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小説「ゲノムと体験が織りなす記憶」 第 2 話
叔父の墓参を済ませた後、駐車場までの道を歩きながら
青木氏から提案があった。
「リョウ君、どうだろう、これから東京に戻るとなかなか
会う機会も無くなるだろう、お互いに住む世界が違うからね、
残念だが。
しかし、私は君に興味があるんだ。
君は普段、ちゃんと礼儀をわきまえた人であり、好人物だが、
修羅場を乗り越えてきた。いや否定しても私には分かる。
生い立ちに普通ではない何かを感じるのだよ、君自身それは
分かっているはずだ。
そこでここからの帰路、君について聞いてみたい。
東京まででいい、同行してもらえないかな」
『どうしたものか・・・マリを母親に会わせる予定は覆せない。
久しぶりだし、それじゃあと言って立ち話のように簡単に済ます
というわけにもいかない。・・
💡
』
「青木さん、実はこの後、マリを母に会わせる事にしようと
思ってまして。出来ましたら、もう一泊時間を頂けないでしょうか。
『底なし温泉』は見つけられなかったと伺いました。そこへ私が
直接ご案内致します。何しろ地元の人でも知らない人がいるほどの
秘湯ですから」
「ほう、そんなに珍しいものなのかね」
「はい、ご自分の目で確かめなければ、信じ難いほどだと思います。
何しろ湧き出している源泉が湯加減も良いのですが、底が見えないほど
深く手頃な深さに厚い板を渡してあるだけで、檜の分厚い板で枠を作っ
ていなければ入浴できるとはとても思えない代物ですから」
「それは、そんなものがあるならば見ずに帰るわけにはいかなくなった
なあ。よし先ずはもう一泊できる宿を探そう。
ケン、頼むぞ」
「はい、承知いたしました」
久しぶりに出番が来たケンは目を輝かせて大きく頷きバッグから
ガイドブックを取り出した。
ページをめくりながらリョウに近づき
「本当なの?今言った秘湯の話・・」
「あのな、会長さんに俺が噓つくと思うのかい?」
「悪い、そうだよな・・・しかし、楽しみだなあ。
役目を忘れそうだ・・・今のオフレコな」
と片目をつぶった。
霊園から秘湯までは意外なほど近い。
リョウも久しぶりなので、感覚に誤差があった。
駐車場としている空き地は案外広くて会長専用車でも
しっかりはみ出さずに止めることができた。
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