。

 子供のしつけが出来ない親。電車の中で暴れまくるが親は知らぬ顔。もしも俺が○ーム真理教の○原なら「ポア」を発動したい。

 人の嫌がるようなことをするやつ。もしも俺が○朝鮮の金×△なら「自分のことより相手のことも考えてやれよ」と他人事のように言ってやるし、アメリカの大統領だったら「お前は本当に単純なやつだな」と、からっぽの頭で言ってやるのに。

 そう言えば馬鹿な国会議員にも腹が立つ。何を指摘されても「記憶にございません」だって?俺がもしも若人あきらなら「記憶がない」と言って芸名とキャラを変えさせてやるのに。



 とにかく街に出れば、節操のないアホが多すぎる。俺はそんなアホ達に絶句する毎日だ。
 俺は今日も流れ行く景色を見ながら、一人ため息をついていた。

 もうすぐ目的の駅に着く頃だろう。俺は隣のやたら香水臭い男に背を向けて、いつものように煙草に火をつけた。









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