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2006/04/11
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カテゴリ: 個人図書館
憂國

「介錯がないから、深く切ろうと思う。見苦しいこともあるかもしれないが、畏がってはいかん。どのみち死というものは、傍から見たら怖ろしいものだ。それを見て挫けてはならん。いいな」

≪十六歳で、少年の倦怠を描いた作品『花ざかりの森』を発表して以来、様々な技巧と完璧なスタイルを駆使して、確固たる短編小説の世界を現出させてきた作品群から、著者自らが厳選し、解説を付した作品集。著者の生涯にわたる文学的テーマや、切実な問題の萌芽を秘めた『中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃』『詩を書く少年』『海と夕焼』『憂国』など、13編を収める。≫


●三島由紀夫
●新潮文庫
●読了日:1996年1月30日


 二・二六事件を背景にした、一中尉の切腹を題材にした小説。

 二・二六事件より三日後、武山信二中尉は親友達が反乱軍に参加していることに懊悩し、自宅にて割腹自殺を遂げる。結婚して半年に満たない麗子夫人もその後を追って自刃する。

 私はこれは三島の「自慰的小説」のような気がしてなりません。
この作品を読むと、三島の最後がいつも思い出されます。昭和も戦後のあの時代に、なぜ敢えて切腹による自殺を考えたのか…。
三島は、自分に酔っている所が多かった人のような気がします。


 この『憂国』と言う作品では、武山中尉と麗子夫人の、死を前にした、飽く事なき甘美な情事が描かれ、つづいて、中尉の切腹場面になります。
この切腹の描写、かなり詳しいです。
5ページにわたり、準備から最後首かき切るまで、私はこわばったまま読みました。
血を見るのが苦手な人は、読まないほうがいいと思います。
 三島はこの場面を書きながら性的興奮をしていたのではないかというくらい、詳しく、執拗に描かれています。
多分、いつか自分が死ぬ時を想像していたのではないでしょうか。
 解説は三島自身がしていますが、中でこう言っています。
ここに描かれた愛と死の光景、エロスと大義との完全な融合と相乗作用は、私がこの人生に期待する唯一の至福であると云ってよい。(略)かつて私は「もし、忙しい人が、三島の小説の中から一編だけ、三島のよいところ悪いところすべてを凝縮したエキスのような小説を読みたいと求めたら、『憂国』の一編を読んでもらえばよい」と書いたことがあるが、この気持ちには今も変りはない
 とにかく、切腹場面の描写だけでも、読む価値ありです。
食事しながら読まないように…。

上面、リンクしているのは今月末に発売される『憂国』のDVDです。
この幻のフィルムが見つかったのは昨年でしたか、その記事を読んだ時めまいがしました。

台詞は一切なくモノクロですが、それがいいです。
即予約しちゃったもんね。楽しみ・・・。

新潮文庫で出ているはずなのに、楽天アフィリエイトに文庫本がなかったのでDVDを挙げました。
文庫本冒頭には映画『憂国』のワンシーン写真が載っています。
新潮文庫のあの装丁、かなりかっこいいのになぁ。白地にオレンジの明朝体ででかでかと題名が書いてあるあの装丁、しびれる・・・。





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最終更新日  2006/04/11 10:09:39 PM
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