がらくた小説館

眠る前のひと時に




俺は毎晩寝る前に小説のネタを考えている。布団に入って、リラックスした状態が、一番発想が浮かぶものなのだ。そして頭の中で構築されたネタに満足しながら、眠りにつく。

 しかし問題はここからで、朝になるとそれら全てを忘れてしまうのだ。だからと言って、ネタが出来上がった時のあの光悦感はまさに天にも昇る気持ちでその後の…。まあ、簡単な話が満足しきって寝てしまうわけだ。
 もちろんメモに書けば簡単なのだが、まさにその通りだ。昨晩気づいた。

 そして今まさにそのメモを見ようと思う。その前に思い出してみる。ほとんど思い出せない。ただなんとなくだが『自分にしか書けない作品』で『他にない』『オリジナリティ溢れる』作品だったような気がする。

 そんなことを考えているとワクワクしてきて堪らない。この作品さえあれば、俺は文壇界に鮮烈のデビューが出来るかも?そんなことすら考えてしまう。

 そして俺は昨晩書いたメモを開いた。
 するとそこには『俺の自伝』とだけ文字があった。
 一応自伝なるものを書いてはみたが、本当につまらないものだった。


 以来眠れない日々が続く。 




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